事業経営を成長させる、5大原理とは…

成長の原理

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著者 上原春男(うえはらはるお)
形態 A5判(15CmX21Cm)本文445ページ
発行 1996年11月7日 ISBN4-930838-92-4
内容 目次と項目   本書のまえがき
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成長の原理・まえがき
はじめに

 私は、1989年に「成長の原理」なる本を出版した。この本は、人間をはじめ、国、県、企業、商品、科学や技術のように、成長過程をたどるものは、その成長の様子に共通の原理があるのではないかと思い、それまで研究してきたものを「成長の原理」として一冊にまとめたものである。

 当初この本は、読者にそれほどの関心をもってもらえないのではないかと思っていたが、難しいタイトルにもかかわらず、通算8000部出版された。さらに出版社の都合で絶版となった後も、この本を欲しいという人が多く、やむなく1000部を自費出版したが、それもたちまち手元からなくなってしまった。この間、「成長の原理」を読んでいただいた多くの人たちから、「企業の成長」にのみマトをしぼったものを出版してほしいとの要望が多数よせられた。

 私は本来、経営の専門家ではない。大学を卒業するとすぐエネルギー関係の研究の道に入り、今日まで、伝熱工学を専門としてきた者である。その私がなぜ、「成長の原理」をまとめる必要があったのか、簡単にふれておきたい。

 今から30年近く前になるが、学位論文をまとめだしたころから、それまでの研究方法に疑問をもちはじめた。同時に、論文を学会に投稿するたびに、虚脱感におそわれ何か空しい気分になった。なぜなら、研究の対象について、その基本理論のほとんどが欧米ですでに理論づけられ、体系づけられていたからである。

 自分の研究は独創的ではない、欧米のモノマネに過ぎないのではないかと。その頃から、創造性や学問の発展過程や技術開発、製品開発のやり方について、真剣に考えるようになった。そして自分の専門である伝熱工学や発電所の技術について、その発展過程を詳しく調べてみた。

 その結果、伝熱工学については、若干、日本独自の研究成果があるにはあったが、火力発電や原子力発電の技術については、まったくといってよいほど日本独自のものがなかったのである。このことを知ったショックは大きく、さらにほかの科学や技術についても調べてみると、ほとんどの分野の基本的理念に、日本独自の創造的なものがないことに気づいた。

 しかし一方で、日本は戦後すごい勢いで経済成長をとげ、独自の基本的技術などもたないにもかかわらず急成長した企業が多くある。また日本の国自体も、ほかの国以上に急成長してきた。この状況を、単に日本人の特異性だけで説明するには、矛盾が多く十分なものではないと考え、さらに研究を進めていった。

 そのうちに、科学や技術を創造し発展させ、成長させたり、企業や国を発展させ、成長させたり、人間が成功するためには、何か共通の原理(成長の原理)のようなものがあるのではないかと漠然とした考えが浮かんできた。その共通の原理とは何か?ということを考えだすと毎日が楽しく充実したものになった。

 ちょうどその頃に、「海洋温度差発電」という新しい研究に着手し、これを成長させてみようと考えた。この海洋温度差発電は、1881年にフランスで考案されたものであるが、それまでに実用化された例はなく、また研究の蓄積もほとんどなかった。実用化にあたっては、従来の日本の技術のように欧米のモノマネはできず、日本独自の創造的な研究開発が前提であった。

そのためには、この技術を発展成長させる基本理念がどうしても必要となった。そこで、私独自の「成長の原理」を作った。それが次の5つの原理、第1原理創造・忍耐の原理第2原理成長限界の原理第3原理並列進行の原理第4原理条件適応の原理第5原理分離・再結合の原理である。

 この原理にそって研究を進めていくと、面白いように種々のアイデアが出て、将来に対する展望も開けてきた。この5つの原理について、たまたま知り合いの企業経営者と断片的に話しているうちに、「成長の原理」が企業における技術開発や製品開発、さらには企業の経営そのものにも活かせるのではないか、という人たちが現れた。

