小さくても『強い会社』にする経営24法則 18号

法則18 アクセルとブレーキを持て!

 公私混同をしていない企業はないはずです。問題は、それを気がつかないことにあります。御社はどうですか?

<法則18 アクセルとブレーキを持て!>

「社長、来期は売上を下げましょう」こう話すと

「何を馬鹿な。銀行がどう思うか考えたら、そんなことができるわけがないじゃないですか」

「では、銀行が理解を示したら、売上目標を下げますか」

「・・・」

「社長が一生懸命売上を伸ばしたい気持ちはわかりますが、毎年、利益が減少しているという現状はどうしますか」

「また、大幅な経費の削減でもすれば・・・」

「従業員の人件費、カットしますか」

もちろん、自分自身の役員報酬のカットの話が出ると思いきや、

「それも考えないといけませんね」

「従業員の給料のカットだけでいいのですか」

「ほかにはもう・・・」

あるだろう。自分の役員報酬が・・・これまでも何度か従業員の給与体系を変更し、実質的な給与カットをしてきたが、自身の役員報酬や家族社員にはなんら手をつけてこなかった経緯が社長にはあった。今回もまたか・・・

「売上が上がれば問題はないはずだ」

「確かに売上と同時に利益が上がればいいですけど。社員の今の状態、社長はわかっていますか?」

この社長、50名程度の社員の中から、いわゆるイエスマンに対してはよく話しをしているが、他の大半の社員とはコミュニケーションをとっていない。イエスマンの子飼社員の話で社内の状況を把握しているつもりでいる。

「もちろん、社員のことはわかっていますし、わかっていなければ社長なんてつとまりませんからね」

「社長、わかってもらえないようなのではっきりいいますね。社長の子飼の方々以外は、みんなこの会社を見切っていますよ、でもね。その人たちが、この会社の売上を作っていますし、運営していると私は思いますが」

「そりゃ、社員は私の指示に従って動いていますから当然のことでしょう」

「相当、無理して働いているということの認識はないんですか」

「そんなに不満なら、みんなやめればいいだろう」

そばにいる子飼は、みな頷く。この光景は見るに耐え難い。

「そもそも売上を上げるために先生にお願いしているのに、これじゃ逆じゃないですか」

「売上を上げるのは何のためですか?」

「そりゃ、決まっていますよ。会社のためでしょう」

「ですから、会社の何のためですか?」

「・・・」

「社長ご自身の見栄とかのためじゃないんですか。いいですか。もう、社長ごっこはやめませんか。もう一度、いいますよ。売上が下がるのではなく、会社を潰さないために売上を下げるといっているんです」

「話にならん!」

そういって社長は席を立っていく。子飼たちはためらいもなく、ついていく。



 経営者は売上を下げるという発想をなかなか理解してくれない。がんばっても下がる時期はある。もちろん、売上が下がれば第三者はいろんなうわさをするだろう。

 しかし、そんなときこそ、思い切って売上を意図的に下げてみることだ。自動車を運転してもこのことは理解できる。

 アクセルを踏みっぱなしでは必ず事故を起こす。高速道路から一般道に降りたら、スピード感覚が麻痺している。だから、必ず、ブレーキが必要になる。

 ブレーキを踏み、静かに考えてみることも必要だ。結論からいえば、本業に徹することだ。そうすれば余計な費用もかからなくなる。

 売上を20%減少させれば、若干のタイムラグはあるがそれ以上の率で費用は削減できることが多い。

 見栄や世間体を気にして無理をするよりは、勇気を持って売上を下げることも経営者にとって大切な意思決定だ。

 銀行に対する印象が悪いという経営者もいるが、銀行に対して、きちんと説明をすれば理解を示してくれる。

 売上を下げれば、時間的な余裕もできる。そのとき、社員に対する教育を行う絶好のチャンスと考えることも大切かもしれない。

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 中小企業の場合、銀行を向いて経営していることは仕方のないことかもしれません。しかし、本来、どこを向いて経営をしなければならないかをもう一度考えてもいいのかもしれません。



日本キャッシュフロー協会 (JCFA)
代表 海生裕明(公認会計士)

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