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堀文明の「次のトレンド・コンセプト」 6号



ディナータイムが終わってから始まる
「レストランの新たな集客戦略」

VELOURS(ベロア)


写真提供: ナカサアンドパートナーズ

  

 今年の五月、南青山のブルーノート東京の裏手に衝撃的なデビューを果たしたフレンチ・レストランがある。今月だけでも50以上もの取材、撮影が来ている。

 今、最もレストラン業界やファッション業界、オーガナイザーたちの間で注目されている店舗だ。ここは、厳選された日本の高級食材を使用したジャパニーズ・フレンチというジャンルの料理をリーズナブルに提供している。

 店舗デザインは、ファッション・ショー、イベントなどの利用を想定してキャット・ウォークが設置されており、インテリアには、巨大なバッファローの剥製やバカラ製のシャンデリアなどを飾りエロティック&ゴージャスな雰囲気を醸し出していて非常に面白いレストランだが、今回取り上げるのは、VELOURS(ベロア)の集客戦略である。

 この戦略は、まだスタートしたばかりだが、その狙いと現状からレストランにおける新しい集客戦略を紹介する。




VELOURS(ベロア)のVIP ROOM

写真提供: ナカサアンドパートナーズ

 


 レストランに「エンターテイメント」要素を導入!

 飲食業界が成熟化してきた今、料理やサービス、内装などの基本的な要素だけでは他店との差別化を実現することは難しくなってきた。

 そこで一部のレストランでは、様々な方法でエンターテイメント的要素を導入しようとしている。今、試みられているものをあげれば、DJブースの導入、ライヴやショーの実施、アートの展示、イベントの開催などがそうだ。

 飲食機能とは別に、パーティ(イベント)を開催することで、新規顧客の拡大とPRにつなげるのである。

 レストランが、パーティーを戦略的に開催するようになった歴史は未だ浅く、3年程前にフーディングレストランとして知られる恵比寿AOYUZUが初めてレストランパーティーを戦略的に取り入れた。

 それを皮切りに、様々なレストランがパーティー戦略をとり始めた。



 hori'eye! レストランのパーティー戦略

 1.形式は座席以上の集客を可能とするためテーブルを外し、スタンディング方式をとる。お客さま、スタッフが相互にコミュニケーションしてもらうことを狙う。

2.ドリンクの提供は基本的にはキャッシュ・オン・デリバリー。ただし、一部、優良顧客のためにテーブル席を設置、そこだけ伝票制にするケースもある。

3.パーティーには、テーマを設定する。それがPRのコンセプトとなり、当日の客層を左右する。もし、自店が高級志向であればそういったテーマを設定。

4.音楽・映像などの演出。とりわけ、場の雰囲気を読んで臨機応変な選曲ができるDJは必須。有線のBGMは論外。

 ただし、DJがいるからといって、決して、お客様を躍らせたり、そういったスペースを用意してはいけない。あくまでもレストランにおけるパーティーだからだ。




 新しいお客様の集客装置として開催

 レストランでのパーティは、様々なテーマを決めてPRして行くのだが、そこで集まるお客様は普段は店に訪れない新しいお客様であり、かれらを通常のレストラン営業に導入・獲得していこうという戦略である。

 VELOURS(ベロア)では、様々なプロデューサーや企業が、パーティーを開催、お店側もそれを全面的に支援している。

 その中で、最も、今注目したいのが、毎週水曜日、夜22時45分から深夜4時まで開催される≪JACK≫大人の夜会というパーティーだ。

 プロデュース&仕掛人は、映像プロデューサーの多田アキオ氏、VELOURS(ベロア)をプロデュースした会社のビー・アンド・バタフライ株式会社の金田竜一氏の二人。

 「クラブ遊びに飽きた大人たちや遊びなれた大人たちが遊べる空間を目指したいと思ってます。あくまでオトナの社交場として仕込んだパーティーなので踊るスペースは設けていません。」とは、上記の金田氏の言葉だ。

 その言葉どおり、毎週、平日水曜日の深夜にもかかわらず、400〜600人近いお客様が朝までパーティーで盛り上がる。





クラブとは全く違うVELOURS(ベロア)の大人のパーティー

写真提供: 池末浩規氏




 ●「個人のネットワーク」と「お店のネットワーク」を集客へと結びつける

 このイベントは、毎週テーマやコンテンツを代えて様々な催しが開催されているが、今、注目されているパーティのコンセプトが、ある特定の個人の誕生日を祝うという企画だ。

 先日は、業界では有名なアーティスト&ドラッグ・クィーンである、ヴィヴィアン佐藤氏の誕生パーティーが開催された。

 PARTYのテーマは、「SPECIAL WORLD OF VIVIENNE SATO & CANCERIAN」。ヴィヴィアン佐藤と蟹座の人達の世界。氏の誕生日と蟹座の人達の誕生日を同時に祝おうという素敵な企画である。



 ※ドラッグ・クィーン

 女装してパーティーを盛り上げる人のことを呼称する。80年代後半のNYのディスコ、クラブ・シーンからその存在が脚光を浴びた。世界的にはマイケル・アグリが有名。東京にも30名ほど存在。全員、お洒落でカルチャー志向。

 ファッショナヴルな装いでパーティーを訪れるため、どこの会場でも、芸能人以上に人気者。東京では、ヴィヴィアン佐藤氏が最も有名。




 当日はヴィヴィアン佐藤氏のファン、知人・友人達が集まり場の雰囲気を盛り上げた。アーティスト、ミュージッシャン、ライター、カメラマン、ファッション・モデル、メディア関係者、デザイナー、外資系企業のワーカー達…。

 氏のネットワークの広さを反映してなんと580名のお客様が集まったのである。

 この戦略の面白さは、「プライベート・パーティー」を、お店側のイベントとして戦略化していくということにある。言い換えれば、特定の個人のネットワークとお店側のネットワークをうまく掛け合わせてパーティーを作っていくということだ。

 ちなみに、VELOURS(ベロア)では、ミュージッシャン&アーティストのVENUS氏など、他にもいくつか特定の個人の誕生パーティーをうまくイベント化して成功している。

 また、この店舗ではないが、先日、某情報誌の編集者が、青山のクラブOrbientで女優桃井かおりさんのパーティーを開催し大成功させた。桃井かおりさんという大女優の存在そのものをお店のイベントのメイン・テーマとして取り入れた素晴らしい企画だった。

 今後、誕生パーティーのイベント化のように、特定のスター的な知名度・人気を持つ個人のネットワークをお店の集客につなげていくという手法がいろいろ試みられそうである。


VELOURS(ベロア)

http://www.velours.jp

 

   店舗プロデューサー 堀 文明

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