社長のためのIPO塾(上場塾) 01号

【第一限目】 そもそもIPOって何?

 皆様、はじめまして。

 今回、IPO塾(上場塾)を担当させていただきます海生(かいお)と申します。私は現在、ある証券会社で資本市場本部(投資銀行)担当取締役として、株式公開引受業務、投資銀行(M&A、資金調達等財務アドバイザー)業務を行っています。

 私自身のIPO関連のお話をさせていただきますと、株式投資暦25年の個人投資家であり(証券会社に入社したため、現在は投資をやめております)、会計監査を本職とする会計士であり、また、IPOコンサルタントとして上場準備会社を支援し、また、自らIPOを目指しIT企業経営にCFOとして携わる経験をさせていただきました。

 IPO関連業務で唯一、残っていたのが、株式公開引受業務です。幸か不幸か、このたび証券会社におきまして株式公開引受業務に携わることができましたので、IPOに関して経験したくてもできないポジションにつけたことを大変嬉しく思っています。

 今回のIPO塾では、このような経験を踏まえ、さまざまな角度からIPOについてお話ができればと考えています。IPO塾では、文章として残すことがなかなかできないIPO裏事情もありますが、その話は、セミナー開催の時にお話ができたらいいかと思っています。




【第一限目】そもそもIPOって何?

 IPO(Initial Public Offering)とは、新規公開のことをいいます。つまり、会社の株式を新規に証券取引所で取り扱ってもらい(これを上場といいます)、これにより証券市場つまり投資家から資金を調達することができるようになります。

 未公開会社、つまり上場していない会社の定款には、「当社の株式を譲渡する場合は、取締役会の決議が必要である」という規定があります(これを譲渡制限会社といいます)。もちろん上場会社になれば、公開企業ですから、譲渡制限は廃止しなければなりません。ですから、さまざまな株主が上場会社に存在することになります。

 オーナー経営者は、上場時に、オーナーが保有しています株式を市場に放出(これを「売出し」といいます)することにより、キャピタルゲインを得る事ができます。

 逆に、オーナーは、この上場時でなければ、それ以降、なかなか自社株を売却することができなくなりますので注意が必要です。

 そして、上場する会社は、上場時に新規に株式を発行して、市場から新規に資金調達(これを「公募)といいます」します。

 ITバブルの際は、オーナー個人にも会社にも、上場により100億円以上の資金が入ってきたようですが、最近では、このようなことはまれで、新規公開会社の中には数億円程度の資金調達の会社もあります。

 資金調達額の多寡にかかわらず、不特定多数の投資家から資金を募集する以上、上場会社は、金融の憲法といわれています証券取引法などの法令によって会社の業績等を定期的に開示することが義務付けられることになります。これがとても大変な作業なのです。

 株式公開予備軍は、数千社あるといわれていますが、1年間に証券取引所(日本には東京証券取引所、大阪証券取引所、ジャスダック証券取引所、名古屋証券取引所、札幌証券取引所、福岡証券取引所の6箇所あります)に上場する会社の数は、160社前後となっています。

 どうしてこのように上場する数が少ないのでしょうか。

 先ほどの上場予備軍数の中には、ただ単に「いずれは上場したい」程度の会社も含まれているかも知れませんが、きちんと売上も利益も上がっているにもかかわらず、なかなか上場できない(正確には、上場させてくれない)会社もあります。

 これは、会社自身の問題(例えば、経営者や事業の内容、株主に問題がある等々)だけでなく、多くの場合、上場に関して大きな役割を持つ証券会社・監査法人に原因があります。

 まず、証券会社ですが、上場時の公募の規模が小さい会社の主幹事は引き受けないという傾向にあるようですし、また、証券会社によっては、地方の会社に対してあまり積極的ではないこともあります。

 これは、上場までの期間、証券会社の公開引受部には収益が上がらず、地方の会社ですとコスト倒れの可能性があるからです。ですから、証券会社の中には、コンサルティングと称して、上場準備会社に対して多額の報酬を取るところもあります。

 このような理解しがたい場合は別として、多くの企業が上場できない大きな理由に引受と審査をする人材不足があげられます。このため、年間200社以上も引受・審査を担当できないのだと思います。

 他方、監査法人においては、公開企業が3月決算に集中していますので、完璧に人材不足となっています。ですから、今後、上場を考えられるのであれば、3月決算の会社は決算月を3月から他の月に変更されることをお勧めします。

 また、上場のためには2年間の監査が必要です。最近では、いろいろな事件があったため、特に在庫のある会社は、3年間の監査法人(公認会計士)の監査が必要になってくる可能性が高いので、早めに上場を意思決定され、準備されることをお勧めいたします。


 これから今回も含め、24回、IPO塾を開催してまいりますが、その都度、新しい情報を掲載しようと考えています。ただ、公表されない情報等もありますので、その場合は、ニュアンスだけお知らせすることになるかもしれません。

セミナー開催の際は、それらのこともお伝えできるかもしれません。

海生裕明
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