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板垣宏征の「見えない・からだ学」 52

「潜在意識と病と  〜死に対する恐怖というテーマ〜

 死ぬのはみんな恐い。私だってそうです。

 私は小さいころ、「今日こそ自分は死ぬのだ」という恐怖に怯えていた時期がありました。

 学校に行くのが恐くて恐くてしょうがない。今日は車にぶつかるかもしれない、今日は誰か悪い人にさらわれて殺されるかもしれない、今日こそは登校中にいつも会うあの大犬に噛まれて、死ぬかも知れない・・・。

 今から思えば、何であんなに恐かったのか? 不思議でしょうがないのですが、少年の私には日々の大問題でした。

 今、仕事で多くのクライアントさんとお付き合いしながら、実際、死に直面されているクライアントさんのカウンセリングをすることがあります。

 がんに対する恐怖、病に対する恐怖、そして、死に対する恐怖・・・。これら基本的で自然ではある感情は、つきつめていくと、

 ・大切な人との永遠の別れ

 ・自分という存在の崩壊と消滅

 といったテーマに集約されていくように思います。

 積み重ねてきた自分の経験と思考、そして、それを与えてくれた自分を取り巻く様々な人間関係。これを失うというのは、とても恐いことです。

 この恐怖を乗り越えるいい方法はないものでしょうか?

 答え・・・一般的な回答はありません。

 この永久の課題に古今東西の哲学者・宗教家が取り組んでいるわけですから、私が答えを出せるわけがありません。

 しかし、自分の人生における自分の死というのは、自分だけのものであることは確実ですね。この一世一代の大変化を、自分でどう演出するかは、その人自身が答えを出せるようにはなっています。そんな考え方なら、多くのヒントはあるはずです。

 私たちは、「変化」と「安定」という両輪を抱えながら生きています。状況の変化に対応し、肉体と、精神と、魂の成長を自らの存在に課す。と同時に、成長なんかしなくたっていい、このままでいたい、と安定感を求める。

 いまは世相がさかんに変化・成長を求めますから、不安定感はより感じやすい時代になっています。でも、中には「変化」と「安定」という宿命の振り子から、えいっと飛び出してしまえる人というのがいます。

 文化勲章を受章した彫刻家の平櫛田中(でんちゅう)さんは、100歳になって、50年分の彫刻用の木材を買いだめしたそうです。

 100歳になって、まだ50年分彫るつもりだったんですね。老後とかいう発想がまるでないんです。これはすごい!と思いました。

 五木寛之さんの『養生の実技』(角川書店)の最後のページに、
「あす死ぬとわかっていてもするのが養生である」という一文があります。これを読んだときも、なるほど、この発想はすごい!と思いました。

 当研究所で連続的に開催しているセミナーで先日、私の尊敬する日本ホリスティック医学協会会長・帯津良一先生をお招きしましたが、「死と生の統合こそ、これからの統合医療の目標ではないか」とお話されました。

 がん専門医で、数々の患者さんの死を見つめてきた先生ならではの重い言葉でしたけど、もっと平たく解説してくださって、
「死ぬことを最終地点と思ってしまっては、生きる意欲をそがれてしまいますね。死んだ後にあたらしい世界が待っていたとしたら、どうします? 魂で成長したことは、きっとその世界に持っていけるはすです。ずぶずぶずぶ・・・と元気なくあちらの世界にいやいや入っていくか、ドーンと勢いよく入っていくか。ドーンとはいって行けたら、いきなり向こうであなたの存在感を示すことができますよ。そんな「往き方」を決めるのは、あなたの今の人生が死と生を統合しているか、つまり、明日死のうが関係ない人生を送れているか、なんですね」

 この言葉もすごい、と私は思いました。

 変化の最たるものが「死」。安定感の最たるものが「生」。あれ? 変化・成長はよりよく「生きる」ためのものではなかったの?「死」は何も変化を起こさない不変の世界ではなかったの?

 うーん、この辺が、きっと「死」と「生」の統合の勘どころといったものなのでしょうね。

 自分を失ってしまうというのは本当に恐いことです。でも、生と死を分けて考える暇もなく、自分の人生に熱中できる。生まれ変わってもわたしは同じことをやってるよ、といえる人生が、「死の恐怖」を乗り越えるひとつの方法と言えそうですね。

 

 人体の謎研究所&波動リーディングセンター 
  所長 板垣宏征

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