小さくても『強い会社』にする経営24法則 11号

法則11 減量経営

 人間には標準体重があります。もちろん、私はその標準体重をオーバーしています。とはいうものの、標準体重まで減量すれば体が健康になるどころか力が出ないのです。ですから、私自身は、自分自身のベスト体重をひそかに持っています。ただ、その体重よりも今は6キロほどオーバーしていますが・・・




<法則11 減量経営>

 会社の体重は、貸借対照表における総資産で図ることができる。総資産は、負債と自己資本の合計と同じことだ。

 中小企業が株式公開を目指し、公認会計士の監査(最初はショートレビューといって3日から1週間程度の監査)を受けると、ほとんどの会社の総資産が減少する。しかし、負債は減少しないため、一瞬にして債務超過に陥ってしまう。これは、会計上の決算書と税務上の決算書が異なるからだ。

 簡単な例でお話をしてみよう。

 たとえば、売掛金や貸付金等の債権が、しかも長期滞留債権が貸借対照表にしっかりと計上されている。貸倒処理をしても、税務上、損金として認められないという理由で貸倒引当金の計上もされておらず、また計上しても法定限度額となる。

 しかし、実態は、回収可能性が低いため、会計上は、50%減、極端な場合、全額貸倒処理をし、実質、債権はゼロとなる。

 なぜなら、それが実態だからである。

 また、減価償却の計上も、法定限度額を計上すれば赤字になってしまうという理由で、赤字にならない程度しか減価償却をしない。つまり、業績のよくない会社ほど、償却資産が償却されずに資産として計上されてしまい、総資産が膨らんでいく。

 このような修正をしていくと、たいていの場合、総資産が減少し、債務超過に陥ってしまう。

 株式公開をするということは、一般投資家に会社の実情を決算書を公表してみてもらうことに他ならない。つまり、決算書は、税務上の決算書ではなく、会計上の、すなわち、会社の実態を表したものでなければならない。だからというわけではないが、中小企業の経営者は貸借対照表を見ない。見ても会社の実態を表していないからだ。

 別に株式公開をしなくても一度くらい、会社の実態を見てみることも必要ではないだろうか。

 公開企業になるための登竜門がまず、このショートレビューとなり、ここから、経営者の意識が変わっていく。そのため、ますます会社の基盤が強固になっていき、潰れない会社の構築ができる。

 もちろん、法則10でお話したように、所有から利用に意識を変えたときにも総資産は減少する。

 「自己所有者の評価は低くなっている」という銀行関係者も多いことを忘れてはならない。

 少しでも、総資産のスリム化をはかり、柔軟な対応ができる体質に転換することがなによりも先行して実施すべきことである。

 そのための適切な指標をひとつあげろといわれればそれはROA(RETURN ON ASSETS リターン オン アセッツ)だろう。ROAは、総資産に対する利益の割合である。つまり、総資産を使って会社がどれだけ利益を上げているのかを表す指標である。



 経常利益のかわりに、当期利益を利用してもいい。

 これを重視する経営がすなわちキャッシュフロー経営の入り口になる。

 なぜならばキャッシュフロー経営で使用するキャッシュフロー計算書は、貸借対照表と損益計算書の両方のエキスというものを加味しているからだ。

 ROAを上昇させるためには、分子の利益を上げるか、分母の総資産を圧縮するしかない。

 利益を上げるには時間がかる。しかし、総資産を圧縮するには時間は不要だ。トップの決断ひとつにかかっている。

 会社には、販売できなくなった商品や不要な資産が数多くあるはずだ。しかし買ったものはなかなか捨てられないようだ。

 「今、売ったら損をする」と考えるからだ。売ったら損をするという発想は損益計算の発想なのである。キャッシュフローの世界では、今、どうやってキャッシュインを増やすかを最優先に考える。

 商品の支払いは終わっているはずだ。だから、後はいつ、いくらキャッシュインがあるかを考える。

 キャッシュに代えられるものは、すぐにキャッシュに代え、次の投資のために使うという発想が必要だ。

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 「人員を減らせば、生産が追いつかなくなり反対だ」

「経費節減をすれば売上が減少し、やがては利益がなくなるから反対だ」

本当にそうなのでしょうか。

不思議と、人員を減らしても、通常通りの運営をしているものです。

むしろ、無駄がなくなり、すっきりすることもあります。

中小企業にも、働かない人はいます。

経営者とそれ以外の人とでは、ステージがまったく違うものです。言葉は悪いですが、従業員のたわごとで減量経営をストップさせるわけにはいかないのです。



日本キャッシュフロー協会 (JCFA)
代表 海生裕明(公認会計士)

〒103-0026 東京都中央区日本橋兜町9-5
 Tel  03-3664-6371  Fax  03-3513-0282
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