社長のためのIPO塾(上場塾) 08号

【第八限目】 上場してはいけない経営者―その2―

 今回も、上場してはいけない経営者についてお話をしてみます。経営者の条件として、資金調達能力があります。そのために必要なものが事業計画になります。事業計画がすべてとはいえませんが、自分の会社の事業計画を作れない経営者は、上場はできないと考えたほうがいいでしょう。






【第八限目】上場してはいけない経営者―その2―

 資金調達能力が必要といっても、こんな人はお金を調達してはいけません。

1.  お金がなくなったらすぐに借りればいいと考えている人は絶対に借りてはいけません。間違いなく破産への入り口に入っていくことになります。

2.  無人店舗で借りようとする人は、お金を借りることが恥ずかしいと思っているのですから借りてはいけません。いま借りますと、借りることに慣れてしまいます。
3.  借りたお金は自分のものと思っている人や借りた瞬間、「お金持ち」となり気分が大きくなる人は借りてはいけません。返すことなど考えていない人だからです。
4.  借りられる枠が自分の力だと思っている人は借りてはいけません。そんなことは決してないからです。自分の力は自分で稼いだお金だけです。
5. 

カードのキャッシングの枠を預金の枠と考えている人は借りてはいけません。

6.  見栄っ張りの人は借りてはいけません。返せなくなると嘘をついたり逃げたりするからです。
7.  返済の当てのない借入をしてはいけません。「なんとかなるさ」と思っていてもなんともならないものです。将来の収入なんてあてにはなりません。信じられるのは今のキャッシュだけです。
8.  すぐに人のせいにする人は借りてはいけません。つまり、自分のことを極端に守る人は借りてはいけません。貸した人間が悪いと平気でいうひともいるからです。一番始末が悪い人は自分を守る人です。この人は平気で嘘をつきますし、平気で人の悪口もいっています。

 

 また、上場をしようと考えている経営者は、次に掲げますお金の関する戒めを静かに考えてみてください。

1. 人に腹を立てるべからず!

 お金には関係ないように見えますがそうではありません。
 人に対してすぐ腹を立てる人は、絶対にお金の貸し借りをしてはいけません。お金の貸し借りは、トラブル発生の根源だからです。トラブルが少しでも発生し始めると、腹を立てやすい人は、トラブルをさらに大きくしてくれます。

 すぐに腹を立てる人は、普段は妙に笑顔で振舞ったり、妙にやさしかったりします。逆に普段から無愛想な人はそんなに腹を立てないといわれます。

 人間はお金がからんできますと本音が出ますので、普段とは違ってくるということをお互いが知っておく必要があります。上場を考える経営者は、紳士であって欲しいものです。


2. 働いて儲けてから使え!

 プロセスなき成功はありません。未公開会社でも、出資をしてもらった後、上場会社のような立派なオフィスに移転したり、経営者の自宅を高級マンションに変えたりしている経営者も多く見られます。


3. ばくちは打つな!

 当たり前のことですが、会社を私物化している経営者は上場を考えてはいけません。最近では、上場審査がかなり厳しくなっていますので、公私混同経営をしている会社は上場できなくなっています。

 一人でも社員がいる以上、一人でも自分以外に出資者がいる以上、もはや自分の会社ではないのです。危険な投資など決してすべきではありません。


4. 借りて使うな!

 お金を借り、そのお金を使ったとしましょう。何に使ったかは別にして、必ず残るものがあります。そうです。借金の返済です。

 お金を借りた瞬間、気分が高揚することがあります。それはお金が手に入るからです。その時は、借金の返済については真剣に考えたりはしないものです。

 しかし、借金は明らかに残ります。以前、著書で、「借金は悪だ!」という内容を書きました。すると

「借金せずに会社の経営ができれば苦労はしない!」

とかなりお叱りをいただきました。本当は勘違いだったのですが。

 つまりこういうことです。
 借金には2種類あります。

 運転資金不足のための借金(通常、短期の借金となります)と、機械などの設備を購入するいわゆる設備投資のための借金(通常、長期の借金となります)があります。「悪」と書いたのは、運転資金不足のための短期の借金のことです。

 運転資金不足の体質を変えないまま、「業界の習慣」といって短期の借金をし続けていることを「悪」といったのです。

 これはちょうど個人がカードでキャッシングしていることと同じだからです。一度カード地獄に陥ったら最後、お金に対する考えを変えない限り、なかなか抜けることはできるわけがありません。

 ところで、住宅を購入するとき、気前よくキャッシュでポンと払うことはまれでしょう。

 通常、住宅ローンを組むことになります。これが会社において設備投資のための長期借入に当たることは容易に検討がつきます。さすがにこの長期の借り入れまで「悪」ということはできません。

 ただ、この設備投資の借金に対しても前著で次のような注文をつけました。設備投資のための借金の元本返済と利息の支払いの原資に新しい設備投資による見込み収入をあててはならないということです。

 高度成長時代なら別ですが、新規に設備投資をしたからといって、簡単に収入が増加することはありません。だから新規の設備投資による収入を前提に借金の返済を考えることをしてはならないのです。

 万が一、予定より収入が少なければ、借金と利息の支払はできなくなってしまいます。

 だから現時点での毎月の資金収支の余剰金で、新規の設備投資に関わる借金の返済と利息の支払が可能であれば、はじめて設備投資に関する借金は「OK」となるのです。

「あのとき借りなければよかった」

という言葉は

「あのとき借りることができたから今がある」

という言葉よりも重く受け止めないといけない時代なのです。


5. 朝は機嫌よくしろ!

 この言葉はお金に限ったことではなく何事にも必要なことです。
 いい影響はなかなか与えられないものですが、悪い影響は伝染病のようにすぐ感染してしまうものです。

 1日の始まりにブスッとしていたら、自分自身の気分も下がっていきますし、もっと問題なことはまわりが迷惑します。

 ちなみに、お金に左右されやすい人は、日々機嫌が良かったり悪かったりするので周りが大変です。上司の機嫌を伺う会社にはしないでもらいたいです。


6. 何事にも身分相応にしろ!

 株式公開をして、オーナー経営者だけでなく従業員も億を超える財産が手に入ってもジャパニーズドリームだ!と日本では大騒ぎをしません。

 なぜなのでしょうか?たしかに株式公開で、億を超えるお金が入ってくることがあります。

 それも、20代や30代の若い世代にです。億ションといわれるマンションも完売となっています。しかも、キャッシュでポンと買っているのです。

これを見て

「若いくせに」

「どうせバブルだから、いずれ破裂するよ」

などと人の不幸?を待つ傾向が日本人にはどうもあるようです。

 日本ではあまり若すぎてお金を持つことに抵抗があるのでしょうか。別に若いということだけではありません。

 一所懸命がんばって事業で成功をおさめて大豪邸を建てても、なかなか世間から受け入れてはくれないところがあります。

「なにか悪いことでもしていなければあんなにはなれない」

「別世界の人だよ」

 ねたみや憧れはあっても、自分もあんなになろう!と行動をおこす人は少ないようです。

 要するにこの日本で生きていくためには、若いときは質素に、年を取ってもそれなりにということがしみついているのかもしれません。

 身分相応にしろ!とは、通常、若い人間に対して使う言葉であるならば、若いうちは日本では質素が一番ということになります。それがいやなら、海外にでも行くか、日本の慣習を変えなければなりません。

 さてどうしますか?






海生裕明
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