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柿内幸夫の「社長の現場改善」 12号

「コントロール」と「マネージメント」の違い

 「社長のための現場改善」の連載を、Web上で始めて、すでに12回目です。

 この新しい形のネット連載を開始してみて、私は「Web(ウエヴ)」という媒体と、従来の「本」との違いについて、いくつかの新しい発見をしました。

 一つは、前回の第11話の最後に、直近におこなった「パート・アルバイトセミナーの速報」を掲載いたしましたが、これは、まさに最近起きたことを、リアルタイムに近い形で、ご報告できたということです。

 またその以前にも、この連載が始まったことがきっかけで、5Sの指導を開始したM社のM社長の体験レポートを、掲載することも出来ました。(第6話)

 これらは、Webの即時性によるものといえるでしょう。

 そして、もう一つの特長を、前回の発信の直後に発見しました。

 それは、双方向性です。前回のテーマとして、「社長の整頓」という言葉を使ったのですが、その件についてご質問を頂きました。

 それは、「5Sというのは本来は、現場中心のものであったのではないか、経営のようなレベルにかかわりがあったとは思えないが…」というものでした。

 確かに、ただの日常の掃除と「5S」の区別がついていない工場もあるのが現実ですから、このご質問はもっともです。

 ですから、今回は、ネット連載という、Webのリアルタイムで双方向の特徴を活かして、この点をご説明したいと思います。

 もうずいぶんと昔の話しになってしまいましたが、モノづくりが「プロダクトアウト」であった時代がありました。良いモノを安く売れば、必ず捌(は)けた時代です

 この時代は、マーケットが非常にわかりやすかった。
 お客さまが欲しいモノというのがわかっていたので、それに対して、品質向上とコストダウンをして、納期を守っていれば、必ず利益を上げることができた時代でした。

 しかし、今は違います。

 ご存知の通り、「マーケットイン」の時代です。
 何が、どれだけ、売れるかが、非常に不透明。いくら安く良いモノを造っても、売れ残ってしまえば、会社は儲かりません、下手をするとつぶれます。
 お客さまが欲しいモノを探り、短期間に必要なだけ造って売る時代です。

 その変化に伴って、言葉も変わっています。

 以前は、「TQC」という言葉が使われていましたが、今は「TQM」となっています。C(Control)が、M(Management)に変わったのです。「コントロール」が「マネージメント」になっています。

 何故でしょうか?

 この「コントロール」と「マネージメント」という二つの言葉を、野球の例を使って説明してみます。

 コントロールの良いピッチャーとは言いますが、マネージメントが良いピッチャーとはあまり言いませんね。いくら、コントロールが抜群であっても、毎回同じ所にばかり投げていたのでは、試合には勝てません。

 良いコントロールを前提に、相手バッターが打ちにくい所を選んで緩急をつけて、球種を選んで、打ち取るマネージメントが必要です。
 これはキャッチャーとか監督の役割でしょう。

草野球ならコントロールだけでも勝てるかもしれないが…(上の写真はイメージ写真です)

 プロダクトアウトの時代には、「能率」と「品質」というコントロールさえあれば勝てたのです。

 しかし、マーケットインの時代になると、そのコントロールを前提に、お客様との駆け引きであるマネージメントが求められるようになったということです。優秀なピッチャー一人では勝てないレベルの試合を、毎日戦っているということです。

 ここで言う、球種は「製品の種類」、そして緩急は「生産スピードおよび生産量」の調節といえるのではないでしょうか。

 そして、そのマネージメントを実現するための第一歩が「社長の整頓」というわけです。

 第7話では、「自分にとって使い易いやすい置き場所を決める整頓」について述べましたが、これはコントロールに当たるといえるでしょう。

 そして、これらがしっかりとできている現場に、マネージメントの力が加わることで、この厳しい時代に生き延びる基礎体力が生まれるのです。

 これからもWebの機動力を生かして、連載を続けていきたいと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

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