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柿内幸夫の「社長の現場改善」 14

考えは後からついてくる

 前回、「考える」ということについての私の考えをご紹介しましたが、その内容に関して、実に多くの方からメールを頂戴しました。

 たとえば、「実行しなければ何も始まらないのに、いろいろな理由(屁理屈)をいって何の行動も起こさない。そのような人が私の工場にも多く見受けられます」とか、「あれはわが社の工場長がモデルなのではないですか?」といった内容でした。

 そして、それらのメールの結びには、「そういう人々に対し、どのように対処したら一番効果的なのか、お教え願えないでしょうか」というメッセージが添えられていました。

 そこで今回は、寄せられた質問に答える意味で、私が毎日の改善指導の中で実践していることをお話ししたいと思います。

 まずは考え方からですが、下記は、私が改善のお手伝いをする時に、いつも中心においている「改善の心」です。

 一番目が、「固定観念は、すべて捨てよ」であるのには、大きな意味があります。

 これは改善に限らず、何を始めるにしても、当人がまず固定観念を捨てて、素直な気持ちでしっかりとやろうという心を持たないかぎり、絶対にうまくいきません。ですから、まずはここから始めるわけです。

 人はやらないと強く決めたら、絶対にやりません。同様に、できないと強く思えば、もちろんできません。

 前回お話した「考えない人」すなわち「思い出そうとする人」は、結果的には常に「やらない」という判断をだしている人です。しかし、当人はそれに気がついていません。

 それどころか、まさに固定観念の固定観念たることに、ご当人はまったく違うことを考えていたりします。

 たとえば、自分は過去の知識をベースに前向きな意見を出しているといった、大きな勘違いをしているのです。その証拠に、そういう人に限って「今の若い者は積極性がなくていけない、気が利かない、泥臭さが足りない」といったことを誰よりも口にします。

 私はこのような勘違いしている人と仕事をする時、けっして、その人を非難しません、また説得もしません。なぜなら、してもムダだと知っているからです。

 考えてみてください、
 何十年も持ち続けた固定観念を、たった一言で取り除けるはずがありません。なにしろ、自分は正しいという観念に根が生えて固定化しているのですから。

 では、どうするか。

 私はこのような人を排除したりしません。それどころか、こういう人はその固定観念をいったん取り除くことができると、ものすごい力を発揮することを現場で多く見てきました。

 具体的には、「改善の心」の二番目の「すぐにやれ、言い訳は無用」と、三番目の「金で逃げるな、チエで勝て」を現場で指導していきます。

 そもそも、大きな目標を掲げても、今日やることは非常に小さなことばかりです。私が指導する現場改善は、いきなり大金を使って設備を買ったり、大きなシステムを導入することはありません。

 最初は、お金を使わないでチエを使って、自分たちだけでできることをすべて、今すぐ実行するということをやります。

 ですから現場で、私はまず、その簡単なことをナゼやるかの理由をしっかりと説明して、納得してもらったうえで、その方にやってもらいます。そして、実行の約束をしっかりと結んで、その方法を具体的に確認してその方の宿題とします。

 そして、次回にお目にかかった時に、その方と一緒に、その成果を実際に「現場」で、「現物」を前にして、しっかりと「現実」的に評価します。これを三現主義といいます。

 そして、具体的にどう評価するかといえば、たとえば、「すばらしい、これでいいんですよ、しっかり前進しましたね。これは皆さんが実際に自分の手でやられたことばかりですから、確実に勉強になったし進歩しましたね。さすがです。ところで、次のステップとしては、どんなことを考えているのですか?」といったことを、私の方から質問して、その方の口からご自分の考えを引き出すようにします。

 これならば「思い出す」ではありません、「考える」です。私が聞いているのは、できない理由ではありません、「やったこと」と「次にやること」の説明を求めているのです。

 このようなステップで、その方の考えを変えようとするのではなく、行動を変えてもらいます考えは後からついてくるものだと思います。

 もうお分かりですね、まず最初の段階で、「改善」そのもののルールをしっかりと合意することをしているのです。

 私の改善は、結果重視はもちろんですが、プロセス重視でもあるのです。改善を通じて人を育て、それの積み重ねが会社を育て、その結果が、オンリーワンに結びつくことを目指しています

 バブルの頃に多く見られた、お金を使って結果を出すやり方ではありません。チエを使って「要因系」も「結果系」も成果を出してしまうやり方です。そして、その「要因系」に、固定観念ガチガチの人をしっかり組み込んでしまうことを狙います。

 どんな改善であっても、ゴールとルールが分からなければ、よーいドンで走り始めても、できない理由がでるのは仕方がありません。

 多くの場合、ゴールだけはしっかりと示されているけれども、ルールがないのがほとんどです。これでは、全員が前向きに取り組むのは難しいでしょう。(ごく稀に、ゴ−ルの設定だけでしっかり走り出せてしまう、すごい組織もありますが)。

 今回は、何人かの読者から寄せられた質問にお答えするべく、基本的な改善の心がまえである「改善の心」を用いて説明をしました。

 次回は、その具体例をお話したいと思います。

 

 ※柿内先生に質問のある方は、なんでも結構ですので下記にお寄せください。okada@jmca.net
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