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板垣宏征の「見えない・からだ学」 68

「予防のココロ 〜認知症〜

 「予防のココロ」シリーズ第6回は、認知症です。

 認知症は、人口減少と超高齢化社会を迎えている日本にとって、いま、深刻な問題になっています。

 ●認知症の高齢者の数は、なんと150万人を超えると言われています。

 ●85歳以上の老人の4人に1人が認知症、という現実があります。

 じつは、認知症とは、ご家族の問題が個人のカラダに現れた結果なのです。

 誤解を恐れず言えば、例えば、奥さんが認知症になった場合は、ご主人が奥さんにかけた苦労を、奥さんがご主人へ別の形で苦労を返す、という側面があります。

 また、ご両親の認知症の介護は、子どもさんにとっては体力的なこと以上に心理的なダメージがあります。「あの元気だった母が・・・」や、「あの厳格だった父が…」などです。

 でも、客観的に立場を逆転させると、かつて自分がかけた心理的な苦労(「この子は何を考えているのか理解できない・・・」など)そのものを、親御さんから認知症という形でお返しされている、という側面があります。

 もちろん、認知症すべてがそうであるわけではありません。それに、この病はご本人より、ご家族の方が本当に大変なのですから、「お返し」というのは、何かやりきれない気持ちになりますよね。

 けれども、そういう側面というのは、本人同士ではなかなか見出せない関係でもあります。

 私は今まで、多くの認知症の方のサポートに当たってきましたが、認知症の方というのは、その方の世界に入った会話しか通用しません。

 だから、最初、私とクライアントである認知症の方との会話を、横で聞いているご家族には奇異に感じるかもしれないですが、私はクライアントと、勝手にその世界で会話を進めていきます。

 私と認知症のクライアントとの会話は、一見、矛盾に満ちた会話です。しかし、あるリズムで質問を続けていくと、だんだんとまわりの人にも、そのクライアントの世界のルールというものが見えてきます。

 すると、ご家族も私の意図を汲み取ってくれて、口を挟まない、という協力をしてくれるのです。

 さて、それではこれをリーディングしてみると、どのようなことが見えてくるのでしょうか。

 【波動リーディングデータによる認知症の背景にあるココロ】

 ・自尊心とプライドを傷つけられる。

 ・抑圧感、ガマン。

 ・ガマンをガマンと感じられなくなる。

 ・郷愁。現実逃避の願望。

 ・見え透いたココロを覗かれているのではないか、という不安

 ・言い訳、理由付け、自分の責任を回避する傾向。

 ・現実は変えられないというあきらめ。

 【リーディングの考察】

 認知症には個々別の背景があるので、クライアントの世界は様々です。

 ただ、共通点として、「家族との意志の疎通がうまく行かなかった」というのがあります。これが、認知症という病が訴える、最大のココロです。

 これには「不明瞭な言葉の使い方」「イメージしにくい言い回し」などが影響しています。

 というのも、脳は言葉を聞くとき、本を読むとき、「ウェルニッケ中枢」というところで、聞いたり読んだりしたことを、もう一度繰り返しています。

 これを「追唱(ついしょう)」と呼びますが、通常、脳は入ってきた情報を処理し、これまでの経験と照らし合わせた上で、パターン認識をしているのです。

 つまり、言葉を再度イメージ化し、自分の認識で相手の意図を色づけするのです。

 だから、脳にとって、いつも言葉(とくに固有名詞)をきちんと発することは、とっても大切なことなのです。

 ところが、認知症の方には、それ、あれ、あそこ、あの人、なにして、そういうこと…などの「そ・こ・あ・ど」を連発する人が多いのです。これでは言葉を現実のものにイメージする力が、だんだん弱くなってしまいます。

 またそれは、クライアント自身がそうであるばかりでなく、周囲にいる家族が、「意図を察しろ」とばかりに、明確に言葉を使わないケースで起こる場合もあります。

 このように、相手の意図がわからない、伝わらない、あるいは伝わっているつもりがそうでなかった、というストレスは、じわじわと脳を弱らせていきます。これは恐ろしいことです。

 認知症の予防には、日頃から「はっきりと言う」「きっちりと固有名詞を使う」「相手との共有のイメージをいつもいつも再認識する」などを心がけることが重要なのです。

 さて、ここで参考までに、脳のネットワークについて知っておきましょう。

 認知症の最大の敵は、ご本人の、「年齢とともに脳細胞は死滅していくんだからしょうがない」というあきらめのココロです。

 そういう方は、脳細胞はもう、20代をピークにどんどん減り出すことを知っておいて下さい。つまり、若年、老年に関わらず、20代をこえると、脳細胞は死んでいくのです。

 それよりも、脳にとってもっとダメージとなるのは、“脳の各部位を結ぶ回路を十分に使わない”ことの方なのです。

 カラダの筋肉は使わなければ痩せていきますね。これは、脳も同じで、使わない回路は神経伝達物質が通りにくくなるのです。

 つまり、「筋トレ」で筋肉の筋線維が1本ずつ太くなっていくように、脳だって「脳トレ」で、回路を太くすることができます。

 もっと分かりやすく言うと、水の流れを想像していただくとよいかも知れません。

 乾いた場所に、水の流れをつくるのは大変です。でも、最初の一滴(ひとしずく)さえ通れば、あとはそこを轍(わだち)に、水の通り道というのはできます。

 つまり、小さな水流があると、そこからどんどん流れの勢いがついていきます。

 同様に、一度カラダができるようになった脳回路の流れというのは、次にやるときは簡単に通ります。自転車乗るのもそう、鉄棒もそう、英単語を覚えるときも、数式を覚えるときも、いったんコツをつかむと、すいすいと頭が働くようになるでしょう? 

 そして、認知症の方というのは、じつはその最初の通り道を通すのがうまい方、つまり、「若い頃はたいへん要領よく何でもこなす方だった」人が多いのです。

 そういう人は、ぱっと見て、物事の要領をつかんで、さっと処理してしまうので、なんでも人の手を借りずに自分でやってしまう傾向があります。

 いちいち言葉にして説明するよりも自分でやったほうが早い、というケースですね。

 しかし、これがキケンなのです。なぜなら、自分でやってしまうこと以上に、相手に言葉で伝えることの方に価値があることだってあるからです。

 というのも、脳では、いったん回路を通した後、その回路を強めたり、高めたりすることが大事なのです。そして、それを最大限引き出す行為が、誰かに教える、伝えるということなのです。

 【ココロのエクササイズ 認知症】

 ・ふだんから明瞭な言葉を使い、相手との共有イメージをいつも確認する。

 ・相手の目をみる。

 ・何でも自分でやってしまわず、誰かがやってくれるのを待つ心の余裕を熟成させる。

 ・教える、伝える。自分の持っている技能を言葉で表現する。

 「黙して語らず」の美徳がありましたけど、情報が異常に増えている現代社会では、きちんと言葉を駆使することがたいへん重要なことになってきました。言葉は人間だけに与えられた高度な技術です。これを使わない手はないですよね。

 株式会社なぞけん ココロとカラダの謎研究所 
  代表取締役 板垣宏征

 ※板垣宏征氏に質問のある方は、なんでも結構ですので下記にお寄せください。 okada@jmca.net
 ●板垣氏のパーソナル・リーディングについて
 3月29日(木)、東京サロンにて板垣氏による「予防のココロ・エグゼクティブコース」が実施されます。板垣氏とのマンツーマンの個人リーディングで、ガン、脳卒中、心臓病など、気になる病気を予防する心のケア方法を、じっくりアドバイス。詳しいお問い合わせは078−782−6673/ info@nazoken.com まで。


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