そして「成長の原理」を積極的に経営に利用していただいたところ、社会情勢に適応したこともあって、急成長していったのである。なかには中小企業から年商千億円を超える大企業になったところも数社生まれてきた。

 こうなると多少自分の考え方に自信がついて、それまで漠然としていた原理を、さらに整理し、体系化して、その結果を経営者の前で講演するようになった。私の考え方に賛同してくれる経営者もしだいに増え、地元の経営者を中心とした、年商100億円の企業づくりを目指す勉強会「チャレンジ100」をはじめ、種々の研究グループができてきた。

 それらの経営者から、成長の原理を本にしてほしいという声が多くなっていった。そこで、まだ不完全ながら、それまでの考え方をまとめて出版したものが、今は絶版になった「成長の原理」であった。

 その後、経営者による「成長の原理」実践研究グループが全国に広がり、現在では300社を超える企業が、成長の原理にもとづいて事業を展開されている。なかには、5年間で売上を10倍増させた企業や、株式上場をするまで成長した企業が次々と現れてきた。

 それらの熱心な経営者に囲まれて、経営の分野では素人の私が、本当に多くの貴重な体験をさせてもらった。また本業の伝熱工学の分野でも、発電所のシステム論と企業経営の接点が多いことも、経営者の方々から逆に教えていただいた。

そんな折に、日本経営合理化協会の出版局長本間登美雄氏から、「経営者のための成長の原理」をまとめてほしいという熱心なお誘いがあった。そこでこの機会に、私の年来の考え方を、企業を成長させる方法にマトをしぼって論じるのも意味があるのではないかと思い、新たな体験を大幅に加え、ここに改めて、「成長の原理」を出版することにしたわけである。

 本書が、読者ご自身の企業を成長発展させる具体的な手がかりとなることを、心から願っています。

平成8年11月吉日  上原春男
成長の原理・もくじ
成長の原理もくじ

はじめに

序章 なぜ「成長の原理」か
1 なぜ成長が必要なのか
「成長したい」という欲求が人間を活動的にする/企業や国家も成長しなければならない

2 成長のパターン
成長曲線/文明の成長曲線/エネルギーと成長曲線/創成期の特徴-産みの苦しみの時代/創成期の注意点/成長期の特徴/成長期の注意点/安定期の特徴/衰退期の特徴/「成長の原理」の課題/

第1章 企業成長の条件
1 企業とは何か/企業の条件/企業経営の目的/企業の利益/

2 リスクは企業成長の条件である
企業はリスクを背負っておかねばならない/国鉄の失態/日本の成長とリスク/リスクを嘆くことはない/リスクのなさがソ連邦を崩壊させた/地方大学だから不利とは言えない

3 企業は自主的に意志決定ができなければならない
政府の干渉が企業をだめにする/日本の基幹産業が危ない/下請け企業に必要な自主性

4 製品・サービス・情報を生産し、それを販売する
サービスと情報に価値がないと商品ではない製品の価値を高める/サービスは製品の価値を高める/アフターサービスが価値を生む/サービスの創造が売上を伸ばす/情報は製品の価値を高める/社長自身が情報である

5 企業における利益と創造性
企業の利益とは何か/企業における創造性とは何か/売上倍増、利益30倍増の会社/インターフェイスの創造性/心地よさの創造とはどういうことか/社員の心地よい状態とは

6 人間の基本的欲求と心地よさ
心地よさの中身を考える/生理的欲求/安全の欲求/愛・所属の欲求/承認の欲求/自己実現の欲求/人間の欲求と企業のあり方/お客様の心地よい状態とは/どのお客様も、心地よさを求めている/人間は、なぜ自分に合った衣類を求めるのか/欲求のレベルが高いと心地よさも高い

