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私は本書で、「ひと中心」の経営が、儲けを生み出すのに最適であることを明らかにした。 しかもそれは、日本の大企業ではなく中堅・中小企業のオーナー経営にこそ、その可能性が強くあることを述べている。 一九四五年太平洋戦争が終結、日本の国土は灰燼に帰した。それから日本は、世界のひとが認める「奇跡の復興」を遂げたのである。ここにいたるまでに日本の会社の九○%以上を占める中小企業は、大企業のパートナーとして、また大企業とは係わりなく独自の分野を切り拓き国際的に活躍するようになって、日本経済に大きく貢献してきた。 その中小企業の九○%以上が、オーナー経営なのである。 ではおカネを追い求めない経営者は、儲けに淡泊なのか。 このオーナー自らの信念を実践することを「経営者の役割」と定め、「自社の役割」「関係各社の役割」「自社の各部門の役割」「個人の役割」に首尾一貫させ、全社をあげてお客さまのくらしに貢献し、永く儲け続ける。 「役割経営」は、係わるひとたちすべてが、オーナーの信念に共感・共鳴し、連帯・連携しながら、それぞれの役割を果たす「ひと中心の経営」そのものであり、決して「マネー中心」や「効率中心」では実践できない。 このように言うと、「理念でメシが食えるか、いまの世の中、きれいごとで生きていける時代ではない」という声があがるだろうが、それは違う。こんにちは「理念なしでは会社が存続できない時代」なのである。近年続出した大企業から中小企業までの数々の不祥事をみていただきたい。マネーや効率を優先し、お客さまから見放された企業は消えてなくなっているではないか。 オーナー経営者だからこそ、株主に気兼ねすることなく、自分の信念で経営できる。これからの中堅・中小企業のオーナー経営者は、この「役割経営」にこそ活路を求めるべきと、私は確信しているのである。 もちろんオーナー経営者の意図する「役割経営」を推進するためには、そのための体系と仕組みがなければならない。また変転しつづける市場に合わせ、お客さまに歓迎される商品・サービスを絶えず創り出して提供し続けなければならない。 そこで本書では、お客さまから選ばれる「差異づくり」と、それに係わるひとの扱い方として「役割人事」に焦点を合わせて述べた。 この大転換の時代に、本書で展開した「ひと中心の役割経営」が、オーナー経営者のお役に少しでも立つことができれば、私のこの上ない仕合わせである。 私は経営コンサルティングの仕事に入ってちょうど四○年目を迎えた。この節目のときに、本書を、私の四○年来の畏友牟田學氏(日本経営合理化協会理事長)のところから上梓いただくことに特別の感慨をいだいている。 末尾になったが、本書は出版局長本間登美雄氏のお陰をもって出版までこぎ着けることができた。出版企画から十数年の歳月を経ている。遅筆の私への叱咤激励、そしてさまざまな支援がなかったなら、到底、陽の目を見ることにはならなかった。適切な謝辞がないほどである。 またこれまで私と係わって下さった数多くの経営者と社員の方々に心から感謝申しあげたい。そして本書にご紹介することを許して下さった諸氏に厚く御礼申しあげる。なおホームページからの引用については、アドレスを附記させて頂いた。 最後に、弊所松浦なつひ所員の労を謝す。 |
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二○○四年五月吉
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渡辺英幸
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