社長のためのIPO塾(上場塾) 14号

【第14限目】 IPОのスケジュール

 どのような経緯を経て株式公開を達成できるかを知っておくことはとても重要です。今回は、この点について整理してみます。






【第14限目】IPОのスケジュール

 平成19年1月10日の日本経済新聞に、平成18年に新興3市場に新規株式上場した会社について、会社の設立から新規株式上場までの期間についての記事が掲載されていました。

 記事の内容を要約しますと、「昨年平成18年に新興3市場(ジャスダック、東証マザーズ、大証ヘラクレス)に新規株式上場した134社の会社設立から株式上場までの平均期間は、17年11ヶ月(前年(平成17年)比5ヶ月短縮)。

 市場別では、ジャスダック平均年数27年8ヶ月、東証マザーズ平均年数9年5ヶ月、大証ヘラクレス平均年数12年7ヶ月となっており、安定成長型企業がジャスダックを、設立後間もない企業が、東証マザーズ、大証ヘラクレスを選ぶ傾向が鮮明になっている」というものです。

 東証マザーズ、大証ヘラクレスを選ぶ企業は、傾向として設立時から、株式上場を目指しています。そのため、監査法人等との監査契約(上場申請には2期分の監査証明が必要)を行い、上場企業として適した社内管理体制を設立段階より構築されているケースがあります。

 それでは、一般的な新規株式上場のスケジュールについて考えて見ましょう。

1. 直前々々期(平成22年3月期を申請期とする場合、平成19年3月期が直前々々期に該当します)

 監査法人の「予備調査(シュートレビュー)」等を基に主幹事証券は、(1)資本政策 (2)内部管理体制(・規程等・議事録等・社内管理体制・業務管理・予算制度及び利益計画・月次決算・会計制度・内部監査等) (3)関係会社整備について現状を確認し、問題がある事項に関して改善を指導します。


2. 直前々期(平成22年3月期を申請期とする場合、平成20年3月期が直前々期に該当します)

 直前々期は、原則 直前々々期に主幹事証券会社により指摘された改善事項に対する、整備・改善期間と考えてください。特に月次決算については、月末より10日以内での確定が上場会社には求められます。

 また、本決算、中間決算、四半期開示については、締め日より45日以内での開示がもとめられます。従って、直前々期中には、対応できる体制を整える必要があります。



3. 直前期(平成22年3月期を申請期とする場合、平成21年3月期が直前期に該当します)

 直前期は、内部体制等の完全運用期間となり、「上場申請のための有価証券報告書(?の部)」等の上場申請に際して必要な書類を作成します。また、主幹事証券が、利益計画に沿った業績が確保され、内部体制が十分構築されたと判断した場合、早くて直前期後半より、主幹事証券審査部により上場審査が開始されます。

 主幹事証券審査部による審査は、審査書類に基づき数回にわたり質問が出されます。質問は、1回につき100問から300問程度のものを、2週間程度の期間で回答してもらうケースが多いようです(つまり、質問の回数が多いとその分審査期間が長くなります)。

 その後、実地調査(社内規程に則した対応が行われているかを確認します)、役職員に対するヒアリング、取引先等へのヒアリング、主要株主へのヒアリング、弁護士を交えたリスク情報等の法務DDM等行います。証券会社の審査期間は昨今、新興市場に上場した会社の不祥事等により、長期化する傾向にあり、6ヶ月程度の審査期間を考える必要があります。



4. 申請期(平成22年3月期)

 申請期に入り、取引所への上場本申請は最も早いタイミングは、株主総会後となります。つまり平成22年3月期を直前期とした場合、平成21年3月期の株主総会後ということになります。しかし、何かしらの事由で主幹事証券の審査が継続されている場合、この時期はずれ込んでいきます。

 仮に、無事に本申請を行うと、証券取引所の審査が開始されます。証券取引所の審査期間は、どの取引所も概ね、45営業日から60営業日です(ただし、本申請したからといって必ずスケジュールどおりに審査が進むとは限りません。取引所の審査期間中も申請期業績の進捗状況等を審査され、進捗が思わしくない場合継続審査となり、審査期間が延びるケースがあります)。




それでは、取引所の上場審査はどのようなスケジュールで審査が進むのでしょうか?ここでは、東証マザーズを例にあげてみます。


(1) 上場申請に係る証券会社への事前確認 (主幹事証券に対し、・申請会社の成長性の源泉について・申請会社の役員の状況・大株主の出資の経緯・主幹事証券が申請会社の健全性についてどのように判断したか等を取引所より確認があります)。



(2) 上場申請 上場申請に係る証券会社への事前確認の後、問題が無ければ1週間以上経過後、上場本申請となります。

申請から約45営業日から60営業日をかけ上場審査が審査担当により行われます。

審査内容は概ね次ぎのとおりです。・書面審査・ヒアリング・実地調査→公認会計士ヒアリング→社長、監査役面談→社長説明会→取引所内協議、決裁→上場承認(対外公表)



(3) ファイナンス期間 上場承認後約1ヶ月のファイナンス期間に入ります。

ファイナンス期間は次のプロセスで発行価格等を決定し上場日を迎えます。

・プレヒアリングの実施→仮条件の決定→ブックビルディングの実施→発行価格・引受価格の決定→募集の実施→上場

 上記のように、株式上場の準備を開始して、上場まで一般的には3年から4年がかかります。それも大きな障害が無かった場合です。

 しかし、新興市場に上場した会社には、設立後3年を経過せずに上場を果たした会社もあります。それは、先にも述べたように、設立時から早期の株式上場を考え準備した会社だと思われます。

 上場を考えている経営者の方は、現在自分の会社がどの程度上場に対する体制整備を客観的に観る時間を持ってはいかがでしょう。意外とそれがIPОの近道になるかもしれません。



海生裕明
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