社長のためのIPO塾(上場塾) 04号

【第四限目】 IPOコンサルタントから見たIPO

 今回は、IPOコンサルタントといわれている人から見たIPOのお話をいたします。IPOコンサルタントはどんな人かといいますと、証券会社出身者、会計士、実際に公開準備の社員として上場準備を行った人などが主です。





【第四限目】IPOコンサルタントから見たIPO

 「私はこれまで何社も上場させた」と豪語しているコンサルタントがいます。そんな言葉にだまされてはいけません。なぜかといいますと、上場準備作業をするのは会社自身ですし、コンサルタントはあくまでもサポートをする人間です。

 確かに、コンサルタントの指導により上場できたにしても、膨大な上場準備作業をするのは上場準備会社の社員です。

 IPO請負人として、実際に公開準備会社の社員として公開準備を行った結果のことばであればいいのですが、世の中、公開準備会社の社員となって、何社も公開することは時間的にも体力的にも不可能です。できてもせいぜい2社か3社でしょう。

 なぜならば、通常、公開準備期間として、少なくても2年間は必要ですし、その準備作業のボリュームは尋常ではありません。公開準備経験者は「二度としたくない」といわれるくらい過酷な作業です。

 最近では、せっかく準備をしながらも、なかなか上場申請できない会社も多くありますし、上場申請をした後、申請を取り下げるケースも出てきていますので、その場合の担当者の疲労感は計り知れません。上場準備作業は上場という華やかなイメージとは逆で、とても地味で大変な作業なのです。

 実際の公開準備作業、つまり上場審査のための資料作成は、上場直前期(具体的に、上場申請時期より1年くらい前)となりますので、それまでは、上場準備会社は、通常の会社のように、取引関係の書類(契約書、各社議事録、帳簿等)の作成が大切になります。

 つまり、監査法人の監査を受ける体制に会社を持っていかなければ上場は不可能です。この帳簿作成までお手伝いしてくれるコンサルタントはいないと考えてください。

 ところで、創業当初のベンチャー企業は、通常、資金が不足しています。ですから、IPOコンサルタントの最初の業務は、資金調達支援と資本政策に集約されます。

 「いま、ここまできているが、後、○円あれば、必ず収益は上がります

 「いつまで、必要なんですか

 「今月末までです

 「もしかしたら、その資金は、開発資金というより、運転資金や過去の債務の支払ではありませんか

 「・・・・・」

図星なのでしょう。すべての経営者とは言いませんが、簡単にお金が出ると勘違いしている方が多すぎます。

 「もちろん、今日まで、銀行やさまざまなところに資金の相談はしてきたんでしょうね

 こんな質問をしますと、当然ですという経営者もいますが、どう見てもウソだとはっきりとわかる経営者が多いのが現実です。中には、どうせ銀行に行っても貸してくれませんから・・・と平気で言う経営者もいます。そのような経営者にお金を出す人はいません。

 IPOコンサルタントに対して、お金の相談をしてくるベンチャー企業が大半です。ですから、コンサルタントはベンチャー企業のお金という言う大事な部分をにぎれますから、経営者に強く要求できるのです。

 IPOコンサルタントも慈善事業をしているわけではないため、何で儲けるかを考えます。

 例えば、資金調達をアレンジした場合、資金調達額にもよりますが、大体、調達額の5%程度は手数料を取られます。また、お金のないベンチャー企業に年間のコンサルティングフィーを平気で要求してくるコンサルタントもいます。

 資金調達のアレンジをし、手数料を獲得し、さらに、ベンチャー企業にとってみれば年間何百万円という多額のコンサルティングフィーを要求するのです。

 簡単に言えば、調達した資金をコンサルタント自身の手元に還流する仕組みが作られているのです。

 リスクを負わず、自分だけ儲けようとするコンサルタントには十分注意が必要かも知れません。

 コンサルタントの中には、自分で投資をする人もいます。もちろん、投資をする額にもよりますが、リスクをとるコンサルタントは大体、信用してもいいのかもしれません。

 また、コンサルタントに対して、報酬としてストックオプションを付与することは必要だと思います。IPOが実現できれば、コンサルタントはストックオプションを行使して売却することで成功報酬を得られますし、会社としてもなんら負担はありませんからコンサルタントの報酬として一番いい方法だと思います。

 このように、IPOコンサルタントから見れば、IPOはおいしいのです。言葉は悪いかも知れませんが、経営者はコンサルタントの餌食にされないよう十分に注意が必要です。

また、コンサルタントが誰の紹介かもしっかりと見極める必要があります。株式公開というひとつの物語が、いわゆる出来レースとなっていることがよくありますから。


海生裕明
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