小さな元手で最大利益をあげる《高回転経営》とは

カネ回りのよい経営

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著者 井上和弘(いのうえかずひろ)
形態 A5判 (15CmX21Cm)本文451ページ
発行 2003年12月12日 ISBN4-89101-033-9
内容 目次と項目   まえがき
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机上版
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「カネ回りのよい経営」まえがき

 「カネ回りがよい」とはどういう状況をさすのだろうか。

 たまたま新商品や新商法が当たって、売れに売れて大儲けでき、厚い札束が、会社の金庫にも銀行の口座にも、社長の財布にも溢れていることを言うのだろうか。

 たしかにそれはそれで、カネ回りがよい状況には違いない。おカネが手許にどんどん集まってくる日々は、社長にとってまさに至福のときであろう。

 しかしあれほど売れていた商品がぱったりと売れなくなり、ライバル会社が新たな商法で対抗してきて売上がみるみる減ると、とたんにおカネが回らず窮屈になってあわてふためく。

 これでは偶然の大儲け、神頼みの経営でしかない。

 たまたま商品がヒットしたからカネ回りがよくなり、売れなくなったからカネが回らなくなる、さらに言わせてもらえば好況だからカネ回りがよく、不況になると悪くなるというのでは、ときの流れにまかせているだけで経営不在だ。

 社長たるものは、いついかなるときにも、たとえ、ものが売れない時代でも、カネ回りのよい経営を継続しなければならないのである。

 このごろ「キャッシュフロー経営」ということがしきりに言われている。

 「キャッシュフロー」とは、何のことはない「カネ回り」のことである。

 1990年の冷戦の終結により、社会主義体制の25億人もの安い労働力と安い土地や設備から生まれた格安な製品やサービスが世界中に流れ出した。日本の土地担保主義の金融制度は一気に崩壊し、これまでの土地や設備などの固定資産に頼るストック経営のやり方、資金の使い方では、おカネが回らず詰まってしまうことになる。このような時代には、「キャッシュフロー」、つまりカネ回りをよくするための経営対策が注目されるのも当然なのである。

             *

 カネ回りをよくする大原則は決して難しいことではない。

 古くはユダヤ商人や華僑がかたくなに守りつづけた鉄則であり、身近では、朝市のおばさんが今も毎朝実行していることである。

 それは何かと言えば、「現金第一主義で、小さな元手をフル回転させて大きく稼ぐ」という「ゲンナマの高回転経営」に尽きる。

 現金をモノに変えたら、寝かせずに即座に売り現金にする。その現金でモノを仕入れたらまた即座に売り切って現金にする。このくり返しによって稼ぐ。

 しかもすべての元手は、利益を稼ぎ出すものにしか使わない。利益を稼いでいないと判断したら、売却損がでようと即座に始末して現金に換える。理屈は実に単純である。

 トヨタ自動車は、売上約16兆円、経常利益1.5兆円(2003年度・連結)という、巨大企業にして同時に超高収益会社である。しかしこの巨大企業の経営原則が、朝市のおばさんの経営と同じだと言ったら、そんなバカなと納得されない方もいらっしゃるだろう。

 しかし有名な「トヨタのカンバン方式」に代表されるジャストインタイムの経営は、高回転経営の見本のようなものだ。小さな元手を高速回転させつづけて強靭な財務体質を築き上げ、その強みが収益力をより増大させ、いつしか世界を代表する超優良企業が生まれたのである。

              *

 「売れて儲かる商品・サービス」をお客さまに提供しつづけること、

 「いかなる状況でもおカネが回る仕組み」を自社に用意すること、

この二つは、「カネ回りをよくする経営対策」の両輪である。

 このうち顧客が殺到するような「売れて儲かる商品・サービス」をいかに確実に提供していくかについては、すでに前著『稼ぐ商品・サービスづくり』で詳説した。

 本書は、残されたもうひとつの重要対策である「高回転経営」すなわち「いかなる状況でもカネ回りのよい経営」について、社長に必須の実務としてまとめたものである。

 私は1972年に経営コンサルタントとしてスタートしそれから30余年間、さまざまな企業の盛衰にかかわってきた。その中から株式を上場する企業、売上1千億円を超える企業などが次々に現れたが、それらはひとえにそれらの企業を率いる経営者の手腕によるもので、私のお手伝いの成果などしれたものである。

 ただ私のささやかな自負は、早くから企業経営における「カネ回りのスピード」を重視し、たとえ売上が減っても増益できる「カタ太りの経営」を提唱し実践して頂いたことだろう。そのためか長くお手伝いさせていただている企業は、何度か遭遇した不況をしぶとくくぐり抜け、他社が赤字で苦しんでいるときも、しっかりと利益をあげてきた。

