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「会社を上手に任せる法」まえがき |
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「儲かる経営革新」と「成功する事業承継」とは、私の二大ライフワークである。 私は経営コンサルタントとして、これまで35年間「儲かる会社づくり」のお手伝いに東奔西走し、全力を傾注してきた。 その過程で、「次の世代の儲かる経営革新」のために「後継社長スクール」「後継社長塾」を30年間主宰することによって、実に350人近くもの後継者育成に直接かかわってきた。 その中から、後継社長として社業を数十倍に伸ばしたり、上場を果たし「中興の祖」と言われるような優れた経営者が数多く輩出して、私を素直に喜ばせてくれている。 しかし一方で、多くの後継者候補の心の底に潜むさまざまな悩みに触れ、先代社長の承継への複雑な懸念を知ることとなった。 中小企業白書(2006年度版)によれば、この5年の間に毎年平均29万社が倒産・廃業しているという。辛苦の末に築いた事業を自分一代限りで終わらせることなく、永く繁栄させつづけることは、すべての経営者の宿命であり、経営の重要課題である。 ところが事業承継期は、その企業の弱みがもっとも表面化する期間なのである。 いかに先代がすばらしい企業を築きあげても、承継に失敗して砂上の楼閣のようにあっけなく消え去る例を幾度も私の目で見てきた。ときあたかも、時代が大きく変動するなかで、創業者から二代目、あるいは三代目への事業承継の時期を迎えている。 その承継の巧拙こそ、企業の長期繁栄の鍵を握っているのである。 そこで私は、「成功する事業承継」について、これまでの全体験を体系的にまとめて残しておかなければならないという強い使命感のもと、本書の構想を練りに練った。 本書の大きな特徴は、次の四点にある。 第一に、読者を企業の最高権力者である社長(または会長)個人に限定した。 一般サラリーマンや学者や芸術家の人生とはちがい、事業承継という宿命をもった経営者人生を充実させ、どのように幸福にまっとうするか、そのために個人として、何を、いつ、どうやらなければならないか、企業を譲る人の立場から、キレイゴト一切なし具体的な実務として述べた。 第二に、対象を中小オーナー企業規模に絞った。 中小オーナー企業の承継は、後継者の育成と決定、社内受け入れ体勢、自社株の相続問題、社長個人の資産相続問題はじめ、大企業のそれとはまったく様相を異にする。そこで対象を中小オーナー企業中心とすることで、現実的な解決策を明示している。 第三に、実例中心に解説した。 中小オーナー企業の承継問題は、社長の顔がそれぞれ違うように、事業規模やオーナーの個性、会社の歴史や風土によって策の重要度が微妙に異なり、一般論ではまるで対応しきれない。そこで読者のみなさんに強い共感をもってお読みいただくために、すべて私がかかわったケース別のさまざまな実例を交えている。 第四に、承継させる側と承継する側それぞれ「独立した二冊」に分けている。 事業を承継する側と引き継ぐ側で立場が違うと、対応の重点課題がまるで違う。 これまでの類書は承継全般を同じ一冊の中でとりあげるために、どうしてもオーナー経営者にとってピンとこない部分、一方、後継者からも的はずれな記述がみられるのが欠点である。 そこで「成功する事業承継シリーズ」として、立場の違いから、 ●社長・会長を対象に、「事業を継がせる」編として独立した一冊 ●後継候補者を対象に、「事業を継ぐ」編として独立した一冊 の二冊に分けて発刊することにした。 その結果、これまでの類書とは大きく異なり、それぞれの立場から一歩も二歩も踏み込んだ、タテマエ抜きの実践書をまとめることができたと思っている。 本書を一人でも多くの経営者にお読みいただき、承継成功とさらなる繁栄の具体的な手引きとなることを念願してやまない。
*本書に引き続いて、後継者対象の「事業を継ぐ」編を2008年春に発刊予定。 |
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2007年3月吉日
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井上 和弘
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