.

柿内幸夫の「社長の現場改善」 37

「同じ失敗を繰り返さない

 残暑お見舞い申し上げます。

 先回までは、「レベル1の流れ」の話を続けておりましたが、今回はちょっとそこから離れて、この時期の話題をテーマにします。

 私のクライアントのC社という食品会社において最近あったことです。

 多くの食品会社には、年に二回、大きなイベントがあります。

 そうです、お中元とお歳暮です。

 今回お話しするC社においては、お中元とお歳暮用の商品の売上げが年間売上げの4割弱を占めています。

 私は今年のお中元商品の生産が真っ盛りの時期には、C社にはコンサルティングに伺いませんでした。

 もちろん、改善はどんな時でも、実行し続けなければいけないのですが、さすがに、お客様がすぐ目の前で待っているお中元のような時期には、改善の指導を受けるより、生産活動にすべての力を注ぐべきであると考えたからです。

 しかし、そのお中元の生産に入る直前には、みんなでしっかりと改善を実行しておきました。

 だから、今年のお中元の生産は間違いなくうまく行くと信じておりました。

 そうしたところ、先日C社のK社長より電話で、「今年のお中元の生産は、本当にうまくいった」というご連絡をいただきました。

 今回は、この理由を説明したいと思います。

 C社では、これまでお中元とお歳暮を、年に二回の特殊なイベントであるといった扱いをしていました。

 その時期は、普段とは違う商品を短時間に大量に作る必要があります。そしていつも直前に、その時だけ使うコンベアや設備が倉庫から久しぶりに引っ張り出されます。

 また、臨時にアルバイトや人材派遣会社からの従業員が採用され、いつもとは全く違った人員編成がおこなわれます。

 そんな状態ですから、作業訓練もレイアウト検討も不十分なままで、生産が始まるというのが毎年のパターンだったのです。

 いつもバタバタでした。

 何しろ半年ぶりの仕事であるし、とにかく間に合わせなければいけないということで、残業や休日出勤も当たり前という力仕事が、10年以上も続けられてきたのです。

 しかし、この状態はおかしいと思います。

 久しぶりといっても毎年の話ですし、やることも毎回必ず同じようなことです。

 そして、ここがポイントですが、きわめて短期間にいつもの倍くらいの売上げがあるのです。

 要は、この時こそが、儲けるまたとないチャンスなのです。

 ところが、今までは、儲かるようなやり方をしていなかった。いつも去年やった失敗を繰り返していました。

 作業訓練不足からくる低能率によって発生する遅れや、工程準備不足による品質不良発生ロスなどによってコストが上がってしまい、計画通りの利益を上げることができませんでした。

 そして、改善が少しずつでき始めて調子が出てきたころに生産が終了します。全くもったいない話です。

 そこで、私は昨年末のお歳暮の時に徹底して、いろいろなデーターを集め分析しました。

 どのような商品をいくつ作るために、どんなレイアウトと人員配置をしたかをデジカメで写真に収め、またその時に使った、臨時パートタイマーの人たち用の教育用資料をすべてメモの形にして残しました。

 それだけではありません。

 お歳暮作業が終了した後にも、ひと仕事しておいたのです。

 これまでは、大変なイベントが終わって「ヤレヤレご苦労様」で終えてしまっていたのですが、あとひと頑張りしてもらい、きちんと振り返りをおこなう反省会をもちました。

 「あれは失敗だったね、次回はやめようね」とか「あの時やった方法は良かったから次も必ずやろうね」とか「途中で気がついたんだけど、今度やるときはこういうふうにしたらどうかな」といったことをすべて書き出しました。

 つまり、写真を見ながらブレーンストーミングをしたのです。

 そして、写真や言葉の記録を「想い出アルバム 2003年 お歳暮」としてファイルにまとめました。

 もうお分かりですね。

 今回のお中元がうまく行った理由は、お中元が始まる前に、この一つ前のイベントである「想い出アルバム 2003年 お歳暮」を取り出して、みんなで勉強をしたのです

 そして、それをベースにきちんとした準備を実行した、これだけです。

 すなわち、前回の最後のころに調子が出てきた時のレベルからスタートできたということです。

 このような仕組みで毎年繰り返せば、やるたびにレベルが上がっていきますよね。

 毎日のことであったら、当たり前にすることでも、それが半年に一回となったら全くできない。理屈では分かっていても、長い間ズーッとできないままで来た。こんなことって、けっこうあります。

 でも、これは仕事の標準化という切り口で考えれば、当たり前のことであり、絶対にやるべきことです。

 今回は、食品会社の例としてお中元の作業を取り上げました。

 しかし、このような長いサイクルで起きるイベントというのは、お中元のみではありません。あらゆる業態の仕事にあることなのです。

 少し落ち着いて考えれば、当たり前のことはいくらでもあります。こういったことが、すぐにできるかどうかで会社の方向は大きく変わります。

 「改善の心」の二つ目、「すぐにやれ言い訳は無用」。

 まだまだ暑い日が続きますが、こつこつと頑張りましょう。

柿内先生の想い出アルバム】

 

(編集注:岡田)上は柿内先生が4才の頃の写真。将来、改善コンサルタントになられる片鱗がすでに見られます。それにしても変わるものですね、(先生ゴメンなさい、私も変わりました。)

    
 ※柿内先生に質問のある方は、なんでも結構ですので下記にお寄せください。
okada@jmca.net
出版局トップにもどる
日本経営合理化協会 出版局 TEL:03-3293-0041