小さくても『強い会社』にする経営24法則 04号

法則4 売掛金は将来の資金と甘んじるな

 キャッシュフローとは何ですか?という問いに、はっきりと「これです」とはなかなか答えることができないものです。なぜならば世の中においてキャッシュフローという言葉は、「キャッシュフローがある」「キャッシュフローを改善する」「キャッシュフロー計算書」等とさまざまな形で使われているからです。

 この様にキャッシュフローの重要性が企業会計において強調されていますが、本来、キャッシュフローは不動産投資において最も必要とされるものなのです。本来、投資価値というものはキャッシュフローつまり毎年の純収益(インカムゲイン)で決まります。

 しかしバブル当時は、毎年のキャッシュフローがマイナスになっていたにもかかわらず時価の高騰によるキャピタルゲイン獲得だけで投資価値を考えていたのです。時価が下落に転じてしまいますと毎年のキャッシュフローは赤字となっているわけですから、もう火の車です。

 この様にキャッシュフローを無視した投資はあまりにもリスクが大きいものなのです。キャッシュフロー計算書はこの考えを経営に応用したものです。

 キャッシュフローとは、その言葉の通り、キャッシュインからキャッシュアウトへの「お金の流れ」をいいます。お金をどのように流すかで企業や家庭の状況ががらりと変わってしまいます。

 ですから、キャッシュフローに関する正しい知識と実践が必要になってきます。単にお金があるからキャッシュフローがいいという単純なものではないからです。

 私どもが運営しています日本キャッシュフロー協会では「キャッシュフロー検定1級・2級・3級」を行っています。検定試験を通じてキャッシュフローに関する知識の再確認ならびに実務への活用を図っております。

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皆様もぜひ挑戦してみてください。必ず役立つと確信しております。




<法則4 売掛金は将来の資金と甘んじるな>

 資金が苦しくなった時、在庫ストックを減らしたり、得意先に頭を下げて売掛金の回収時期を早めてもらえれば財務体質も健全化に向かうだろう。しかし現実は、むしろ支払いをのばす、すなわち、現金払いを手形に変え、また90日の手形を120日にのばしてもらうことで急場を凌ごうとする。

 もちろん、このことは経営において不健全だということは誰もが百も承知なはずだ。そして一度このような状態になった場合、なかなかもとの健全な財務状態に戻すことは困難となってしまうことも誰もが知っている。にもかかわらず急場を凌ごうとする。これが経営体質だ。

 貸借対照表は会社の体質を表現する通信簿だ。貸借対照表を見ればその会社のお金に対する考え方がわかる。損益計算書と違い貸借対照表は一度歪むとその修正は困難極まりない。

 バブル期以来の好景気だといわれてもピンと来ない理由は今の不況が貸借対照表不況だからに他ならない。だから、過去最高の利益計上といわれている企業も、その貸借対照表のバランス状態は改善されてはいない。

 ところで、お金がないという企業に限って不思議と売掛金が多額にあるものだ。実質回収不能であれば、思い切って売掛金を貸倒処理すべきだ。税務署が損金として認めてもらえないからという理由でいつまでも売掛金として貸借対照表に計上していると、その売掛金のために貸借対照表が健全だと勘違いしてしまう。

 日産自動車が戦略的会計を実施したことは記憶に新しい。税務上の問題より、会計上、計上する必要のない資産をすべて切り捨て、一度、大幅な赤字と債務超過状態をあえて演出した。

 結果、翌年度から販売費一般管理費が大幅に減少し利益が計上できるようになったのである。これは、ゴーン氏が会計というものを理解していたからに他ならない。ただ、中小企業がこのような会計戦略をとり過去の清算を一揆に行い大幅な赤字を出せば、銀行が決算書に難色を示すことは目に見えている。だから積極的に行えない。

 銀行は変わったといっているがこの銀行の体質はおそらく変わらない。だから中小企業は、現在の利益の範囲内でしか過去の清算はできない。しかし、とはいうものの貸借対照表の売掛金を将来の資金と甘んじてはいけない。

 まずは、今の売掛金の回収を行うべきだ。回収していると口ではいうが、頭を下げてまでして回収をしているところは少ないのが実情だろう。回収を積極的にせずに苦しくなれば売上欲しさに危ない取引先に手を伸ばし、結果、回収不能となるという悪循環に陥る。


 不良債権は、マイナス・ストックです。同じストックでも、第1回にお話いたしましたプラス・ストックとは明確に異なります。貸借対照表の状態は、会社の歴史です。会社の体質です。一夜にして変えることはできませんが変える気持ちは必要です。

 何度もいいます。キャッシュフローの世界では、資産はお金に変えられるものだけをいいます。そういった目を持って貸借対照表を見つめてみてください。





日本キャッシュフロー協会 (JCFA)
代表 海生裕明(公認会計士)

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