柿内幸夫の「社長の現場改善」 05号

社長が先頭に立つ

 前回まで、5Sの必要性とその意味についてのお話ししました。 

 今回はその上で、さらに5Sから確実に成果を引き出すための注意事項をいくつか述べたいと思います。

 まず第一に、必ず社長が参加すること

 これは、社長も自ら赤札を50枚持って貼り切ることと、その後の分類や並べ直しにも参加するということです。けっして、部下の活動を腕を組んで見ていることではありません。

 わざわざ、このように言うのには訳があります。多くの会社で、同じような間違いを見受けることがあるからです。

 それは経営者・管理者という人たちが、どんな時でもいつも同じスタンスで仕事をしてしまうということです。つまり、部下や現場の人たちに、赤札活動の指示だけを出して、自分は管理者の立場で傍観しがちです。これではダメです。

 日常の繰り返しの仕事でしたら、その会社の職制系列に従った分業が最も正確で速いのですが、今回の赤札活動は場合は、まったく違います。

 誰にも何があるのか、何が起きるのかを予想できない活動です。すべての人が、対等の立場でことに臨むわけです。そして、それぞれの人に、持ち場立場に応じて、それぞれ違った驚きと発見をしてもらうのです。なかでも社長が、「チョーびっくりすること」がとても重要なのです。

 すでに答えがわかっていて、それをいかに能率的に遂行するかが求められるルーティンワークの場合と、未知の世界において、新たな答えを捜し求める時とでは、自ずからその方法が変わります。

 普段、あまり細かい目で現場を見ていない社長にとっては、多くの赤札をすべて貼り切るということは、とても難しいことに思えることでしょう。事実難しいのです。

 しかし、日頃あまり会話をしたこともない若い従業員に混じって、フーフー言いながら一緒に苦労するのは、とても重要なことです。
 

 いわゆる「従業員1000名以下の社長は現場でガミガミ言う」をこういう場でも実践するのです。

 しかし、目が慣れてくれば、すぐに出来るようになります。
 そして、多くの社長が、この活動を通じて、現場を見る目が変わったとおっしゃっています。ですから、必ず実行してください。

 前にも述べましたが、管理という仕事は、付加価値を生みません。それにもかかわらず、管理そのものが仕事となってしまっていて、モノづくりとまったく離れたところで仕事をし続けてしまう管理職が何と多いことか!

 そのような傾向が感じられる場合は、この機会に、管理職に現場重視の目を植えつけましょう。社長が一番汗をかいて、社長が一番びっくりして、顔を真っ赤にしている。ここから始めるのです。

 そして、赤札活動で注意すべき第二は、答えをすぐに出すこと。 

 全員で現場に出て、現物を前にしています。現実的にてきぱきと答えを出しましょう。いわゆる、三現主義でやるのです。
 会議室では、ついつい結論を後回ししがちですが、この赤札活動では、即断即決で、捨てる・変えるをその場で決めて、即、運搬するのです。

 その場でみんなで筋肉を使いましょう。「社長が現場に立つと全然違うなあ」とみんなが思うようなスピードを見せてください。それが、何にも勝る社員教育です。世の中はスピードの時代などといった一般論を、朝礼で何回しゃべるより、ここで一発それを見せることです。

 第三に、その後のパトロールを忘れないこと。 

 この活動は、一回でおしまいではありません。職場の5Sは、未来永劫続きます。

 現場の様子が右脳にインプットされた社長は、次の日から、その目で職場を見て回ります。きちんと整頓が維持されている職場の従業員たちには、頑張ってくれてるなあということを伝えてあげるのです。

 きちんと現場の事を知っている社長が見てくれていることが伝わる、ということが誉めることになるのです。
 人は誉めて育てるということは知っていても、誉める内容がないなどと困っている社長がいるのですが、誉めるテーマはいくらでもあるのです。

 下の写真は、社長も社員も、そして、改善の様子を見学に来た他社の人も一緒になって、赤札活動をおこなっているときの写真です。


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