アップルは4月3日、今年の1月・2月において、iTunes Storeの楽曲販売がついに、Wal-Martを抜き、全米トップの音楽小売業者になったことを発表した。
楽曲数12曲をCD1枚と換算して集計した結果だ。
オンラインの音楽販売が、リアル店舗を追い抜いた歴史的瞬間となった。
iTunesストアが開始されたのは2003年4月。
iTunesストアがわずかここまで大きくなった理由は、その便利さにある。
1曲99セント、アルバム1枚9ドル99セントという値付けは今でも基本的に変わらず、分かりやすい。
欲しい曲がいつでも手に入る、一曲単位で買えるという利便性は一般ユーザーだけでなく、それまでP2Pなどで不正コピーをダウンロードしていたようなユーザーにも受け入れられ、「探してダウンロードで何時間も待つよりもiTunesで買えばよい」という意識を植え付けた。
結果として、合法音楽配信サービスの利用者の増加はP2Pユーザーよりも高くなっている。
四大レコード会社は価格決定権をアップルに握られていることに対して、不満を持っているが、開始から5年40億曲を販売し、今回のウォルマートを抜いて小売業者のトップに立ったことは、やはりこのシステムが一般からは指示されていることを示していると言っていいだろう。
音楽販売の舞台がリアル店舗からオンラインに移りつつあるのは、事実のようだ。
米マイスペースは4月3日、大手音楽レーベル3社と契約を結、MySpace Musicの設立を発表した。
ソニー、ユニバーサル、ワーナーが参加し、マイスペースの音楽コミュニティとしての部分に注目しての展開となる。
オンライン販売大手のアマゾンがMP3の楽曲販売を始めたのは昨年9月。
四大レコード会社全てが参加しての展開は、対iTunesという意志も見える。
しかしこれら他の音楽ダウンロード販売が出来るようになったのも、アップルCEO スティーブ・ジョブスが提唱したDRM(デジタルコンテンツの著作権を保護し、その利用や複製を制御・制限する技術)フリーが実現したからだ。
どこで買ってもどの機器でも再生できる土壌ができたからこそ、オンライン音楽販売ははじめて競争できるようになったわけだ。
対して日本はどうだろう。
4月3日に再開された私的録音録画補償金小委員会において話し合われたのは、DRMフリーに逆行する、「DRMの整備が整い、権利者の経済的不利益が解消されたのち、私的録音録画補償金制度を縮小する」という方向性だ。
買いやすい価格設定などを行なうことでオンライン販売を推進し、音楽の魅力を取り戻すことで、利益を増すなどという考えは、日本の音楽業界にはないのだろうか。
iTunesに始まる音楽ダウンロード販売のトレンドはDRMを配する報告に進んでいるというのに、ここでも日本だけの「異様な進化」が起こるのだろうか。
首位の座を明け渡したウォルマートも、オンラインミュージックストアを改装。
音楽フォーマットをMP3へと移行し、DRMを全廃するようだ。
世界は今、DRMフリーの音楽販売が動かしているのだ。