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柿内幸夫の「社長の現場改善」 32

「ダンゴ生産からの脱出

 「ダンゴ生産からの脱出」というタイトルで、6月2日大阪、6月8日東京で一日セミナーを開催しました。

 今回は、セミナーでお話したことを中心に、《レベル0》のダンゴ生産から脱出して《レベル1》へと進歩していく方法についてお話したいと思います。

 私は、モノづくりのレベルを【6段階】に分けて説明しています。

 実際には、ダンゴ生産といわれる《レベル0》もありますから、7段階に分けているともいえるのですが、《レベル0》は論外のレベルという意味ですから、数えていません。

 ただし、《レベル0》ではダメだと言ってはおりますが、確かにそうなってしまう、仕方がない(?)理由もあります。

 また、自分の会社のモノづくりが《レベル0》であると気づかないでいることもよくあることです。

 そこで今回は、まずご自分のモノづくりの中に《レベル0》の部分があるかないかを判断していただくところから始めました。

 まずは、正確な現状の把握が大切なのです。

 以前、クリントン前アメリカ大統領が来日した際に、日本の記者団がクリントン大統領に対して、「世界の大国であるアメリカ合衆国のトップリーダーとして、最も大切なことは何かを一言でお答え下さい」という質問をしました。

 この質問の中にある「一言で」というのは、かなり難しい質問だと思います。なにしろ、アメリカ合衆国大統領の仕事といったら、ものすごい量とそれに対する判断力が求められるわけですから。

 しかし、クリントン大統領は即座にその質問に答えました。

 それは「現状の正確な把握、これが何より大切だ」と。

 多くの方が、自分の現在の状況を正確に把握していません。「前よりずっとよくなっている」とか「同業他社と比べてもそん色ない」といった、きわめてあいまいな相対的な判断で満足していたり、あるいは、レベルとしては《0》のダンゴ生産であるが、この分野の場合、仕方がないといった根拠のない理由を見つけて良しとしています。

 しかし、私から見て、明らかに《レベル0》であるとすれば、それはダメなのです。

 どう考えても、これから先の厳しい変化にはついていけません。早急に、ご自分のモノづくりのレベルを把握していただきたいのです。

 そして次に、まずは何から始めるかについてお話ししました。

 答えは、「5S」です

 これまで、この連載をお読み下さっている方々にはお分かりと思いますが、私は言う「5S」は、たんなる掃除ではありません。

 「5S」は、モノづくりの根幹をなす隠れた問題の発見と強い企業体質をつくりあげるためのきわめて重要なツールです。

 今回のセミナーでは、S 県の、その業界ではNo.1の地位を誇るA社のA社長のご好意で、A社が4月に実行したばかりの5S活動の状況をビデオに収めさせていただき、参加者全員でそのビデオを見て、5Sによる改善がいかに効果的かを実感していただきました。

 そのビデオは、製造現場の人たちはもちろんのこと、社長をはじめ営業、設計、購買など、会社のすべての機能を代表する方々がみんなで工場現場に出て整理、整頓する様子を収録したものですが、活動を始めて二時間で、みるみるうちに工場の景色が変わっていく場面は圧巻でした。

 また東京会場では、A社長ご本人がセミナーに出席されていたので、みなさんの前で、社長ご自身の感想をご本人にお話しいただきました。

 A社長は、従業員が前向きに改善をしはじめてくれたことや、部門間の連携がとれはじめたこと等、まずできることを即実行する行動変革から始めることの重要性を強調されました。

 そして、セミナー終了前の1時間は、受講された方々からの質問に対して、私がお答えするというセッションをもちました。

 いただいた質問のすべては非常に具体的で、それぞれの会社における問題点が目で見るようにわかりました。ほとんどの方は、《レベル0》はダメだということは頭では分かっておられますが、実際にはさまざまな問題の壁があって困っているという質問が多かったように思います。

 私はご質問に対して、一つ一つわかる範囲で具体的にお答えしましたが、そのセッションを通じて、改善の実行は必ず摩擦を生じるものであること、しかしそれをやり遂げなければさらに儲かる工場になれない厳しさ、そしてやり遂げたときの希望をもって壁を一つ一つ乗り越えていく大事さを、皆さんに感じていただければいいなと強く思いました。

 

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 ※柿内先生に質問のある方は、なんでも結構ですので下記にお寄せください。
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