社長のための最新・ITニュース 40号 

『国内線の搭乗券廃止、IT化へ

〜【ANA】FeliCa・QRコードを用いた搭乗へ全面移行〜
 

 全日本空輸(ANA)が、2007年中に、国内全50空港において、従来の航空券を廃し。非接触IC「FeliCa」、もしくは「QRコード」を用いた搭乗サービス「スキップサービス」に全面移行する。
 いよいよ9月4日、その皮切りとなる愛媛県松山空港でのトライアルが迫ってきた。

 「スキップサービス」は、2006年9月からANAが導入したチェックイン不要の搭乗サービスで、紙の航空券の代わりに、FeliCaを搭載した「ANAマイレージカード」や、「ANAカード」、ANAマイレージクラブのICアプリを導入した「おサイフケータイ」、携帯電話画面への表示や紙にプリントした「QRコード」などを使用。
 これにより、座席の予約から保安検査場の通過、搭乗まですべてチケットレスになる。
 
 今回の全面移行のトライアルに松山空港を選んだ理由について、ANAの広報担当・藤崎氏は「主要空港からの就航がまんべんなくあり、ビジネス客と観光客の両方が常に一定数利用する空港だから」と話す。

 「これまで鉄道が常に利便性向上と、早い乗降を追求してきたのに対し、航空会社は飛行機という乗り物の性質から、なかなかこのテーマへ根本的に着手できずにいた。 
 しかし、IT化が進み、インフラが完全に整ったことで、いよいよ挽回する時期がきたということだろう。
 スキップはチケットの予約購入から搭乗までの手続きが簡略化され、スムーズな搭乗が可能になる。羽田では、すでに行なわれているわけだし、松山でのトライアルに不安はまったくない。」

 確かにスキップサービスの浸透不足や従来型航空券利用の根強さがハードルになっていることは否めない。 
 実際、ANAはこのニュースを発表した際、「スキップの月間利用率は搭乗客全体の10〜20%程度」としていた。
 ICチップ内蔵の携帯電話や専門カードのない乗客は、空港などで二次元バーコードが印刷された案内用紙を受け取り、読み取り端末にかざして搭乗することが可能で、いわゆる《紙》そのものがなくなってしまうわけではない。
 こう考えてみると、今回の全面移行は、ディフェンシブな面を兼ね備えた利用促進への起爆剤と言えるかもしれない。

 「JALさんの場合、カード会員やコンビニ、ATM、インターネットで事前決済を行なっている人しか対応していないはず。
 その点、スキップは鉄道のノリにだいぶ近づいたものだと考える。
 とはいえ、全航空会社からもいずれは本当に紙がなくなる時代はそう遠くないと思う。それがいつになるとは言いませんが…」

 2002年のJAL、JAS統合により、「国際線のJAL」「国内線のANA」の構図はもはや成り立たない。そんな中、ANAはおサイフケータイ誕生以前から、電子マネー「Edy」に着目し、ANAマイレージカードをいち早く対応させるなど、来るキャッシュレス、チケットレス時代への下地を着々と整えてきた。
 「スキップ全面移行は航空業界において、搭乗のスピードアップの一過程に過ぎないと考えている」
  
 今回の事例は公共交通におけるサービスの高度化と、携帯電話・ネット連携の取り組みであると同時に、21世紀の国内航空業界におけるANAのスタンスを端的に示しているといえるだろう。
 




東京IT新聞 8月28日3面より

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