いかに人を求め、よく用いるか…

人の用い方

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著者 井原隆一(いはらりゅういち)
形態 A5判(15CmX21Cm)本文616ページ
発行 1991年11月13日 ISBN4-930838-63-0
内容 目次と項目  本書の冒頭より
いかに人を求め、よく用いるか_全経営者が避けて通れない事業経営の大命題について、自らの人生体験を踏まえて説く。

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→姉妹書:「危地突破の経営」
       「社長の帝王学」
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「人の用い方」序

「人に事うるを知る者にして、然る後に以て人を使うべし」『孔子家語』にある文句だが、要するに、人に従い仕えるということがわかっている者であって、はじめて人を使うことができるということである。

 また、『近思録』という本には、「人の上にたって権力をふるうのはたやすいが、人の下で地味に働くことはむずかしい。しかし、人の下で働けない者は、部下を使いこなすことはできない。

 下っ端で苦労した人でなければ、人に使われる者の気持ちがわからないから、人の心を掌握できない」(人の上たるは易く、下たるは則ち難し。然れども下たる能わずんば亦下を使う能わず)とある。

 私のように現役六十年ともなると、仕えた人はトップ七人、中間管理職の上司を加えると何十人にもなる。そのため、仕える者の苦労は身にしみるほど味わっている。

 それだけに、上に立つ者の、人を用いる上手下手がよくわかる。このトップのためなら、いかなる苦難もいとうまいと思いこんでしまうほど人生意気に感じてしまう人もあれば、万金を積まれても快しとしない者もいた。

 このように感じたのは私一人ではない。周囲の多くの使われる者の評価が異口同音であってみれば、私の偏見ではなさそうである。しかも、仕える者の評価はおおむね正しいことが事業業績に現われてくる。よく用いる上司の業績は常に輝かしいものであるが、用い下手のそれは次第に下降してくるからだ。

 事業経営にしても、人をよく用いる者は、まず人を選び、教え、育て、後につづく者を絶たない。人をよく用いようとしない者は、選ばず、教えず、育てずして、後につづく者を絶つ。これで企業の命脈をも絶つことになる。古今東西の歴史は、国家の興亡、事業の盛衰、人の勝敗を伝えているが、そのわかれるところ、多くは人の用い方にあったといえよう。

 功者、勝者は人を育て、あるいは求めて、よくこれを用い、人の力をフルに、さらには何倍にも活かして用いている。よく人を用いて大志をとげた例は枚挙にいとまなしで、現代の企業も例外ではない。

 さらに、「善く人を用うる者は之が下と為る」という言葉が『老子』にある。つまり、上手に人を用いる者は、いつも相手に対してへりくだっている。下手にでて人の力を最大限に活用するものだ。権力をふるうだけでは人の力を最大限に引きだすことはできない。

 これについて『孟子』は、「呼びつけできない部下をもて」とも説いている。師に足るほどの部下をもてということであるが、よく人を用いる者の共通点の一つでもある。

 そうした考えから、「師厳にして道尊し」(師の尊厳が備わって、はじめて教えの道の尊いことが相手にわかる)といわれるとおり、人を用いる者自身が、自らを正し、厳しくすることでなければ真の用い方とはいえない。

 本書はこの点についても多くふれたつもりである。国際社会は東西対立緩和によって、経済競争時代に入り、企業間競争はますます熾烈化してくる。労働力不足も加わって企業の存続は、人力をいかに効率的に活かすかにかかってきた。

 人をいかによく用いるかが企業の命脈を保つ大きな課題となる。リーダーの真価は人をよく用いるか否かによって決することは、日に日に明確になるに違いない。本書出版に際し、日本経営合理化協会の皆様のご高配をいただきました。ここに厚くお礼申し上げます


平成3年10月16日
井原隆一
人の用い方 もくじ



第1章 会社発展の決め手
1.基本に忠実/2.会社経営の原点/3.近き者の喜びとは/4.名経営者とは
5.部下も経営者を選ぶ/6.人を活かすも殺すも

第2章 部下の心を知る
1.相手を知ることは/2.自分の本心を探れば/3.人をよく用いる者は/
4.働く場とは/5.人の本性は同じ/6.知りたいのはトップの器量

第3章 仁と人心掌握

1.企業の基礎はなにか/2.恕は人心掌握の鍵/3.尊敬されるトップの条件/
4.細行を慎む/5.人生の大病/6.徳の強さは識者の協力

第4章 恕の第一は会社の安泰成長
1.社員のもっとも願うことは/2.将来の安心感/3.社員の期待するもの/
4.トップの経営姿勢/5.経営者の財務認識/6.全軍奮起の将の条件

第5章 トップの魅力と人間尊重

1.謙、敬の心/2.部下の尊重と人材教育/3.同人同仁/4.和の中の厳/
5.頑固一徹の是非/6.人材登用の鉄則

第6章 志は易きに求めず、事は難きを避けず
1.立志の四要/2.志あれば成る/3.志ある者の執念/4.公欲と私欲/
5.経営の妙薬は危機感にあり/6.宿命論に惑うな