第2章 企業を成長させる社長の基本心得
1 社長は企業を成長させる信念をもつこと
成長させるためには可能思考でいけ/可能思考は、脳を実現する方向に働かせる

2 明確な目標がないと成長しない
5年後の目標を決めているか/目標設定と創造性/目標設定のやり方/チャレンジ100の発足と経過

3 企業を成長させるためには、大局的視野が必要である
大局的視野の要素世界の流れ/技術の時代の哲学時代の変わり目に何が起こるか「清貧」の危うさ/世の流れと水の流れ/成長の過程とデタラメ度/デタラメ度100の人/企業のデタラメ度とリーダーのデタラメ度/国の発展と基本要素/経済の発達の要因/文化の発達の要因/国を成長させる7つの主要因/GDPは国民の脳の活性化度である/地方のGDPに注目せよ/エネルギー需給をみると経済がわかる/エネルギーは、人間に心地よさ、時間、知識を与えてくれる/とにかく職場を明るくせよ/エネルギーの動向をみていると次に何をやるかがわかる/人口の動向は企業の戦略上重要である/10年後になくなる言葉/地球環境問題は経済を支配する/持続可能な発展をめざす/21世紀の産業の目玉は「空気」「水」「光」である

4 社長は企業を成長させる責任者である
組織の興亡はリーダー次第/企業の指導者の条件/指導者としての10の心得/企業の成長の責任者は社長である

5 非線形思考のすすめ
線形と非線形非線形思考でないと危ない/ソードの例に学ぶ

第3章 創造・忍耐の原理
1 成長させるための基本原理?/「創造・忍耐の原理」/創造性がないと「成長しうるもの」が見つからない/忍耐力がないと成長がつづかない

2 成長するための情報の収集方法
「成長しうるもの」をどのようにして見つけるか/信頼おける友人をもつこと/幅広い分野の人との交流/異業種交流の成功の秘訣/本音の情報を交わすコツ/商品開発は企業活動である/異業種交流が盛んなほんとうの理由/仕事は忙しい人に頼め/情報源は新聞・テレビ・雑誌にもある/本は自分の金を出して買え/古典や歴史書を読め

3 成長物の決定の方法
大功を成す者は衆に謀らず/「条件適応の原理」に合っているかどうかを見よ/二番手主義が大きな利益を獲得できる/技術そのものの販売は先行型/改良研究、論文を作成するための研究

4 創造性の追求
創造性の種類/創造性のタイプ/インターフェース/創造論と企業活動/部品納入を3分早めただけで大幅増益/インターフェースも商品である/企業の成長は受付を見るとわかる/インターフェース創造論と服装/製品や商品におけるインターフェース/創造性インターフェース/創造論とシリコンバレー

5 創造性をつける方法
創造性の構造/創造性の強化法/社員の脳を活性化させる6つの方法

6 忍耐力のつけ方
忍耐力を鍛える8つのポイント/『恩讐の彼方に』にみる忍耐力/人間の成長のパターンと人間の悟り

第4章 成長限界の原理
1 成長限界の原理とは
あらゆる成長物には成長の限界がある/成長限界の原理の課題

2 成長の限界はどうしてくるのか
成長限界をむかえる2大原因/社長が満足すると成長が止まる

3 成長の限界の見つけ方
成長の限界をむかえる兆候/成長の限界の定量的な見つけ方/成長のS曲線/「社員30歳、本業の7割」則

4 「成長限界の原理」の利用の仕方
次の成長のチャンスとしてとらえる/成長の限界を知ると創造力が生まれる/小売業における成長限界の利用の仕方/販売戦略は、成長の限界点を決めておいてから実施する

第5章 並列進行の原理
1 並列進行の原理とは
成長の限界点をいかにクリアするか/単品製品は死にいたる/単一産業は町を亡ぼす/単一種は国を亡ぼす

2 「並列進行の原理」と企業経営
トヨタ自動車と「並列進行の原理」/セコムにおける「並列進行の原理」/京セラとS紙器印刷にみる「並列進行の原理」/企業における「並列進行の原理」の利用の仕方/販売・受注ルートの開発と「並列進行の原理」/ヨーヅリにおける並列進行の経営/ニワトリとタマゴを同時に産め/韓国の半導体産業と「並列進行の原理」による開発/新製品開発を並列進行させる比率

