小さくても『強い会社』にする経営24法則 17号

法則17 公私混同は徹底して排除せよ!

 公私混同をしていない企業はないはずです。問題は、それを気がつかないことにあります。御社はどうですか?



<法則17 公私混同は徹底して排除せよ!>

 「この支払いは公私混同なのか」と疑問があれば、それは公私混同と思っていい。会社の資金を自分のために使う経営者は、資金が足りなくなったらちゃんと工面するのが経理担当者の仕事と考えている。

 確かに、経理担当者は資金調達の仕事をするが、中小企業の資金調達の責任者は当然社長だ。責任転嫁は公私混同と表裏一体であることを理解すべきだ。

 どんな社長でも最初は公私混同についての意識は少ながらずあったはずだ。しかし、それが頻繁になると麻痺してしまい、エスカレートしていく。

 「どうせこの会社は社長の会社なんだし、社長がどう会社の金を使おうと別に気になりませんよ」と社員はいうが、その顔には覇気がない。しまいには、社員も公私混同をしていく。

 自宅も車も会社もち。若い社員は、将来自分もあんなふうになりたいと一度はあこがれるが、公私混同している社長に対してはいずれ距離を置くようになる。

 一度、公私混同を覚えた人間は、基本的には立ち直れない。会社を救うためには公私混同をしている人間を排除する以外に方法はない。

 しかしトップが公私混同をしている会社は誰もトップを切ることができない。だから第三者であるわれわれがそのために動くことになる。

「あなたに頼んだのは、私だ」

「そうです。私は会社を救うために仕事を依頼されました。ですから、社長であるあなたが退任することが結論です」

 15年間で5社、そうしてトップならびにその一族を排除した。
 もちろん、後継者がいなければその会社は潰れてしまう。それは仕方のないことだ。そもそもそのような会社自体、存在価値がないのだから。

 特に中小企業の貸借対照表に次の勘定科目がある会社は公私混同のにおいがして危ない。それは仮払金、貸付金、仮受金そして有価証券だ。

 貸借対照表は会社の歴史と社風・体質を表すものである。そして、その社風はなかなか変えられないと同じように一度歪んだ貸借対照表を変えることは大変なことだ。

 仮払金は、旅費等の未清算によって発生し、しかもその金額は通常僅少のはずである。しかし、会社の規模にもよるが、数年にわたって仮払金が残っている場合がある。つまり、費用処理のしようがない支出が過去にあったのである。要するにそのような支払いをする体質がその会社にあるということだ。

 次に貸付金。どうして、中小企業がお金を貸す必要があるのだろうか。もちろん、貸付自体にも問題があるが、もっと問題なのは、その貸付先だ。

 たいてい、身内か人にいえない相手となる。そして回収ができない場合が大半だ。これが会社つまり社長の人格である。

 そして仮受金。
 入金があるが処理できない科目だ。運転資金不足のため、どこからか引っ張ってきたと推測できる。特に社長がオーナー等で会社を何社かもっている場合、資金をぐるぐる回している過程でこのような勘定科目が登場してくる。

 運転資金不足のための資金流入であれば、仮受金に見合うキャッシュはすでにないだろう。借入にもできず、このような場合、収益に計上しようとしても、収益に対応する原価がない。また、不幸にも利益が計上されるならば、税金がかかってしまう。

 これらの項目はすぐに処理すべきだ。

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 一番たちが悪いのは、公私混同と最初から認識していない経営者です。「人に指を指されることはしていない」という経営者こそ、他人が見れば公私混同をしているものです。まだ、意図的に公私混同している経営者の方が救いはあるような気がします。



日本キャッシュフロー協会 (JCFA)
代表 海生裕明(公認会計士)

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