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「後継者の鉄則」まえがき |
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私が後継社長の育成に取り組んで、早くも40年になります。 その間に約400社の事業承継に直接かかわったわけですが、どの先代社長も、後継者の育成ポイントとして、私に熱く要望されたことは、いつも決まって次の5つです。 (1)頼りない(リーダーシップに欠ける) (2)金の苦労、大切さを知らない(数値に弱すぎる) (3)社内で浮いている(評論家的で実行性がない) (4)感謝心がたりない(謙虚な気持ちに欠ける) (5)会社よりも自分や家族を大切にする(良きパパでありたい) このような短所を鍛え直してくださいと、お願いされるのです。 先代社長からしてみれば、長年にわたり手塩にかけてきたわが企業が、自分が去った後も隆々と生き残ってほしいと願うのは当たり前でしょう。 しかし、高年齢にさしかかって周囲を見渡してみると、わが企業をしっかりと受け継ぎ発展させてくれそうな人物が、中小企業には、おいそれとはいないものです。 それだけに、社長候補と見込んだ子息(子女)や娘婿や古参幹部の、先にあげたような短所が、長所よりどうしても気になってしまうのかもしれません。 一方、私が後継者をみれば、ベテラン社長と比べて、 (1)若いゆえ頼りなくみえるのは当たり前です。先代社長のように超ワンマンな手法はとれ ません。ワンマンを踏襲すれば、かならず周囲の顰蹙をかいます。 (2)これまで金の苦労を知る体験が少ないから、金銭感覚や経営数値にうとくなりがちです。 しかし、先代社長も数値に明るい人ばかりではありません。 (3)若いだけに、経験も能力も不足しているので、急には何もできず、社内で身の置き所が ないのも当たり前でしょう。 (4)「継げ、継げ」と強制され、好きで入社したわけでもなしと思っている後継者もいます。 (5)妻とは恋愛結婚、かわいい子供の顔を見るのが楽しくて仕方がない。妻や家庭あってこその人生、先代の時代とは違うと考えている後継者も少なくありません。 たしかに後継者の若さゆえの未熟さは、ベテラン社長の懸念を呼ぶかもしれません。 しかしそれは同時に、これからの目覚しい成長の「のびしろ」でもあるのです。 事実、私はこれまで、多くの後継者たちと膝つきあわせて、経営の必須実務はもちろんのこと、企業を経営する真の意義とそれをやり遂げる喜びを肌で感じてもらえるよう務めてきましたが、私とともに修行した一見頼りなくみえた彼らが短期間に力をつけ、承継前の心配がウソのような豪腕経営者に変身されたケースを何度も目にしてきました。 なかには、一地方企業でありながら売上を数十倍に伸ばし株式上場を果たしたり、あるいは海外市場へ進出して業界一に成長させたり、また先代が思いもしなかった果敢な業態開発で高収益企業に変身をとげるなど、優れた後継社長が数えきれないほど輩出しているのです。 要するに、後継者が潜在的にもっている能力をいかに最大に引き出すかが大事なことなのです。 本書は、そうした私のライフワークである、後継者育成の全ノウハウを、若き後継者の限りない成長を願ってまとめたものです。 題して「躍進のバトンタッチ=後継者の鉄則」としました。 その主旨の第一は、後継者として継いだからには、絶対に潰さないようにすること。 そして、次の後継者に、確実に渡すことです。 それには、後継者に「絶対に潰さない知恵」がまず必要です。 第二に、後継者の代で、企業を再び躍進させること。 時代の新しい変化に即して、世の中になくてはならない企業、そして従業員が幸福と思える企業に再成長させることです。 それには中興の祖となるような「第二創業の覚悟と知恵」が必要です。 第三に、企業資産や先代社長の個人資産の相続という問題を、後継者としてうまく解決しなければなりません。 大半の企業が同族会社であるという現実から、税務や法律をはじめ、きれいごとではすまない企業永続の知恵が必要になってきます。 そこで、この本を、 【第一部】 企業承継の大原則と、後継者としての覚悟のつけ方、行動の仕方 【第二部】 社長の仕事とは何か、後継者に必須となる経営の急所と知恵 【第三部】 承継の盲点となりやすい、企業を永続させる知恵 の三部に、大きく分けました。 全編を通じ、評論家の「べき論」を排し、すべて実践の要諦を述べています。 それらを後継者の方々に、「他人事」ではなく「わがこと」と感じていただけるように、さまざまな業種業態と規模から、多くの具体的な事例もまじえました。 思わぬ長編となりましたが、できるだけ話し言葉でわかりやすく、どこから読んでいただいてもよいように構成したつもりです。 どうか何度も繰り返しお読みください。読めば読むほど、ご利益があります。 実践いただければ、必ず、優れた後継者に自己成長できます。 そう断言できるだけの強い情熱を込めて、この本を書きました。 あとは後継者のみなさんが、これから起こりうるどのような困難をも跳ね返し、事業の再成長に活躍されることを、ひたすら願うのみです。 |
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2008年3月吉日
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井上 和弘
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