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柿内幸夫の「社長の現場改善」 16

本当のコストダウンとは何か

 今回は、11回目でお話した「社長のための整頓」の続きです。

 前回は、「後工程引取りにおける自律神経の話」をしたところで終わりました。 もう一度、「社長のための目で見る整頓」の図を見てください。

 さて、この図を理解するためには、一つの条件があります。

 その条件とは、「本当のコストダウンとは何か」をしっかりと理解した上で、この整頓を実行することです。

 では、本当のコストダウンとは何か?

 私は「コストダウンとは生産性向上と在庫低減の掛け算である」と言っています。

    

 上の図において、○(一番良い)△(まあまあ)を実行していれば、まったく問題はありません。しかし実際には、いまだに三番目の×(ダメ)の仕事をしている会社がとても多いです。

 すなわち、能率向上一辺倒という改善のやり方です。

 では、能率一辺倒の改善で多くみられる例を2つあげます。

 一つは、生産性向上目標を達成するために、段取り替えの回数を減らして、その時間を生産に当ててしまうケースです。結果的に、ロットサイズが大きくなって、当然、在庫が増えてしまいます。

 一般的に、能率向上一本槍の職場では、「生産性が上がるが在庫が増える」という改善が平気で行われて、大幅なコストアップになっていることが多いです。

 もう一つの例は、後工程引取りの形で運搬が行われずに、前工程押し込みの形で運搬が行われる場合です。

 前工程押し込みの運搬は、前工程は後工程の都合に関係なく、自分のペースでドンドンとモノを生産することが出来てしまうので、その職場の能率向上という観点からすると非常に便利です。

 しかし、これを許してしまうと、中間在庫も同様にドンドン増えます。そして、それにともなって、運搬や停滞も増えていくのです。

 上記2つの例が、生産性は上がるけれど、在庫も増えるという例で、トータルではコストアップになるパターンです。

 ところが、これを後工程引取りの形に変えると、不要なモノを造ると自分の場所にモノがドンドンとたまってしまうので、好き勝手に造れなくなります。速く多く造りすぎると、在庫過剰がすぐに顕在化してきます。

 このことは本当に正しい問題点の顕在化ですが、それまで好き勝手にドンドン造って能率を上げてきた人には、どうにも納得がいかないようです。

 すなわち、後工程引取りをやると能率が下がるから、コストが上がってしまうと考えてしまうのです。

 これは完全に「部分」しか見ていない間違った管理の考え方であって、決して経営の役には立っていません。しかし、長い間、こればかりをやってきて、固定観念が出来上がってしまった人には、その間違いがなかなか分かりません。

 とにかく、後工程引取りという考え方は簡単なようですが、決してそうではないのです。理屈で分かっていても、やらなければ絶対にそのありがた味は分かりません。

 ところで、私たちが目指すべきは、常に「最強のモノづくり」に向かっての改善であり、目先の改善ではありません。ましてや、数字合わせの改善などは「百害あって一利なし」、すぐに改めなければなりません。

 私が皆様にお願いしたいことは、今自分のモノづくりがどのレベルにいるかを把握した上で、一歩一歩、最強のレベルである「レベル6」を目指すということです。ちなみに、レベル6とは、開発設計からお客様までの距離が最短でつながっている「一気通貫の最終的な形」です。

 今回のテーマの実行を通じて、皆さんの会社が目指している方向が、

    「本当にコストを下げるやり方になっているか
    「マーケットとの距離を短くする考え方を持っているか

という所から、チェックしなおしていただきたいと思います。

 

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