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まえがき 経営コンサルタントになって34年目、長いようで、過ぎてしまえば早いものである。この間、様々なことにぶつかっている。そのなかから、感銘深かったこと、意外だったこと、特に社長の皆様にお知らせしたかったことなどを、報告させていただく。 したがって、特定のテーマについての論文ではなく、メドレー式に報告させていただくものである。その主なものは、4つある。 第一には、「環境整備(清潔・整頓・安全・衛生など)」で、これは、全く意外であっただけではなく、私の考え方まで変えてしまった。これを徹底すると、人間までも変えてしまう。そこにあるのは、・人間革命・ともいえるものである。 私のコンサルティングは、環境整備に始まる。これ以外に何もしないのに、業績が上がっていく。後はすべて、自然とうまくいく。詳しくは本文を読んで、さらに立派な会社になっていただきたい。 第二には、「ワンマン経営」の徹底である。本当のワンマン経営は、多くの人々が考えているものとは、似ても似つかないものである。ワンマン経営は、世に言われる独裁、独断、ガミガミとは正反対のものである。 真のワンマン経営者は、会社の責任を一身に負う。自らの状況判断に基づいて目標設定を行い、お客様の要求をいかにして満たすかということだけを考えて、それを実現していくことを使命としている。 第三には、社長自らのお客様訪問である。社長自らのお客様訪問のないところに、本当の意味での事業の発展はないのだ。 第四には、社長自ら経営計画書を作成することである。「小さな会社だから、経営計画書などいらない」と思うのは、大きな誤りである。どんなに小さな会社だろうと、絶対に必要である。反対に、「こんなに大きな会社で、やることが山のようにあるのに、そのうえに社長自ら経営計画書を書くヒマなどない」というのも、大きな間違いである。 経営計画書を、必ず自らの手で書き上げることこそ、社長として絶対にやらなければならないことである。これなくして、会社の繁栄を実現するのは難事中の難事である。 経営計画書こそ、・会社の守り神・である。そして、社長の雑用を無くすものは経営計画書であり、社長は本当の意味で会社の将来だけを考えればよいことになる。 論より証拠、私のお手伝いしている多くの会社の社長たちは、かつては身体がいくつあっても足りないほどであったのに、現在はより大きな会社に成長しながら、悠々として、仕事をしている。 だから、一倉教の社長さん方は、口を揃えて、経営計画書を・魔法の書・と呼んでいる。その正体は、何であろうか__。多くの人々を立派に使う法こそ、リーダーシップである。リーダーシップの要諦は、「自らの意図を明らかにする」ことであり、それを最も効果的に発揮する法は、・明文化・である。これが、経営計画書の・魔法・の正体である。 「口頭による指令は忘れられ、文書による指令は守られる」これが、私が経営計画書の作成を社長に強力に進言する理由である。経営計画書を作成し、その発表会で社長が経営方針の説明をし終えると、役員、管理職、社員を問わず、眼の輝きから言葉も態度も、全く違ってしまうということを発見する。 そして、それ以後、毎日、方針書の一節ずつを声に出して全員唱和することにより、短期間に社長の方針が全社に徹底する。これが環境整備の効果と相俟って、会社は完全に生まれ変わってしまうのである。 3年目の経営計画書発表の頃には、元の会社の姿は、驚くほど素晴らしいものに変わってしまっている。まさに、・奇跡・としか言いようがないのである。 この時、多くの社長が私にもらす言葉が、これまた完全に一致する。それは、「この頃、経営計画の方針書を書くことが恐ろしくなりました。私が間違った方針書を書いたら、会社全体が間違った方向に行ってしまうからです」という。 経営計画書を最も手早く作る道は、私が年2回沖縄で行う「経営計画書実習ゼミ」に参加されることだ。期間は、足掛け8日である。このゼミでは、初参加の人も、数回から、実に十数回も参加している人も一緒になって、勉強と交友と情報交換が行われる。そこには、全くの別世界があり、これが計り知れない大きな効果を生み出している。 社長というものは、・毛並み・のよさを絶対に必要とする。毛並みというものは、氏素姓や教養だけではなく、行動半径の大きさ、そして立派な友、しかも異業種の友を多くもっていることが大切である。 特に社長には、社運を決める・決定・という大事がある。これは、重要なことであればあるほど、社内の人には相談できないものだ。このような時に、経営計画書実習ゼミのメンバーは、この上ない相談相手なのである。 それだけではない。これらの人々は、互いに平素から交友し、経営計画の発表会には出席し合う。奥様同士の交友を行っている人たちも多い。何ともユニークな交友が、常時、行われているのである。 以上の4つが、事業経営の土台となり、柱となっている。それらの上に事業経営が乗るのであるが、本書に何もかも書くわけにはいかないので、そのうちの、特に盲点となっている「年計グラフ」や「直接原価計算」「資金運用計画」「ランチェスター販売戦略」「会社内部の最小限管理」「コンピュータ」などに的を絞り、日常の経営活動のなかで最も重要な留意点として記述することにした。 |
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1997年4月吉日
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一倉 定
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