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板垣宏征の「見えない・からだ学」 98

【血管さんの気持ち

 僕は、血管平滑筋細胞。コレステロール、脂質、カルシウム沈着…、動脈硬化をつくるこれらの要因には、みなさん、だいぶ気をつかって下さるようになりましたけど、今日は、僕にとって、もっと大事なことをお伝えしようと思って、登場いたしました。よろしくお願いします。

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 日本人の年間の死亡者は、約109万人。がん、心臓疾患、脳卒中、というのが保険のCMでもさかんに連呼されています。

 確かに下の図で見るとおり、平成18年度統計では、がん、心臓疾患、脳血管疾患で3分の2の死因を占めています。


◎日本人の死亡原因



 心臓疾患のうち、もっとも多いのが心筋梗塞ですが、これは、心臓をとりまく「冠状動脈」がつまることによって起こります。

 心臓疾患も、脳血管疾患も、言ってみれば同じ血管病。つまり、全死因の3分の1は、血管病によるものなんですね。

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 僕は、その名が示すとおり筋肉で出来てるんです。下の図で、僕の居場所がわかりますかー。



 動脈、静脈、毛細血管。僕らを全部つなげると…、驚かないで下さいね。その長さはなんと、9万kmにもなるんですよ。

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 血管は、動脈も静脈も、三層構造になっています。血液に触れる内側から、内膜、中膜、外膜。中膜は主に、「平滑筋」という筋肉細胞からできています。

 そう、「血管は筋肉である」というのが、ひとつのポイントなのです。ただ、血管の筋肉は腕や足の筋肉とはちがい、「不随意筋」という私たちの意志の届かない所で働いてくれている筋肉です。

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 僕が筋肉であるということは、僕も、緊張するってことなんです。膨らんだり縮んだりして、僕らの運動が全身の血液循環を維持しているんですけど、緊張が来ると、僕らは縮んだまま、一瞬フリーズしちゃいます。

 気恥ずかしさに顔が紅潮するってあるでしょ。あれは、緊張で一瞬、僕らが止まっちゃうもんだから、すぐさま血流を取り戻そうとして、今度はその分を拡張するから、起こるんですよ。

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 死因第3位の脳血管障害については、現在、それによる死亡率は減少傾向にあります。しかし、脳血管疾患が起こる率自体は、年々上昇しているのです。

 救急措置の技術向上により死亡率は低下しているものの、脳血管疾患がもたらす後遺症は、長嶋監督やサッカー日本代表前監督のオシム監督のケースが示すがごとく、とても辛いものです。

 お二人のように、とても大きな心理的プレッシャーがかかり、それに各地を飛び回ることによるその土地土地の気候・気圧の変化は、脳血管に限らず、全身の血管を緊張させます。

 動脈硬化の最大の要因は、連続する血管筋肉の緊張、そして、それを取り戻そうとする拡張作用により、血管の拡張領域にムリがかかる結果という見方もできるかも知れません。

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 僕らにムリがかかるのは、たぶん靭帯とかを伸ばすのに似ています。急な運動で、靭帯が伸びちゃう、あるいは切れちゃうと、すぐさまそこを修復する物質が集まってきますね。

 僕らも同じように、伸びちゃったりしたところに、バンドエードみたいに上から張り付いてくれる物質があるんです。それがコレステロールさんです。

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 動脈硬化は、血管内壁に血小板、マクロファージ、石灰(カルシウム)沈着、コレステロール、酸化脂質などの付着によって起こるとされています。

 でも、もとはと言えば、血管がケガをした、と考えるとわかりやすいかもしれません。動脈硬化を起こした血管では、平滑筋細胞の増殖が起こります。

 これは、ある一箇所に持続した緊張がかかる血流の結果、その血管が発達した結果と見ることもできます。

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 僕らの運動が不規則だと、血液の流れがスムーズでなくなるでしょ。つまり、血液の乱流っていうのをつくっちゃうんです。

 何事も、滞留するとよくないですけど、川の流れを見ても、水の流れが乱流して滞ったところへゴミが溜まります。僕らの運動が不規則であればあるほど、血液中のゴミである微小血栓をつくることになるんですよ。

 僕らの緊張は、動脈硬化をつくり、血栓をつくるっていうこと、よく知ってほしいんです。もちろん食べ物も大事ですけど、僕らの緊張を起こす最大要因は、「プレッシャー」という皆さんの感情です。

 もちろん、みなさん人間は、プレッシャーを感じない人なんていないでしょう。でも、プレッシャーを我慢すればするほど、その取り戻し分の拡張をしなくちゃいけないから、僕らがよりケガをしやすくなるんですよ、それをよく知っておいてほしんです。

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 心理的プレッシャーと並んで、血管を緊張させるもうひとつの要因があります。日本人の死因の大きな位置を占める心臓疾患、脳卒中ですが、心臓発作のときには、超低血圧、脳血管発作のときは、超高血圧、が生じると言われています。

 あるお医者さんの研究によると、発作時に共通して生じている体内の様子は、

 1. 血管の急激な痙攣

 2. 血管の炎症なのだそうです。

 そして、この痙攣・炎症はどこから来るのかというと、おどろくべきことに、腸内の酸化腐敗物による毒素からなのです。

 心臓にしても脳血管にしても発作時には、腸内から異臭がするのが共通点。これは驚きの事実ですね。

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 僕ら血管の緊張は、そう、腸内環境から送られてくる毒素も要因のひとつなんですよ。おならを我慢し続けていると、しまいにはもよおさなくなるでしょ。

 しかたないので僕らが吸収しているわけですけど、あれはよくない。微妙なけいれんを起こしてしまいますからね。

 腸内環境と僕らの関係なんて、みなさん、考えたこともないでしょうけど、おなかの調子をよくすることは、僕ら血管の若々しさを保つことにもつながるので、ぜひ気をつけてくださいね。

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 【血管平滑筋細胞から学ぶこと】

 緊張は、誰しもするもの。緊張に対する我慢の仕方が、問題を大きくするかどうかの分かれ道なのだ。

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 株式会社ウォーターソリューション/ ココロとカラダの謎研究所 
  代表取締役 板垣宏征  http://kireinococoro.com/

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