3 「並列進行の原理」を実行する際の効果と問題点
企業経営における効果の一例/企業の場合の留意点/年商10億円の会社が売価10億円の製品を開発してはいけない/いつ第2の成長要素を立ちあげるべきか/誰が第3の成長要素を立ちあげるべきか

4 人間の成長と「並列進行の原理」
ひとり二役、三役の効用/マルチ人間のすすめ/幅広い情報が手に入る/人生が豊かになる

第6章 条件適応の原理
1 条件適応の原理とは
変わりつづける内部と外部を一致させる/条件適応の原理に反していたアメリカの技術/アメリカの自動車がなぜ日本で売れなかったか/「条件適応の原理」で再生したアメリカの技術

2 「条件適応の原理」の事例
交通機関と「条件適応の原理」/蒸気機関と「条件適応の原理」/「条件適応の原理」と形と大きさ/釣具にみる「条件適応の原理」

3 「条件適応の原理」の利用の仕方
企業経営のやり方は企業規模によって異なる/第1期の成長期(創業期)における企業の特色と経営の課題/第一の危機をどうのり切るか/第2成長期の特色と課題/第二の危機と対応/第3成長期の特色と課題/第三の危機も「条件適応の原理」に反するとやってくる/第4成長期の特色と課題/第四の危機第5成長期/第五の危機は官僚化ではじまる/100億円企業の条件

4 商品開発・生産システムと条件適応の原理
商品開発は企業規模で異なる/資金量と製品開発における「条件適応の原理」/大企業の新規事業と「条件適応の原理」/大きなドックで小型船を造ってはいけない/海洋温度差発電の開発と「条件適応の原理」/風俗、風習によって人事管理、生産方式は異なる/地域、社会、年齢、性別によって商品や製品の大きさ、形、色は異なる/「条件適応の原理」はスピードで対応せよ

第7章 分離・再結合の原理
1 「分離・再結合の原理」とは
「内と外」の機能を分離し再結合させる/個人の場合/企業・組織の場合

2 人間の能力の分離と評価の基準
2つの能力因子-知力と度量/EQ人間を育てる/課長止まりの人と社長になる人はどこが違うか/上に立つ人に必要なこと/人間の能力はかけ算である

3 国の機能の分離と発達の要因
経済の発達と文化の発達/国の発展を支配する5つの要因

4 技術・製品の機能の分離と要因
技術や製品における機能の分離/アサヒビールにおけるドライビールの開発と機能の分離/蒸気プラントにおける機能分離の例

5 商品価値の分離と再結合
商品の付加価値の中身/製品の価値/サービスの価値/情報の価値/お菓子を小さな袋に入れる/さしみ皿と「分離・再結合の原理」/「分離・再結合の原理」を利用するコツ/「分離・再結合の原理」とセグメント化

第8章 静と動
1 企業は生きている

2 企業の現在の強み

3 変動するものへの適応はスピードが大事である

4 世の中は複雑化されている

5 あたたかい明るい経営

6 改良と変革

7 執念と祈り


著者/上原春男氏について
 将来の夢のエネルギー「海洋温度差発電」の世界的権威。工学博士。
 エネルギー工学の専門家として、伝熱工学や発電システムを研究中に、科学や技術の発達、企業の成長、人間の成功など、「成長発展するものには、すべて共通する原理がある」ことを発見。独自の「成長の原理」を編みだし、海洋温度差発電の研究をはじめ、国の地域産業振興策、企業の製品開発などにつぎつぎに応用され、注目されている。

 「成長の原理」の実用性に気づいた多くの社長に請われて、経営者による研究会が全国に生まれ、その中から株式公開する企業や年商1000億円、3000億円を超える日本を代表する企業が続出。年商100億円企業をめざす「チャレンジ100」はじめ「テクノサンプラザ」など300余社を指導。最近は台湾など近隣国の政府からも指導要請が絶えない。数多くの発明を行い、数多くの特許を有している。

 1940年長崎県生まれ。1963年山口大学文理学部理学科卒。九州大学生産科学研究所講師、佐賀大学理工学部助教授を経て1985年同学部教授。1996年同学部長に就任。


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