小さくても『強い会社』にする経営24法則 06号

法則6 手形は出すな、受取るな

 手形は紙幣と同じものです。紙幣は日本銀行が印刷しますが手形は会社(実際には銀行が発行)が印刷するため、ある意味、自由に発行できます。

 たとえば1億円の手形が5回流通転々すれば5億円の紙幣を発行したと同じ効果があります。金融政策で金融引締を行い、流通紙幣を制限しても手形を乱発していたのではどうしようもありません。

 一度、手形という紙幣の流れがストップ、つまりどこかの会社が倒産すればいわゆる連鎖倒産を招くことにもなりかねません。

 手形は本当に怖いものです。私自身も、受取った手形(額面5,000万円)が不渡りとなり、給料遅配で惨めな思いもしました。また、振出した手形(額面1,500万円)がその影響で不渡りとなり、実質、銀行取引停止にもあってしまいました。そんな経験から本法則があるのです。


<法則6 手形は出すな、受取るな>

 「今までの習慣でそんなことができるわけがない」といっているうちは何もできない。回収を急ぐあまり、手形でもいいからと受取りそれを裏書し、または銀行、下手をすれば街金融に持ち込んで割ってもらう。

 これの何が悪いのかといわれればそれまでだ。この先は、ない。もちろん、不渡りが怖いことは誰でもわかっている。わかっているがこれまでの習慣を変えられないのである。

 「手形を現金にしてくれといったら取引は停止になってしまう」確かにその怖さはある。しかし、もう一度、第2回に述べた自社の存在価値を考えてみてほしい。競合他社に対して何が強みなのかを。

 それが明確でなければ、手形を現金に変えてくれとは絶対にいえない。ただ、存在価値が明確でなければ、手形問題以上に会社の存続の方が心配だ。

 手形を振り出している以上、安心して眠れる日はない。手形の振り出しをストップすると少なくても3ヶ月から半年程度資金的に苦しくなる。だから資金繰りとにらみ合いながらの決断となる。

 トップの意思が強ければ、3年程度で手形ゼロ達成は可能となる。そう、トップの意思が強ければ・・・。意思が弱ければ手形用紙を銀行に返せばいい。

 手形ではないが「借金を減らすにはどうしたらいいですか」と相談を受けたとき「借金をしないことです」と答えることにしている。「そんなことをしたら会社が潰れてしまいます」といわれたら「潰したらまずいですか」と非情な人間と思われても仕方がない回答をする。

 借金をしなかったならばどうなるかを真剣に考えていないため、安易に借金をしてしまう。手形も同様だ。手形を振り出さなかったなら、会社はどこまで落ちるのかを真剣に考えてみることだ。案外、「なんだ、こんなものですむのか」となるかもしれない。


 残念ながら相談に来るほとんどは、借金をしてしまってからというのが実情です。そうして必ずこういわれます。「借金をするんじゃなかった」と。手形もマイナス・ストックです。

 「手形を現金に変えてもらえますから」といっても最初は誰も信じてくれません。もちろん、無防備に、手形を現金にしてくれということはしません。しっかりと会社の価値を考え、自信を持って先方に向かうのです。もちろん、私も同行します。無理と思っていた建設業にしても「いつから現金にしますか」といわれることもあります。なにごともチャレンジです。





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