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板垣宏征の「見えない・からだ学」 84号 |
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【症状イメージ・マップ】その4 〜認知症〜 |
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| 認知症は、現在、急速にその数が増えており、社会問題にさえなっています。身体的症状を、潜在意識の欲求に変換する『症状イメージ・マップ』、今回のテーマは「認知症」です。
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カウンセリングに使用する【症状イメージ・マップ】
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| ○クライアント:60代女性、主婦 4回目のカウンセリングで、これまで付いてきて頂いていたご主人の代わりに、息子さんが付き添いで来られました。 これには理由があります。過去3回のカウンセリングの中で、このクライアントさんには記憶トレーニングを実施していました。 ・今、おいくつでしたっけ? ・ご主人のお名前は何でしたっけ? ・息子さんのお名前は何でしたっけ? ・娘さんのお名前は? ・お孫さんのお名前は? 上のような質問の中で、唯一、明確にお答えになられたのが、息子さんのお名前だったのです。 ―――次男さんのお名前は? ―――「たかちゃんです!」 進む認知症症状に打開策を見つけるべく、今回、忙しい中、無理を言って代わりに付き添いに来て頂いた「たかちゃん」こと次男さんに、症状イメージ・マップでヒアリングしていきました。 ○中心テーマ:母親の認知症 ―――真ん中に「お母さんの認知症」と書きますね。では、まずお母さんの認知症から来る率直なイメージからお聞かせ頂けますか? Dさん:そうですね…。つらい、我慢、抑圧、よくがんばってきた…。 ―――おお。ちょっと、ゆっくりお願いします。「つらい」「我慢」「抑圧」「よくがんばってきた」ですね。 Dさん:はい。母は、ほんとうに父のために尽くして来た人だと思います。 ―――「ご主人に尽くして来た」と。ご主人は、つまりDさんのお父さんは、どんな方なんでしょうか。 Dさん:まじめで、人当たりはいいのですが、世間体を気にする面があります。大きな会社の役員なもんで、いつも相当なプレッシャーがあったんです。 ―――「まじめ」「人当たりはいい」「世間体に対するプレッシャー」と。 Dさん:はい。父親が外で抱えてきたストレスを、母は一身に背負っていたと思います。もともと母は楽天的な性格なので、父をよく励ましていました。 ―――「背負っていた」「もともと楽天的」「励ましていた」と。そうか、Dさんから見るに、お父さんのストレスが、お母さんの病状の原因ということですか。 Dさん:そ、そうはっきりは言えませんが…。 ―――「はっきりは言えない」と。はい、ちょっと話題を変えましょうか。最初の円から「我慢」「抑圧」ってイメージが出てきましたけど、お母さんはどんなことに「我慢」してきたのでしょうね。 Dさん:それは、やっぱり、父の態度ですね。上からモノを言う、というか…、父の言動は、暴力までは振るわないものの、いつも抑圧的だったように思います。 ―――ここも「抑圧」ですか。お父さんの「上からモノを言う」態度に、お母さんは我慢してきたのですね。 Dさん:そうです。母は相手の気持ちを読み取ることがうまい人なので、父の気持ちにさっと入って、自分の感情はいつも二の次にしていました。 ―――「相手の気持ち」「感情は二の次」と。お母さんには、その時のお母さん自身の気持ちがあったけど、ご主人の手前、それは表に出さなかったと? Dさん:はい、そうだと思います。やさしい母でしたから。 ―――「やさしい母でした」ですか。Dさんにとっても、やさしいお母さんだったのですか。 Dさん:はい、それはもう。私達兄弟は、いつも母から褒められて育ったように思います。 ―――なるほど。「褒められて育った」んですね。聞くところによると、ご兄弟とも有名大学を出られて、就職先も皆さん超一流だとか。それはお母さんのおかげという側面が強いとお感じですか。 Dさん:母親ばかりではありませんが…、父も進学のときや就職のとき、親身になって助言はしてくれましたし。 ―――「助言」と。なるほど、相談ではなく、「助言」をもらったと。 Dさん:…? おっしゃっている意味がよく分かりませんが…? ―――助言は一方的な行為ですよね。つまり、相談ではなかったんですね。 Dさん:そ、そう言われると…。父は尊敬すべき存在でした。あまり、私の意見を言ったということはありません。 ―――なるほど、「尊敬すべき存在」と。ところで、マップから話はズレますが、いま、お住まいはどちらなんでしょうか? Dさん:いまは、同居ではないんです。両親の家から歩いて5分程度の近所には住んでいますが、私も仕事が忙しく、小さい子どもが3人いますので。 ―――そうですか。小さいお子さん3人は、奥さんも大変な時期ですね。 Dさん:そうなんです。妻も私を支えてよくやってくれていますし、本来は、母親に子育ての手伝いもしてほしかったのですが…。 ―――なるほど、同居どころではないですよね。 Dさん:はい、じつは同居については何度も考えたんです。母が認知症になったと聞いたとき、僕はちょうど転勤の時期で。東京にいたのですが、願いを出して家族でこちらに移ってきたんです。 ―――おお、それは大きな決断でしたね。 Dさん:そう、両親のことは気になるけど、近所に住むというところまでがギリギリの選択でした。妻も知り合いもいない土地で、がんばってくれていますし。 ―――そうか…。 Dさん:なにか? ―――いえ、…Dさんは、「同居」がお母さんの症状を解決していく糸口になるとお考えなんですか? Dさん:…。まあ、息子としての責任もありますし。 ―――でも、お兄さんも、妹さんもいますよね。 Dさん:妹は、○○家の嫁ですし、兄は仕事で海外なんです。 ―――「妹は嫁」「兄は海外」。だから自分が「責任」を、と? Dさん:…いずれは、同居しかないと思っています。でも、今のうちの状況では…。父と母といっしょに住むと、僕の家庭の方が壊れてしまいそうで。 ―――Dさんは、精一杯されていると、僕も思いますよ。その気持ちはお母さんには痛いほど伝わっているはずです。同居ということについて、お父さんにはお話されたことはあるんですか? Dさん:いえ、とんでもない。父にはとても相談できません。僕がそう考えていると思われたら、既成事実で話が進んでしまう。 ―――むむむ。「既成事実」。 Dさん:父も毎日、母の世話で大変だろうと思います。できれば、手伝ってやりたいし、安心もさせてやりたい。でも、先ほども言ったように、うちにも余裕がないんです。 ―――あのー、果たして「同居」ということを、お父さんは望んでいらっしゃるのでしょうかね。お父さんにとってDさんは自慢の息子さん。お仕事でご活躍とのことは、お父さんは何度も僕にお話下さっていましたよ。たしかに頼りになる息子とは思っていても、迷惑をかけるわけにはいかない、とお考えなのでは? Dさん:…。 ―――先ほど、「同居」を「責任」とおっしゃっていましたね。Dさんが「責任を負う」ことが、お母さんの症状を解決することになるでしょうか。僕は、何とかお母さんの症状を回復、あるいは少なくともこれ以上、症状が進まないようなお手伝いができればと思っています。今日、わざわざDさんにお越し頂いたのも、周りでどのようにその環境を模索していくかを考えたかったのです。 Dさん:…つまり、僕は、どうすればいいと? ―――お話の最初の方で、お母さんは、お父さんが外で抱えてきたストレスを、一身に「背負っていた」とおっしゃっていましたね。Dさんも問題解決の方法に、自分が「背負う」ということを選ぼうとされていらっしゃるように見えるのですが。 Dさん:…。 ―――それは、お母さんにとっても、お父さんにとっても本意ではないはずですよね。誰かが「我慢」する状況は、もう誰も求めていないでしょう。 Dさん:おっしゃりたいことは理解できます。でも、だから、僕にどうしろと? ―――…お母さんはこれまで、自分の「気持ちを二の次」にされて来た。ご主人に「気持ち」が伝わっていれば、もう少し状況は変わっていたのかも知れないわけですよね。つまり…、どうですか? お父さんにDさんの「気持ち」を伝えてみるというのは。『俺はこんなふうに思う、俺の気持ちはこうだ』と。決して、『こうしたらいい』とか『こうすべきじゃないか』という提案はしない。お父さんと、気持ちを共有してみるんです。 Dさん:…気持ちを共有、ですか? ううん、考えてみますが、うまくいくのかな…。 ―――僕は、カラダのどんな症状にも、その背景には、潜在意識の欲求が隠れていると考えています。このような提案をさせて頂くのは、お母さんが、認知症という症状で表現されているのが言語理解のストップである、というところからです。言葉は理論を表現します。でも、もうひとつ、気持ちを伝えるためにも言葉は使われます。僕が思うに、気持ちを通じ合うということが、何らかのカギなんじゃないか、ということです。お父さんとDさんが気持ちを通じ合わせるのが、お母さんが望むことのひとつではないかと…。 Dさん:…。 そのときでした。一部始終を横で聞いていたお母さんの目から、大粒の涙が零れ落ちたのは…。 何もわからないはずの認知症の母が…。Dさんは、少しびっくりした様子で、自分のポケットからハンカチを取り出し、母親の涙を拭ってあげていました…。 しばらくして、Dさんはこうおっしゃってくれました。 Dさん:…お互い苦しい状況はわかっていますから、父と気持ちを共有するなんて、何だか僕自身の感情が噴き出してしまうそうで…。ちょっと恐いんです。でも、折を見て、父と話を始めてみたいと思います。母が抑圧してきた気持ちが、それで少しでも晴れるなら、また、どこかで「自分のせいで」と自分を責めている父を救うことができるなら…。
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株式会社ウォーターソリューション/ ココロとカラダの謎研究所 |
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※板垣宏征氏に質問のある方は、なんでも結構ですので下記にお寄せください。 okada@jmca.net
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