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本書は、社長にしか判断できない部長以上の重要人事について、いろんな側面から述べたものである。
いま日本経済はバブル崩壊以来の試練の真っ只中にあって、思うように業績が上がらず困っておられる社長が多い。
こと人については、社内の幹部に危機感が感じられない。社長が指示しても幹部が動かない。自分で考えようとしない。そのために世の中の変化に応じた対応ができない。したがって業績に結びつく成果が出ない。
それと同時に、いま多くの中小オーナー企業で世代交代がおこなわれていて、息子を後継者として会社に入れたものの息子に何をどう任せればいいのか、あるいは代替わりするにあたって、名義だけの役員として名を連ねる親族をどうするか、そして社長職を退くにあたって自分についてきてくれた古参の幹部役員の処遇をどうするかなど、こと人に関する問題は尽きず、社長一人が悩んでおられるのである。
実際にいろんな会社を訪ねるとわかるが、成果を出せない幹部に対してなんら手を打ってこなかったために、働かない幹部が社内に暗雲としてたれこめていて、会社全体が閉塞感に包まれているところが多い。
その結果、組織のマンネリ化が進み、若い社員は不満をつのらせ、ヤル気を失うという悪循環に陥っているのである。
そうなった大きな原因は、まず社長が人事に関して10年先を睨んで具体的な手を打ってこなかったこと、また手を打ったとしても場当たり的で根本的な解決に至っていないこと、そして、会社として良い人を採用する仕組みと人を育てる仕組みをもっていないことによる。
とにかく、やってしまった人事に対していい悪いを評論することは誰でもできる。
問題は、社長が部長以上の重要人事をする上で、会社の状況を見ながらどういう手を打っていくべきか、さらに成果を出せる人を幹部に登用し成果を出せない幹部は交代するというルールを全社員に公平な仕組みとしてどうつくりあげるか、そして将来幹部として活躍してくれる人をどのように採用し育てるかということである。
その難しい課題に対して、 私は30数年取り組むことになったが、本書では第1章から第4章で、なかなか表面には出ない中小オーナー企業の人事の問題をさまざまな事例をあげながら、社長としての判断の基準を示した。
その上で、第5章、第6章で、役員となる人の条件と心得を述べ、第7章以降で重要人事をするための控えの人材をどう採用しどう育てるか、あるいは業績に結びつく昇格と昇進の仕組みをどうつくるかの具体的な方法論を解説した。
いずれにせよ、大事なことは時代がどう移り変ろうとも、経営は「人こそすべて、人が企業、人は心なり、心こそ大切」である。
とくに今のような厳しい状況のもとでは、経営者と社員が一枚岩となって力を合わせて知恵を絞り、大企業に負けない、したたかな経営をやっていかなければ生き残れない。
本書がそのための組織づくりに少しでもお役に立てれば幸いである。
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