| まえがき
事業経営に数字は絶対不可欠なものであることは論をまたない。しかし、企業会計原則にもとづく伝統的な会計学は、過去の数字を扱ったものにしかすぎず、しかもそれは企業外の人びと?税務署、銀行、株主?のためにつくられたものであって、企業自体に奉仕するためにつくられたものではないのである。
ただ一つ、企業自体のためと思われる原価計算は、事業の実態を全く知らない観念論者のつくりあげたものであって、真実の姿とは似ても似つかない数字をつくりあげるという危険極まりないものである。
それにもかかわらず、深く広く企業に浸透して、大きな害毒を流し続けているのである。われわれは、まず企業の兇器ともいうべき原価計算を捨てなければならない。そして、真に自らの事業経営に必要な数字を、自らの必要性に応じて使ってゆかなければならない。
それは、過去の原価に焦点を合わせたものではなく、将来の収益に焦点を合わせたものであって、企業の増収・増益のための戦略的決定に対して正しい判定ができるものでなくてはならないのである。それと同時に、素朴で分り易く、使い易いものでなくては、実戦には適さないのである。
本書は、以上のような企業の要請を満たすために書かれたものである。とはいえ、企業活動は複雑な要因がからみ合っているだけに、数字の意味を正しく読みとることは必ずしも易しくない。そのために極力実例などで理解してもらうことを試みたが、筆者自身の能力的な限界から、説明不十分なところも多いことと思われる。この点については、ご海容を願うこととし、本書が賢明な読者自身の研究の一助にもなれば幸甚の至りである。
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