.

柿内幸夫の「社長の現場改善」 33

「中国に負けないモノづくり

 30回目のときに、私は「多くの方が勉強不足である」と書きました。
 今回は、中国を題材にして、私たちがしなければならない勉強について、考えてみたいと思います。

 これまでにも、中国については、何回か取り上げてきました。
 いろいろな面で、情報が行き渡ったせいか、最近は、以前ほどの中国脅威論一辺倒ではなくなってきましたが、ほんの少し前までは、もう日本の製造業は生きていけないといった悲観論がありました。

 私自身も初めて中国に行った時に見た、あのきたないペンキ塗りの長屋が、その3ヵ月後に行くと、見事になくなって更地になっている。

 そしてまた3ヵ月後に行くと、今度はそこに立派なビルが出来上がっているといったすごい変化が、そこいら中で起きているのを見たときに、「日本では最近、こんな建設ラッシュはないなあ、この調子だと、すぐに中国に追いつかれてしまうな」と思って、あわてたことを覚えています。

 しかし、はじめのうちは、行くたびにびっくりしていたのですが、そのうちに驚き慣れてしまい、だんだんと落ち着いて考えられるようになりました。

 そこで、このことを人間の一生にたとえて、考えてみましょう。

 最初、赤ん坊で生まれた時には、片手でも持てるくらいの小ささでしたが、中学生にもなると背がぐんぐん伸びて、親の身長をあっという間に抜いてしまうことがよくあります。

 しかし、子供に背を抜かれても、あわてる親はいません。背は伸びて当たり前だし、「身体だけは大きくなっても、中身はまだ子供」と、温かい目で見守るのが普通でしょう。

 こう考えると、モノづくりにおける今の中国は、ちょうど中学生の背が伸びる時に当たるとは言えないでしょうか。

 もしそうであれば、背では追い抜かされても、まだまだ息子には負けません。

 そんなある日、中学生の息子が父親に対してこう言います。

 「お父さん、仕事大変そうだね。俺、毎日お父さんの仕事を見てて、何となく出来る気がするんだ。手伝わしてよ」

  そういわれたお父さんは、「お前もなかなかいいことを言うね、じゃあやってみな」と答えます。でも、心の中では「出来るわけがない」と思っています。

 ところが、出来るわけがないと思っていた仕事を、息子はなんと、いとも簡単に、それもかなりのレベルでやってしまいました。

copyright© saburo

  びっくりしたお父さんは反省します。

 「しまった、この20年間、俺は勉強らしい勉強をしていない。何だかんだと言って、やるべきことをすべて後回しにしてきた。リードタイムを短くしようという提案に対しても、やっても意味がないとか、それはトヨタの話だとか言って、結局やらずに来た。
 だったら、その代わりに何か別のことをしたかというと、していない。この一年で何かの本を読んで、新しいことを学んだかと聞かれると答えはノーだ。
 このままでも大丈夫という安易な気持ちで、新しいチャレンジをすべて拒否してきたが、その結果、息子にも簡単に真似できるレベルのことを毎日やり続けてしまっていた!」

 そこで、お父さんは心を入れ替えて勉強を始めます。

 すると、やらなければいけないテーマは驚くほどあります。特に、流れを作ってモノづくりのレベルをダンゴ生産から一気通貫まで持っていくプロセスは、難しいけれどやりがいがあるものです。

 「難しいことをやらなければダメだ。時間のやり繰りくらいで出来てしまうことばかりやっていたら、負けてしまうぞ。やはり、難しいものにチャレンジすることが必要だ!!」

 いかがでしょうか?

 今の仕事を中国に持っていったら、向こうでもすぐに出来てしまう、といったレベルでは困ります。

 個々単独作業の仕事のレベルの比較であれば、中国と日本には、大きな違いがありません。むしろ、中国に軍配が上がることが多いでしょう。

 違いと差をつけるのは「流れ」ですそれもお客様に密着した流れです

 そして、勉強といっても、学生時代のような試験のための勉強ではありません。本当に必要なことを、自分で出来るようになるための実学です。

 知らないことは本や講演会で教わればいい。やってみなければ分からないことは、お金をかけずに知恵を使って、すぐやればいい。

 これが、今の時代に必要な勉強です。
 そして、その必須科目が「最強のモノづくり」だと私は考えております。

       【柿内先生の本】

最強のモノづくり
御沓佳美・柿内 幸夫 (共著)

価格: ¥15,000
日本経営合理化協会出版局

 ※柿内先生に質問のある方は、なんでも結構ですので下記にお寄せください。
okada@jmca.net
出版局トップにもどる
日本経営合理化協会 出版局 TEL:03-3293-0041