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柿内幸夫の「社長の現場改善」 24

「清掃性を高める」

 前回は、「5S」と「清掃」にかかわる誤解について話しましたが、今回は「清掃」の正しい考え方についてお話しします。

 繰り返しますが、清掃とは、清掃性を高めること

 ほとんどの人が、「清掃とは掃除をすること」と理解しています。しかし、落ち葉が一枚落ちるたびにそれを掃くような掃除では、そちらの方にばかり気を取られてしまい、仕事になりません。

 一方、ほとんど掃除をしないで落ち葉が散らかり放題といった状態では、良い仕事はできません。

 そこで、私はこの5Sの清掃を、きちんと掃除が行き届いた状態を常に保てる仕組みを造ることと考え、「清掃性を高める」と表現しました。

 工場と一言でいっても、業種によって、汚れる理由がずいぶん違います。ですから、一律にこうすればよいという方法はありません。

 そこで、いくつかの事例をあげることによって、それぞれみなさん方の工場をきれいに保つヒントにしていただきたいと思います。

 まず、お客様に「この工場は汚いなあ」という悪い印象を与えてしまう一番の原因は何だと思いますか? 

 掃除の仕方でしょうか?

 私の答えは、掃除の仕方ではなく、工場の中にあるモノの多さです。

 まずモノを整理すること。要らないモノを捨てて、どけて、要るモノを整頓して置くことです。これは前回お話ししました。しつこいですが、改めて整理・整頓をして下さいね。

 一般的に、清掃を考慮に入れた場合、整頓の仕方でけっこう見逃しやすいポイントが見えてくるものです。

 例えば、倉庫の奥の方、特に壁ぎわにある棚が怪しいです。棚の一方の隅が、壁に接した状態で置かれている場合は、必ずと言っていいほど、奥の方(壁際)はゴミだらけです。誰も奥の方まで目を向けないので、ゴミ置き場になっています。

 そこで、棚を壁からちょっと離して、通路を作って、人が歩けるようにする。整理をしていますから、そのくらいの場所は生み出せるはずです。
 そうすると、誰も目を向けない奥の方というのがなくなるので、ゴミ捨て場状態が解消されます。

 (上)倉庫の壁側にも通路をつくった例

 次に、キリコのように、次々と発生する汚れの原因をどうするか。

 常に出るものですから、「毎日仕事終了後に掃除をします」というルールはよいのですが、その間の床はキリコでいっぱいという状態を何とかしたいものです。

 キリコを出さない方法があれば一番よいのですが、今日の明日ではどうにもなりません。

 そういう時は、キリコが出るのは仕方ないけれど、何も撒(ま)き散らすことはないだろうと考えましょう。

 キリコは、材料と工具が接する、まさにその一点からのみ発生します。落ち葉のように、木の枝のあらゆるところからバラバラと落ちてくるわけではありません。

 そうと分かれば、その接点のすぐ近くに、局所カバーと呼ばれる小さな当て板をセットすると、キリコを一定の場所に向けて落とすことができるでしょう。

 

(上)マニシングセンターのツールホルダーにキリコ取りのホウキをセットした例

 この考え方は、けっこう広く使えます。

 たとえば、食品業界で床が濡れていて困っておられる方が多いのですが、よく考えてみると、水が沼地のようにじわじわと床からしみ出てくるわけではありません。

 必ず、どこかから水が垂れています。ただその箇所が多いので、手付かずになっているということが多いのです。それを一つひとつつぶしていけば、必ず床はドライ化します。

 また、清掃当番の決め方と掃除のやり方の標準化も必要です。いつも決まった人が掃除をしていて、その他の人は無関心といったことでは困ります。みんなでやり方を決めて、日別、曜日別、月別といった頻度もしっかり決めましょう。

 「掃除なんか誰でも知っていることなんだから、きちんとやれるはず」などといって部下に任せっきりではなく、やはりチェックが必要です。

 やり方さえ決めれば、難しいことは一つもないのですが、それが決まっていないと、いつも同じところを、ほうきで触るだけという情けない掃除になることもありますから。

(上)ある会社の5Sの清掃風景。階段を登って一番高い所にいるのが私(柿内)。

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