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板垣宏征の「見えない・からだ学」 48

「潜在意識と病と 〜つながりというテーマ〜

 もう7,8年も前のことになりますが、私自身、潜在意識の強さというものを思い知らされた、あるクライアントさんとの体験をお話します。

 この方は、70歳前後の男性で、肺がんを患っていました。

 肺がんは、がんの中でも進行が早く、この方も病院で診断された後、即入院ということになったのですが、その直前に少し時間をとって波動リーディングに来所されたのです。

 ご本人の希望というよりも、奥さんに連れてこられた形でした。

 女性に比べて男性は、たいてい「波動? 怪しげな」という偏見から入ります。今ではもう慣れっこですが、この方も、その典型的なケースでした。

 特にこの男性は経営者でバリバリのワンマン社長だったので自分のやり方、考え方に相当な自信を持っていらっしゃった。

 奥さんによると、一代で大きな事業を成功させ、独力でやってきただけに、人からの意見をあまり聞かない。

 息子さんが二人、その下に娘さんが一人いらっしゃるのですが、それぞれ立派に独立し家庭を持ってはいるものの、みんなお父さんの頑固で高圧的な性格を嫌って、ほとんど家に寄り付かないということでした。

 息子さんたちに至っては、孫が生まれても見せに帰ってくることもない。ましてやお父さんから息子たちの方へ出向くこともない。

 奥さんが嘆いておられたのは、ご主人の性格に起因する、この家族のバラバラ感でした。

 初回のリーディングでは、肺の組織、気管支組織に影響する感情波動の反応をとっていきました。頑固、忍耐力の欠如、いらだち、非柔軟・・・

 続いて、寂しさ、悲しみ、孤立感・・・。たくさんのストレス感情を抱えていらっしゃっていましたが、とくに寂しさ孤立感の反応が大きく、これは呼吸器系統によく反応する感情です。

 リーディングの結果をお見せしながら、心とからだのつながりを説明したのですが、ご本人は「わかったから、この咳を止めてくれ」という態度。これはなかなか大変な方だと思いました。

 その後入院され、この時お作りした情報水は飲んでいただいていましたが、病状は悪化し、私もできる限りフォローアップして1週間単位で新しい情報水を作っては病院に届けるという習慣が始まりました。

 そして、そのつど30分前後、お話を伺ってはご主人とともに時間を過ごします。

 「ちっとも良くならんじゃないか、だから波動など怪しいと言ったんだ!」

 かなり罵声も浴びせられましたが、それでも奥さんによると、情報水を飲んでいると、咳もましになり、気分的に落ち着く様子で、次の依頼、また次の依頼が入ります。

 そして何度も情報水をお届けしているうちにご主人は、人生について、仕事について、いろいろとお話してくれるようになりました。

 私に同世代の息子さんたちを投影したのでしょう。本当は息子さんたちに聞かせたかったことをたくさんお話して下さいました。

 息子たちに自分の事業を継がせたかったことも、高圧的で人の上に立たねば気がすまないという自分の短所もよく理解していらっしゃる様子でした。

 だんだんやせ衰えていくご主人の姿を痛々しく思いながら、私はリーディングの結果の中で、寂しさ孤立感という感情波動と格闘していました。何本情報水をお作りしても、どう工夫しても、この反応を消すことができない。

 呼吸器系統に生じる症状は、テーマとして「つながり」を暗示しています。

 考えてみれば、私たちは生きている間ずっと呼吸をしていて、これを5分ですら止めることはできません。呼吸ということそのものが、自分と大気との「つながり」を表しています。

 地球を取り巻く大気は、すべての生命が吐き出す「呼気」を含んでいます。酸素と二酸化炭素の交換ということ以上に、生命は、自分の細胞の情報を「呼気」に乗せて大気に還元しています。

 そしてまた、これを吸い込む「吸気」を通じて自らの細胞に配分する。細胞は今、地球上がどうなっているのかを呼吸を通じて得、それへのフィードバックとして、自分は今どういう状態かを大気に知らせているのです。

 つまり、私たちは自覚のないまま呼吸を通じて、いつも自己表現をしているわけで、そういった意味で、大気とは、ユングの言う集合無意識(しかもリアルタイムの)であるという見方もできます。

 また、その集合無意識たる大気の影響を受けて、自らの行動や意識も決定する。

 そうした大気とのつながりを拒否すること、またはつながっていたいという潜在意識の欲求を顕在意識で抑圧しているということが、肉体的には呼吸器系統に課題を引き起こします。

 寂しさ、孤立感というのは、伝統医学の中にも「肺を病む」要因とされていますが、つながりと対極にある概念なのです。

 ある日、いつものように新しい情報水をお届けにあがったときのことです。

 「おお、来たかい。いつもお世話になってるね」と、やさしげな口調。それに今までにないくらいの穏やかな表情です。

 聞くと、おととい息子さんたちがそろって孫を連れてお見舞いにやって来た、というのです。

 奥さんいわく、「特に親密な話をしたわけではないのよ。むっつりとしてね。でも、あの顔を見て分かるとおり、ものすごく喜んでいる様子なの」

 ご主人の方はというと、何か吹っ切れた様子で「孫はかわいい」「あいつは大物になる」と盛んに私に自慢していました。

 そしてふと、「思い残すことは、もうないなぁ」と。

 人は、潜在意識の要求が、顕在意識を超えてからだに表れることがあります。

 肺がんという、顕在意識では「自分が求めているなんてとんでもない」という辛い症状でも、それを引き換えに潜在意識の欲求が満たされるなら、からだはそちらの方に従うのです。

 ご主人の場合は「がんになれば、息子たちと会える・・・」と。

 私がそれに気がついたとき、ご主人の肉体は、その肉体の法則の方が覆っていて、潜在意識の自己治癒力スイッチが間に合わない状況でした。

 その後、一時的にお医者さんが目を見張るほどの回復を見せたものの、しばらくして、私の事務所に奥さんから訃報が届いたのです。

 お葬式に出席した私に、奥さんは「最後の最後に息子たちと話ができて、主人は本当に喜んでいました。あなたが来て帰るたびに、今日は言い過ぎたかな?っていつも私に反省していましたよ。これだけお付き合いいただいて主人も感謝しています。あなたがおっしゃっていたつながりということ・・・今日これだけ大勢の方に参列してもらって、主人はとても満足しているはずね」と。

 それでも私はしばらくショックから立ち直れない状態でしたが、この体験をもとに、私の波動リーディングのスタンスは決まっていきました。

 潜在意識の強さとは、私たちの想像を超えた底知れぬ力を持っています。これを良いようにも、悪いようにも働かせるのは他ならないご本人なのだということも、今はよく理解できます。

 からだは決して間違わない。けれども、私たちは生き方を間違う。(第46号参照)

 生き方に良いも悪いもありませんが、少なくとも顕在意識が潜在意識を抑え込んでしまう生き方は、意識の乖離(かいり)を広げ、その乖離の分だけ、身体症状が表れやすくなると言えます。

 だったら反対に、肉体的なメッセージを通じて潜在意識の要求をいかにクライアントさんと共有していくかが波動リーディングの役目。

 ご主人と多くのクライアントさんとの体験を胸に、今日も波動リーディングの現場にいそしむ日々です。

 次回、「潜在意識と病と」シリーズで「怒り」というテーマを、具体例でお話したいと思います。

 人体の謎研究所&波動コミュニケーションズセンター 
  所長 板垣宏征
  http://www.nazoken.com/

 ※板垣宏征氏に質問のある方は、なんでも結構ですので下記にお寄せください。 okada@jmca.net
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