 たとえ不況のときでも、資金繰りの心配をせず、毎晩、枕を高くして寝ることができる。これもまた、経営者にとって至福のときではないだろうか。

 「カネ回りのよい経営」は、社長が決意すれば必ずや可能なのである。

 ところが社長にとってカネ儲けの話は好きでも、おカネにまつわる数字の話は理屈が多くて面白くない。しかもあまたの「カネ回り」関連書は、社長にとって実にむずかしい。

 私は税務や財務などの管理畑出身ではないからか、専門家の書かれた資金や財務の本は、私とて難解、というよりほとんどわからないというのが実感である。

 なんとか経営者にわかりやすく、しかも実務にすぐ役に立つ本にしたい。

 そんな強い思いで本書を書かせていただいた。

 そのため専門用語をできる限り少なくし、多くの実例をまじえて説明したつもりである。

 専門家から見ればいささか強引な記述があるかもしれない。しかし私の年来の主張を、すべての経営者にぜひとも実践していただきたいためのことであり、お許しいただきたい。

 本書によって、真実おカネに強い経営者がひとりでも多く増えることを念願しています。

2003年11月吉日
井上 和弘
カネ回りのよい経営 もくじ

 

  まえがき

  第一章 おカネに強い会社

    1 高速カネ回りで年商330億円の事業を築く

        11年で上場の夢を果たした原点/24時間営業にしてみたら/
        リンガーハットの誕生/財務を安定させカネ回りをよくするために

    2 ある鉄工所の奇跡

        一通の礼状/最初のピンチ/自社商品の開発/第二のピンチ/
        業績のV字回復/より儲かる会社にするために 

    3 衰退産業、しかも下請けなのに今なぜ儲かるのか

        三つの不思議/ガチャマン景気もいまは昔/
        体力指数1000を超える会社/
        自前の資金でがっちり稼ぐ/「ある」のに「ない」会社/
        多くの会社がやりがちなこと/儲かる人と損する人/
        下請け加工業でも儲かる道がある

    4 中小土木建設会社の生き残り策

        公共事業削減の中で五年連続増益/
        受注が半減しても倒れない会社/土地リフォーム業  


     

  第二章 カタ太り体質の実現

    1 おカネを稼ぎ出す体質とは

        売上とカネ回り/売りの怖さを知れ/
        売上を落としてもカネ回りのよい経営/
        カタ太り体質とは/企業体力指数

    2 小さな元手で大きく稼ぐ

        収益性を高める着眼点/株主への詫び状/攻めの展開の勘違い/
        後手にまわった資金対策/朝市のおばさんに学べ/
        元手を高回転させると三つの利益が出る/事業経営の原点/
        回転主義経営を無視して/回転主義は収益性向上の根本なり/
        「財産」と「資産」とは意味が全く異なることを知れ/
        持っているから弱い

    3 借金を返す気のない社長は、苦界の女郎である

        借金不感症の不思議/貸し渋り、貸し剥がしのウラにあるもの/
        苦界の女郎



  第三章 経営数字の速読術

    1 数字に強い人・明るい人

        数字アレルギーの経営者/あなたは数字に「明るい」社長ですか/
        経営数字を速読できる「井上式B/Sの面積グラフ」/
        「B/S面積」グラフの威力

    2 井上式B/S面積グラフの作り方

        B/S面積グラフ作成の手順/
        【ステップ1】科目の集約・単純化/
        【ステップ2】金額を上三桁に単純化する/
        【ステップ3】%を算出する/
        【ステップ4】グラフ用紙に色分けして各項目の面積を作図する/
        【ステップ5】売上高を棒グラフで記入する/
        自社のB/S面積グラフを作成する

    3 社長の目でB/S面積グラフを読む

        総資産の部は「三つの体型」で見る/収益力は資産の回転で決まる



  第四章 稼ぐ資産とカネ食い資産

    1 会社の資産は一円たりとも幻であってはならない

        すべてはゲンナマから/
        同じ業種、同じ売上で正反対の経営をつづけると/
        両社の言い分/資産を膨ませる会社は回収も遅い/
        在庫は腐る/死に筋を早く見つけて決断する/
        売れ筋を素早く見いだし対応する

    2 カネ食い資産を削って借金を返す

        銀行が潰れた/やればできる

    3 所有価値から利用価値へ

        固定資産がいちばん重い/SG社の二つの失敗/
        利用すれども所有せず/
        超高回転経営を目指して

    4 稼ぐ資産を揃える

        ぶさいくなバランスシート/三つの疑問



  第五章 使えるカネの増やし方

    1 ユダヤ商人・華僑・印僑に学ぶ

        世界の三大商人は常にキャッシュ第一主義者である/
        資金繰り表のいらない会社がいちばん強い/発生主義より現金主義

    2 キャッシュフローをひねり出す「五増六減策」

        キャッシュフローを良くするために増やすものと減らすもの/
        現金取引、前受金取引を行え/利益を増やすこと/
        資本を増やす/借入金を増やす、元金返済を長くする/
        支払いをのばす/B/SとP/Lのつながりを知る

