.
柿内幸夫の「社長の現場改善」 11号

自律神経が通った現場

 前回の最後に、社長のための整頓にかかわる絵を入れておきました。

 今回は、その絵を詳しくお話していきますので、もう一度、その絵を下記に示しましょう。

 さて、一番のポイントは、一番上の絵である、置き場の位置です。

 この絵をご覧になった方の中には、「これは後工程引き取りの絵だな」と気づかれた方もいらっしゃると思います。

 その通りです。

 普通の考え方だと、できたモノは作った人が次の工程に「お待ちどうさま」と言って運んで行くことになるでしょう。

 しかし、この絵ではその逆で、次の工程の人が「できたー?」と聞きながら、取りに来ることになっているのです。

 つい最近、ある人にこの考え方を説明する機会があったのですが、その人は即座に「ああ、それはトヨタのカンバンの考え方でしょ。でも、それは平準化された繰り返し生産に適用するものであって、うちは違うからなあ」とおっしゃいました。

 しかし、この人の理解は正しくありません。

 生産が平準化繰り返し生産であろうと、計画順序生産であろうと、モノの運搬は、ここでいう後工程引き取りであるべきなのです。

 2回前のサプライチェインマネージメントのところで申し上げた「引っ張り」でなければいけないのです。

 なぜか? 答えは、二番目の絵にあります。

 モノづくりは、常に滑った転んだの連続です。機械が故障した、モノが入らない、人が急に来れなくなった、キャンセルが出た等々、問題のオンパレード、予定通りに生産が進捗する方が珍しいと言っていいくらいです。

 その時に力を発揮するのが、二番目の絵にある「自律神経を通す」なのです。

 私たちの頭脳には、ものを考える機能のみでなく、反射するという機能が備わっています。熱いものに触った時に、いちいち考えて、次の動作を選んでいたとしたら、とんでもないことになります。こんな時は、考えないで「アチー!」と反射するのが正しい。

 生産でも同じことです。
 前もって考えた生産計画ですが、いろいろな事件が起きます。そんな時にいちいちどうするかを考えて、コンピューターをいじくっている暇はありません。

 ここでも「アチー!」が必要なのです。それが、後工程引き取りです。

 この二番目の絵は、本来△(三角の部品)を作る計画であったのですが、後工程の変化を察知して生産品目を○(丸の部品)に変えようとしているところです。

 これを、自律神経が通った職場と呼びます。

 このようにして生産を変化に機敏に対応できるようにするのがこのやり方の目的の一つなのです。                     

 ※柿内先生に質問のある方は、なんでも結構ですので下記にお寄せください。okada@jmca.net
出版局トップにもどる
日本経営合理化協会 出版局 TEL:03-3293-0041