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柿内幸夫の「社長の現場改善」 15

「答えはそこにある」

 前回に引き続き、「実行することの大切さ」をお話しします

 まず、下の表を見てください。
 これは、著書「最強のモノづくり」に掲載しましたが、現場改善の手順として、まず一番最初に、「行動改善」が出てきます。そして、二番目が「意識改善」になっています。

 この順番をご覧になって、何か変だなと思う方も多いのではないでしょうか。

 というのは、何か新しく大きなことを始めるときには、まず意識から変えるという手順を踏む会社が多いからです。

 「うちの社員は、世の中の動きを見ていない」「意識が低い」ということで、経済の分析や意識の持ち方についての本を読ませて感想文を書かせたり、講演会に参加させて決意表明をさせたりします。

 もちろん、これらをやることが悪いとはいいません。

 しかし、多くの場合、動かない社員たちは、知らないから動けないということではないのです。むしろ、さめた態度で講演会を聴いて、心の中では「この講演を社長に聞かせたい」などと思っているものです。

 次に、左右の日経ビジネスの表紙をご覧下さい。

    
(左)『日経ビジネス』1998年2月16日号表紙画像    (右)『日経ビジネス』2003年1月13日号表紙画像

 両方とも、日産自動車が特集されていますが、向かって左は、1998年2月16日号で、ゴーン社長就任以前のもの。右の2003年1月13日号は、ゴーン社長の改革以後のものです。

 ご存知のとおり、日産自動車は、この数年間で大きくすばらしく変わりました。

 最初の1998年2月16日号の中で、日経ビジネスの編集長が、下記のような非常に印象的なことを言っています。

 「会社が厳しい時のインタビューは、ふつう大変に難しいのだが、日産自動車の場合は非常にやりやすかった。なぜなら、すべての人が、極めて明確に問題点を分析し、解決案をもっていて実に明快に答えてくれた。だったら、ナゼやらないのだろうか?」といった内容でした。

 ゴーンさんが日産自動車に来て、一番最初にした決断は、クロスファンクションチームの発足でした。来日わずか2週間後のことです。

 社内の多くの部署から若手管理職をチームに選抜し、その上で、そのチームに日産の生き残りのための方針を作らせたのです。

 このゴーン社長の決断の意味は、日産を救う方法は外部ではなく、内部にあると判断されたということです。日産の人は、何をしたら良いのか分からないのではない、ちゃんと分かっている。

 ただ今までは、各部門がそれぞれの利益を追求する部分最適で考えていたから、できない理由が出てきてしまったが、クロスファンクションチームという全体最適を前提にした方法をとれば解決できると考えたということです。

 そして、その結果はご存知のとおり、バブルの頃でも達成できなかった利益を生み出すまでになっています。

 さらに、今週の日経ビジネス(10月6日号)でも、日産自動車の特集が組まれていますが、その中で「日産は強い縦割り組織の存在に加えて、部門を超えた協力を取りにくい風土が、長期停滞の原因の一つと指摘されていた。企業の内の壁を突き破るという点で、マトリクス組織は効果を発揮したと言えるだろう」という記述がありました。

 ところで、クロスファンクションチーム(C.F.T.)という言葉から、何か専門的なやり方といった印象をもたれる方もいらっしゃるかもしれません。

 しかし、TQMにおいて、クロスファンクショナルマネージメントという言葉は前からあるもので、決して珍しい言葉ではありません。

 要は、みんなで会社を良くするために何をすればいいかを考えるということです。できない理由ではなく、やる方法をみんなで考えて、その上ですぐ実行をするのです。

 もちろん、それを可能にするのは、トップのリーダーシップです。
 とにかく、日産のゴーン社長は、現場も実によく回られます。日産の多くの職場に、ゴーンさんとのツーショットでVサインを出している人の写真がたくさん飾られているのを見ました。

 私が言いたいことは、私たちの身の回りには、たくさんのすばらしい答えが転がっているということです。一方で、やりもしないで、出来ない理由ばっかりを言って、ちっとも実行しない人もたくさん転がっているのです。困ったことです。

 3回にわたって、実行の重要性をお話ししました。
 読者の皆さんの会社には、このようなことはないものと思いたいですが、少しでも、その傾向が見られたら、すぐにアクション(行動)を起こしていただきたいと思います。

 

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