    3 キャッシュフローをひねり出す六つの「減らす策」

        受取勘定のサイトを縮める/在庫棚卸高を減らす/
        建物・機械・設備を減らす/土地を売却せよ/
        生命保険は掛け捨てに/納税金を減らしなさい/
        現預金も在庫である



  第六章 利益の正しいつかみ方

    1 社長としての損益計算書の読み方

        わが社の収益性を読む/
        P/Lのどこに目をつけるか、どう読みとるか/模範解答

    2 社長としての損益管理の急所

        どこにまず目がいくか/売上総利益をどう捉えるか/
        営業利益をチェックする/減価償却費に目をつける/
        経常利益の目のつけどころ/税引前当期利益の目のつけどころ

    3 社長は税前利益に目をつけよ

        利益の社外流出をさける/黒字と赤字の経営的な使い分け/
        土地を売らなくても減額する

    4 増益体制のとり方

        早め早めに手を打つために/経営幹部は現場に埋没するな/
        数値で管理する/傾向を正しくつかんで経営判断する/
        対策を考える/不正を発見する/経営者は数値で語れ

    5 成長会社の経理事務体制

        いつまでも儲け続けるための必須要件/
        経理会計と財務のイロハ/
        社長はおカネを回して儲けるヒトである



  第七章 税理士・銀行と腰をすえてつき合え

    1 税理士は会社の利益を守ってくれるか

        税理士事務所からのDM/税理士先生、考えてみてください/
        税理士の変え方教えます/顧問税理士はほんとうに必要なのか

    2 何のために節税するのか

        脱税で犯罪者呼ばわりされて/資金の社外流出(税金)を抑えよ/
        税務調査から逃げるな/調査官の狙い

    3 これからの銀行とどうつき合うか

        非情の現実/雨の降った時に傘を取り上げる/
        銀行の言う嘘・脅し・罠に気をつけろ/
        どこを取引銀行にすればよいか/銀行金利を下げる方法

    4 資金を調達するコツ

        三種類の資金調達/成長資金を必要なときに、必要な額を
        確実に借りることができるか/
        銀行向けの企業案内書に必要なこと/単名ころがしはやめなさい/
        金融機関が貸したくなるB/Sを作れ



  終章 経営者とおカネ

    1 デフレを活かせ

        緊張が解けてすべてが変わった/デフレ時代の生き方/
        デフレの良さに目をつけろ

    2 おカネは非情なものである

        しがらみを断ち切る/情の捨てどきを間違うな/
        カネの余裕

    3 後継者に何を残すか

        財務の内容が良すぎて困ることもある/増資は株価対策でもある/
        おカネのありがたみと怖ろしさを後継者に伝えよ/
        たわけ者になるな/投資と投機/あとがきに代えて

「カネ回りのよい経営」本体概要
「利益請負人」井上和弘が、最大利益を生む

          《会社のおカネ運用策》を初公開

●おカネを高速で回し、最大利益を得る---
事業資金の使い方を、より儲かるように変える「増益フロー経営」
の実践策を提示。
早くから「資金の最小化と利益の最大化」を実戦指導してきた著者
が、「好・不況にかかわらずカネ回りのよい経営」について多くの

最新実例で熱く説いた、経営者待望の実務の書。

   ●本文総ページ数451ページ
   ●本体サイズ A5判(15Cmm×21Cmm) 上製本・箱付き
●皮革携帯版について
机上版と全く同じ内容で、本文用紙に特薄の高級紙を、表紙に
本皮革を用いた特装携帯版。

多忙な社長様が出張先に持ち歩けると大好評です。

A5判・本文451頁・函付

「カネ回りのよい経営」著者について
著者 井上和弘(いのうえかずひろ)氏について

 いま社長に最も注目を集めている「肝っ玉」経営コンサルタント。

 企業再建の「名外科医」として、赤字会社の中に入り込み、社長や役員を叱りとばしながら、思いきった手を果断に打って短期間に収益力を急回復させ、黒字転換するまで情熱的に指導することで定評がある。経営指導歴30年、これまで170社を直接指導、オーナー社長のクセを知り尽くし一社も潰さず、一部上場はじめ株式公開させた企業も十数社にのぼる。

 一度指導を受けた社長は、その実力とざっくばらんで魅力的な人柄に心底ほれこみ10年〜20年の長期指導はざら、相互の信頼感から後継子息を氏に託す人も多い。

 不況期にも利益を確実に稼ぎ出す経営手法と徹底した現場実践主義に、全国の数多くの経営者が信奉し東奔西走の毎日を送る。企業の黒子役に徹するため、著作や一般講演を極力抑えて、その分を企業経営に割く根っからの実戦派。本書はそんな氏の貴重な一冊でもある。

 1942年大阪生まれ。早稲田大学卒。イタリアフローレンス大学留学後、大手経営コンサルタント会社を経て、84年ICOコンサルティングを設立、代表取締役に就任。94年より日本経営合理化協会理事。JMCA米国視察団々長、各種の社長塾を主宰。ダラス市名誉市民。


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