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堀文明の「次のトレンド・コンセプト」 4号

業態MIXという展開
「レストラン+バー」 恵比寿 NOS

 
 飲食ビル「コンツェ恵比寿」地下一階にNOSというレストラン&バーがある。店舗名NOSは、nature off stage”の略。「自然体で素になれる所」という意味だ。

 この店舗は、3つのゾーンに分割されており、店内は、Standing Zone、Lounge Zone、Dining Zoneで構成されている。

 今回は、NOSが試みている幾つかの業態を一店舗で展開する戦略について取り上げよう。


立ち飲みスタイルのBAR



ダイニングスペース




1.なぜ、業態MIXなのか!

 一つの店舗の中にいくつかの業態を利用ニーズに合わせて併設する戦略は、70坪を超える大箱ではよく試みられる方法である。

 その目的は、お客さまの利用動機の多様性に対応し、

  1. 店内を回遊させることで客単価をあげること、
  2. お客様同士の交流を促すこと、
  3. 単なる店舗の複合体を超えて、新しい業態=飲食シーンを創造することで、客層を拡大することにある。

 つまり、いくつかの店舗機能を複合させても、客層が拡大するか、新たな客層を動員できなければ経営的に意味を持たないのである。

 そこを間違えて悪戯に多業態を1店舗内に併設するとむしろマイナスになることが多い。

 


 業態MIXのリスクをまとめると

 その1
 オペレーション業務が複雑になることでそれぞれの業態のクォリティが低下する

 その2
 異なるタイプのスタッフが同一店舗で勤務することにより店舗内部に様々な軋轢が発生

 その3
 それぞれの業態が求める客層のミス・マッチがおこりお店のコンセプトがぼやける


 

 この業態MIXのリスクは、実際に「レストラン」+「○○」などを展開している店舗で、上記の問題を引き起こしている。

 2.業態MIX成功のポイント

 そこで、こうした点をクリアして業態MIXを成功させるポイントは、単に複数の業態を一店舗内に集約するだけでなく、業態MIXを導入することで、新しい飲食シーンを創造し、新しい業態へと高めていくことである。 

 それによって、従来の個別の業態の単純な複合では、集客しきれなかった、全く新しいお客様と新しいニーズを持ったお客様を集めることができるからだ。要するに、客層が拡大するのである。

 そのための大切な戦術が、カルチャー(イベント、アート、DJなど)の発信にある。

 NOSでは定期的なイベント(ライブ)を開催したり、ギャラリ−の展示を行うなど、様々なカルチャーを発信していくことで新しい業態を創造、新たな客層を導入しようとしている。

 換言すると、こうしたカルチャーを発信して行くことが、従来の、レストランのみの利用客とバーのみの利用客という客層構成に加えて、“アートと音楽とライヴのある「レストラン+バー」で遊ぶ”という新たな飲食シーンを創造するのである。

 「食事しに来店するお客様」「バーでお酒を飲みに来店するお客様」の他に、もっと別のものを店舗に求める新たな顧客層の動員につながることになる。



MAKI TAGUCHI TOMOHIKO

NOSのギャラリー

 「酒場的であること」という基準で選ばれる。音楽、アートとしての完成度よりも「お酒を飲むスペースにふさわしいかどうかという基準」で選らんでいる。


 

 そして、最も重要なことは店舗のスタッフが顧客の誘導・拡大に関わることである。つまりレストランのお客様をバーに誘導する。また、その反対。こうした店内でのきめ細かな顧客の誘導・回遊によって、双方の業態が徐々に一体化していくのである。

 注意したいのが、レストランとバーが全く別々のスタッフによって、運営されていると、なかなか顧客の回遊は進まないのである。

 NOSでも、バーの顧客とレストランの顧客をつなぐ役割を同じスタッフが果たしている。こうした役割を果たすべく、NOSのスタッフ達は、レストラン・プロパーのキャリアを持っているスタッフだけではなく、真空管というクラブで経験を積んだ横山店長を中心に、ライヴ・スペースやバーで勤務してきたスタッフ達が、その役割を担っている。

 3.業態MIX店が、世界的な流行へ

 今、レストラン・シーンで東京より先行しているロンドン、NYでは、レストランのBARが注目されている。

 流行っているレストランのバーでは、ウェイティング客に加えて、マン・ウォッチング(※)に訪れるお客様、お酒を飲んだりコミュニケーションしたりしているお客様が、立ち飲みスタイルで遊んでいる。

 こうした、バー的な要素をうまくレストラン的な要素とMIXした店舗が、今後、東京で、NYで、ロンドンなどで流行るようになると考えている。

 そのための、戦術の一つとして、DJ、アート、イベントなど様々な試みがなされることになるだろう。

 しかし最重要課題は、そういった業態を楽しんでくれる新たなお客様を集客することであり、そのようなお客様をもてなす能力のあるスタッフを採用・育成することである。

 2005年後半から2010年の期間、日本でもこうしたトレンドが生まれてくるだろう。

(※)マンウォッチング 

 欧米のBARは、お酒を飲むという機能の他に、コミュニケーションを楽しむ、誰かに出会う、という役割を持つ。その中で、来店される様々なお客様のファッション、化粧、雰囲気を眺めて楽しむ、という遊び方を、マン・ウォッチングという。欧米のトレンディなBARには、必ず、こうして一人で来店して他のお客様を眺めて楽しむ人々が存在する。

   


NOS

渋谷区恵比寿南2−3−14コンツエ恵比寿B1F
Tel    03−5773−1727 

http://www.nos-ebisu.net/top.html

 

   店舗プロデューサー 堀 文明

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