社長のためのIPO塾(上場塾) 09号

【第九限目】 監査法人の決め方

 第3限目でもお話しましたが、監査法人はいま、クライアントの棚卸に入っています。危ないクライアント、監査法人の言うことを聞かないクライアントを切っているのです。もともと保守的な監査法人は、ここにきて更に保守的になってきました。






【第九限目】監査法人の決め方

 「どの監査法人がいいでしょうか」と聞かれた場合、「親身になって考えてくれる会計士が担当になってくれるならば、監査法人の名前は気にしない方がいいと思います」とお答えしています。

 もちろん、海外との取引や海外進出等を考えている会社の場合は、海外の事情に精通した監査法人とお付き合いすることが必要になってきます。

 それでも、私は、「たとえ、その会計士が海外のことについて疎くても、真剣に会社のことを考えてくれる会計士とお付き合いしてください」といっています。

 真剣に考えくれる会計士であれば、間違いなく、海外事情に強い会計士・弁護士を紹介してくれるからです。

 専門家を雇うなら、値切ってはいけません。お金がすべてではありませんが、値切るということは、人そのものが商品である専門家はいい気がするわけがありません。

 ですから、専門家を雇い、プロとしての仕事を本当にして欲しいのであれば、決して報酬は値切らないことです。

 とはいうものの、上場準備会社にとって監査報酬はかなり痛い支出になります。年間500万円から1,000万円程度の監査報酬を支払うからです。

 ですから、監査契約する時期を考えなければ、支出が経営を圧迫することになりかねません。在庫がある場合でもこれまでは、2期の監査でOKでしたが、最近では、厳しい監査要求の事情もあり、在庫がある場合は、3期、監査が必要になってきます。

 3期といいましても、3年間、監査を行うわけではありません。バックデートでの監査契約もよくありますので、効率のよい監査の実施について監査法人とよく話し合う必要があります。

 監査法人の中にはクライアント獲得のため全国を飛び回っている会計士が少なからずいます。ただ、この会計士とたとえ意気投合しても、この会計士は、監査業務を行うことはありません。

 監査法人のクライアント獲得は、銀行等第三者からの紹介が多いのですが、この場合でも、最初に面談した会計士(パートナーといわれる会計士が多い)が監査の実務をするとは限りません。

 このように別の会計士に監査業務を任せる場合、実際に監査業務を行う会計士は、仕事のボリュームが増加するわけですから、手放しには喜ぶわけがありません。そういった意味では、監査法人はお役所的な文化を持っているといえます。

 このような監査法人の実情を知った上で付き合わなければ、重要性のないクライアントになってしまいます。

 なんでもそうでしょうが、お金を払っているから何でもいうことを聞いてくれるということは、監査の世界でもないのです。







海生裕明
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