第7章 賞罰の公平と統率力
1.刑徳二柄/2.権力の行使と乱用/3.仁も過ぎては/4.大義親を滅す/
5.賞罰の比重/6.賞罰の効は行なう者による/7.賞罰の心得/
8.登用と必賞/9.賞罰の公平と人事管理

第8章 信義の魅力
1.信なくんば立たず/2.一諾千金/3.トップの信義と組織の活力/
4.企業の社会的約束/5.自分との約束/6.相手の知らぬ約束と感謝/
7.先人の苦労に感謝せよ

第9章 識見と果断
1.多識は博学による/2.知識を有すとは/3.学問と実践/4.人材と人財/
5.果断の勇と智/6.基本と応用

第10章 勇気はトップの必須条件
1.克己の勇/2.過ちを改める勇/3.撤退の勇/4.新天地開拓の勇/
5.匹夫の勇/6.優柔不断/7.現代トップに欠ける勇気

第11章 創造力と戦略

1.目的意識と執念/2.創造とは準備である/3.創造と危機感/4.理想と創造
5.創造力の涵養と環境/6.創造的経営と代価

第12章 経営者の先見力
1.彼れを知り己を知れば/2.端を見て末を知る/3.難事は易きより作る/
4.大器は細事に忠実/5.歴史が教える先見/6.先見と実行/7.倒産の徴候

第13章 トップの気力
1.猛虎は机上の肉を看ず/2.麒麟地に墜ち千里を思う/3.衆の気力/
4.気をもって先導となす/5.体力と気力/6.気力と姿勢/
7.誰か道わん人生再び少きことなしと

第14章 自己能力の限界挑戦
1.不可能に挑め/2.意欲型と自己形成/3.これでも俺は上がっていく/
4.百尺竿頭歩を進むべし/5.一人の限界は知れたもの/6.ライバルをつくれ

第15章 将の威厳と陣頭指揮
1.統率力と威厳/2.心服と威服/3.威厳は自ら備わる/4.虎の威を仮る勿れ
5.自ら行なえば/6.指揮と必勝の信念/7.陣頭指揮と冷静

第16章 部下を信頼せよ

1.人材活用の要/2.用いて育てよ/3.人生意気に感ず/4.信じたら任せ/
5.無責任な印が押せるか/6.なぜ信頼できないか

第17章 忠言は会社の名医
1.小逆、心に在りて/2.吠えぬ犬は飼うな/3.富貴に諛言多し/
4.絶対きかねばならぬ諌言/5.父に争子有れば

第18章 己の敵を知る

1.企業の大敵/2.将の敵/3.己の敵を防ぐ/4.謙譲邪念を制す/
5.飽後に味を思えば/6.辺幅修飾の持病

第19章 功は下に責は己に
1.人を立てるか、己が立つか/2.名将に機を与える/3.功を譲れば/
4.人材発掘と育成/5.木鶏の魅力

第20章 寛容と人望
1.寛なれば則ち衆を得/2.部下に寛、己に厳/3.名将の人の責め方/
4.寛容と自由/5.寛容に道あり/6.寛にすぎては乱れる/7.感謝の念と人望

第21章 備えあれば憂えな
1.経営は準備である/2.富貴にして貧時を忘れず/3.準備は攻撃である/
4.準備と勇気/5.人材の準備/6.物的準備/7.まず、倹より始めよ/
8.準備と忍耐

第22章 苦労人の味

1.困苦の体験は/2.逆境は楽し/3.困心の智/4.苦労が人物をつくる/
5.苦労と情に流されるな/6.沿いて溺れず/7.熱中の是非/8.名利の道/
9.一日の喜神/10.人至察なれば徒無し/11.トップ最高の楽しみ/
12.人を豊かにする生き甲斐

著者/井原隆一氏について
 1923年、14歳で埼玉銀行に入行。20歳にして父親の莫大な借金を背負い、銀行から帰ると家業をこなし、寝る間も惜しんで借金完済。

 その間、並はずれた向学心から独学で法律、経済、経営、宗教、歴史を修めた苦学力行の人。最年少で課長抜擢、証券課長時代にはスターリン暴落を予測し、直前に保有株式証券をすべて整理、経理部長時代には日本で初めてコンピューターによるオンラインを導入するなど、その先見性を広く注目された。

 常務、専務を歴任の後、大赤字と労働争議で危地に陥った会社の助っ人となり、一挙に40社に分社するなど、独自の再建策を打ち出し短期間に大幅黒字無借金の超優良会社に甦らせる。

 その後も数々の企業再建に尽力。名経営者としての評判が高い。数多くの艱難辛苦をことごとく克服してきただけに、著者のとりあげる中国故事は多くの社長の共感を呼び、「帝王学」の師と慕われている。

 著書に「社長の帝王学」「将たるものの人間学」「分社経営のすすめ」「財務を制するものは企業を制す」「危機管理の社長学」「リーダーの行動学」他多数。


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