社長のためのIPO塾(上場塾) 02号

【第二限目】 投資家から見たIPO

 今回から5回にわたり、5つの違った目でIPOについてお話をしたいと思います。

今回はまず、投資家(個人投資家やベンチャーキャピタル)から見たIPOのお話です。

次回以降は、監査法人から見たIPO、IPOコンサルタントから見たIPO、証券会社から見たIPO、上場準備会社から見たIPOのお話をさせていただきます。




【第二限目】投資家から見たIPO

 投資家にも金融機関等の機関投資家や外人投資家等いろいろありますが、数が多いのは個人投資家です。IPO株を獲得するために必死となっているIPOマニアもいるくらいです。IPO株獲得のため、一人でいくつかの証券会社の口座をもち、IPO株を申し込んでいるようです。

 たしかに、IPO株は、公募価格(IPO株を取得する際の価格)より、初値(上場時において最初につく株価)が上がる可能性が高く、また、タイミングよく売却すれば公募価格の何倍も値段がつくことがよくあるため、通常の株式を購入するより儲かる確率が高いようです。

 IPO株は、公開後、すぐに売り抜ける個人投資家が多いため、IPO株は、公開後、株価がとても不安定になってしまうことが多々あります。上場直後の社長は、株価の乱高下で眠れない日々が続きます。

 IPO株の場合、これまではネット証券会社以外の証券会社において、特定の顧客に対して優先的に割り当てていたのですが、平成18年7月以降、IPO株を抽選で配分する割合を証券業協会の規則により10%以上にしなければならなくなったため、より多くの個人投資家にもIPO株が当たる確率が高くなってきています。ですから、今後、IPO株はますます、個人投資家からすればおいしい銘柄となっていきます。

 逆に、人気のないIPO銘柄の場合、初値が公募価格割れとなる場合もでてきますが、その確率はかなり低いようです。

 ところで、昨年からよく投資事業組合といわれているものが登場しています。これは、投資家から資金を集め、組合を設立し、その組合名義で上場準備会社に投資をするものです。この場合、投資者名義はあくまでも投資事業組合ですから、個々に投資した名義は表には出てきません。

 しかし、最近では、この投資事業組合にも規制の手が伸びてきました。
 ある特定の会社に投資するために、投資家を集め、投資事業組合を設立し、上場準備会社に投資をする、いわゆるターゲットファンドといわれるものに対して、昨今の事件の影響もあり、最近の証券取引所の見解ですが、ターゲットファンドが株主になっている会社の上場申請は受け付けないという考えのようです。

 つまり、名前を出せない人が隠れて投資をするような会社は、上場させないということですので注意が必要です。

 「あの会社は来年上場するから、株を持たないか」という言葉、つまり未公開会社の株取引にも十分に注意すべきです。

 この場合、本当にその会社が上場するかどうか、誰に聞いてもわかるものではありません。

 もちろん、その会社の監査を担当している監査法人の会計士を知っていれば別ですが、それでも彼らは確かな話をしてくれません。

 この場合、投資のイロハですが、上場準備会社に出向いて、直接、経営者等から話を聞いてみることです。

 上場準備会社のまわりには一攫千金を狙って、さまざまな人が絡んできますので気をつけたいものです。

 ところで投資家の中でもIPOに関してとても大きな役割をもつ機関として、VC(ベンチャーキャピタル)がいます。VCは、資金不足に陥っている上場準備会社に対して、アーリーステージ(上場まで2から3年以上前)から数千万円の資金を投じてくれます。ですから資金不足の上場準備会社からすれば神様のような存在かもしれません。

 しかしお金が必要だからといって、軽い気持ちでVCから投資してもらいますと、VCは、時として投資家の立場で経営者に対して意見をしてくることがよくありますので、その点を考えて投資してもらうことが大切でしょう。

 また、アーリーステージから株式を保有しているVCの立場からすれば当然ですが、VCが保有している株は公開後にほとんど売却されてしまいます。VCは上場準備会社の株式を数十%も取得している場合がありますが、その株を上場後に一気に売却すれば、株価は急降下することになります。

 証券会社の公開引受担当者からすれば、安定株主が少なく、かつVCのシェアが大きな上場準備会社は資本政策がよくできていないという理由で相手にしないことがありますので、上場に向けての資本政策というものがとても重要になってきます(資本政策につきましては、また、後日お話いたします)。

海生裕明
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