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大きな時代の転換点には、必ず、新しい経営手法なるものが登場します。
1971年のニクソンショック、74年のオイルショック、そしてバブル崩壊のときも、いくつかの経営手法が救世主のように現れ、そしていつのまにか消え去っていきました。
私はこの16年間に、数百社の会社を見てきましたが、どこの会社も苦しい時代になると藁をも掴む気持ちで新しい手法を導入するものです。しかし、それを体質として定着させた会社は、驚くほど少ない。
そもそも、会社の体質を、いい時はいいなりに、悪い時は悪いなりにと都合良く変えることはできません。とかく会社が儲かっているときは何もしないで、悪くなったら何かをしようとする会社が多いものです。
反対に、継続的に利益を出している会社は、儲かっている時も厳しく、儲からない時も厳しく、常にモノづくりの原理原則に従って、努力しつづけています。
要するに、体質強化というものは、新しい経営手法を導入して目先の利益を残せれば良しとする考え方では、できないということです。
変化の激しい時代にあっても強いといわれる会社は、たんに「利益を残す」ということだけでなく、・仕事を残す・あるいは・人を残す・という大きな信念で貫かれているものです。
本書『最強のモノづくり』は、会社の体質を根底から強化するモノづくりについて、その原理原則と具体的手法を述べたつもりです。
厳しいことをいうようですが、今回の転換点が、最後のチャンスでありチャレンジです。
本物だけが生き残る時代に入りました。そして、今までの転換点には、復活のチャンスがありましたが、今回は日本が中国・アジアのモノづくりを育てていますから、ここで負けると元には戻れません。
ここで中国・アジアのモノづくりについて、ひと言いっておきます。
現在の中国・アジアは、機械を提供してもらって、さらに方法論も丁寧に教わってというように、苦労が少ない中でのモノづくりをおこなっています。つまり、中国・アジアのモノづくりには知恵が入っていません。
ですから昔日本で起きたことが、そのまま今の中国・アジアで起きているわけではないのです。
たとえば、昭和11年に発売されたトヨタの第1号車トヨダAA型は、創業者豊田喜一郎氏の「日本人の知恵で造る」という信念のもと、外国の車を見本としながらも、誰にも教わらず独力で造られました。このように、日本のモノづくりは、中国・アジアとは本質的な力の点で違っています。ですから、中国・アジアは恐れるに足らずといえるでしょう。
しかし、今日の日本はかつての力を忘れつつあります。
儲かっていた時代に、モノづくりをシステム化し、その力を錯覚して、いつのまにか忘れてしまったのです。
ですから、その力をもう一度呼び起こす必要があります。
そして、これからの日本は、技術でモノを造らなければなりません。ここでいう技術とは、在庫をもたずに造る技術、多品種少量を安く造る技術、少人数で造る技術、短納期で造る技術、固有技術、要素技術など、あらゆる技術を指します。
当然、生半可な努力ではおいつかず、社長をはじめ全員が重荷を背負うことになるでしょう。しかし、最強のモノづくりをめざして、会社を研ぎすますしか方法は残されていないのです。
本書では、前半部分において、経営全体の方向性とモノづくりの革新のポイントをご理解いただき、後半から、時代の変化に強い「在庫をもたず多品種少量で利益を最大化する一気通貫のモノづくり」の手法をレベル別に解説していきます。
正直に申しあげて、「最強のモノづくり」は紙に書いて教え尽くせるほど簡単なものではありません。しかし、一人でも多くの読者に深く理解していただきたいと思い、全力をあげて解説したつもりです。
まずは、モノづくりを通じて、本書が貴社の発展に役立てば幸いです。
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