社長のためのIPO塾(上場塾) 06号

【第六限目】 IPO準備会社から見たIPO

 今回は、IPO準備会社から見たIPOのお話をいたします。IPOを考えている会社の数は、数千社といわれています。

 創業間もない経営者やこれから創業を考えている経営者まで入れますと、数え切れないと思います。しかし、1年間に上場できる会社の数は、たったの150社程度です。





【第六限目】IPO準備会社から見たIPO

 毎週、何人もの経営者が「上場を考えているので事業の話を聞いてほしい」と私のところにも訪問されます。

 そして、自分の事業のことを熱く語っていただいています。特に技術肌の経営者は技術のことを何度も何度もお話されます。

 「こんなにいいものなので、必ず売り上げは上がります」と言われるのですが、いいものが売れるという保証はどこにもありません。

 「で、どのようにして販売されるのですか」と質問しますと、ほとんど、明確な答えが返ってこないのです。「今、考えているところです」「これから考えます」とこんな感じです。

 このような回答を聞き、「3年後には、年商50億円になります」とお話されても、どうしてもピンと来ません。

 「仮に、社長の言われるように売り上げが上がったとしましょう。一般論で申し訳ありませんが、社長の計画のとおり急激に売上が上昇しますと、資金不足に陥ったり、社内の管理体制が間に合わず、会社がガタガタになることが多いのですが、社長の会社は大丈夫ですか?」

 このような質問をしますと、「売上の急上昇がどうして資金不足の原因となるのでしょうか」と疑問に思われる経営者もいます。

 「すべて現金売上で、仕入れの支払いが一ヶ月以上先の事業であれば、どんなに急激な売上増があっても資金ショートは起きないと思いますが、通常は違いますから・・・」

 ここで経営者は気がつかなければなれません。売上の急激な増加は、売掛金の急激な増加を招き、資金ショートになることを。これは経営の基本中の基本です。

 上場会社の経営者になってはいけない経営者があまりも多いことは、上場後、経営を放棄したかのように、日々、多額のキャピタルゲインを投資に使っていることでもよくわかります。

 ところでお金について、「私は、お金儲けのために上場を考えているのではありません」と言われる経営者がいます。

 たしかに、美しい言葉だと思います。しかし、すべての人とはいいませんが、上場が現実に見えてきますと、より多くのお金が欲しくなるものです。

 ですから、最初から、○○円位はお金が必要だと明確にしていただくようにしています。

 このことは別に恥ずかしいことではありません。なぜなら、会社というものはいつ何時、多額の資金が必要となるかわからないのです。そのため、経営者は潤沢な資金を持つか、そうでなければ資金調達能力が必要なのです。IPOも資金調達の一環として考えればいいかと思います。

 ですから、経営者がキャピタルゲインを得る事は会社にとって重要なことなのです。

 また、上場時に会社の資金調達金額がいくらで、何に使いたいかということも明確にイメージしておくことも大切です。

 「上場時の資金で、M&Aをして拡大する」という経営者もいます。もちろん、M&A自体、成長戦略の一環として大切な手法です。

 しかしながら、M&Aをするために上場をするということは、少なくても今の日本ではあまり受けいれられない環境にあることは知っておくべきです。

 本業の成長というものがとても大切なのです。




海生裕明
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