先読み経営
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中村天風成功哲学シリーズ

長期繁栄を築く経営の打ち手

社長が絶対に守るべき経営の定石〈50項〉

 リーマンショック後の世界大不況で売上7割急減、85億円の大赤字に直面するも、人員削減、給与カット一切なしに翌年見事、V字回復…どんな環境下でも会社と社員を守り抜く鉄人社長が打った50の手とは─。本書は、幾度の不況を乗り越えて典型的中小企業を父と共に東証一部企業に育て上げた著者が、これまで徹してきた膨大な佐藤式経営の神髄を50項に集約、社長の実務として集大成した《経営虎の巻》。

 

著者 佐藤肇(さとうはじめ)
形態 A5判(15cm×21cm)本文416ページ
発行 2011年10月28日
ISBN ISBN 978-4-89101-301-1
  在庫状況 一般価格 会員価格
机上版 在庫→ 有 10,290円(税込) 9,240円(税込)
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本書の特徴

  • わずか2年で売上7割減、85億円の大赤字に直面
    するも、人員削減、給与カット一切なしに翌年見事、
    V字回復…どんな環境下でも会社と社員を守り抜く
    鉄人社長が打った「経営の定石」50の手とは─。
  • リーマンショック後の世界大不況にもビクともしない
    高収益企業・スター精密の社長が、創業者の父から
    受け継ぎ実践する、佐藤式「経営の定石」を初公開。
  • 幾度の不況を乗り越えて典型的中小企業を父と共に
    東証一部企業に育て上げた著者が、これまで徹して
    きた膨大な佐藤式経営の神髄を50項に集約、社長
    の実務として集大成した、社長必読《経営虎の巻》。

◎本文総ページ数416ページ
◎本体サイズ A5判(15cm×21cm)

 

見開き見本

本書は、 空理空論を排し、すべて実践の要諦を分かりやすく解説。しかも、どこから読んでもよいように50項目すべてを見開き構成で編集。 忙しい社長が、読む場所を選ばない、短編構成で、僅かな時間にも区切りよく読むことができる、まさに「社長のための経営虎の巻」。

見開き見本

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目次

序 今なぜ経営の定石が重要なのか〜大赤字からのV字回復へ

1. 赤字85億円にビクともしない経営

61年間不変の定石/売上を半減せよ/不況抵抗力のある会社/
赤字85億円でも現預金は減らさない/斜陽事業は赤字を出す前に捨てる/
社員を大事にする

2. 奇策が通用しない時代
低成長国家・日本が背負う5つの問題
 (1)世界一高い給与水準
 (2)世界一贅沢な消費感覚     
 (3)世界一高い法人税
 (4)世界一の高齢化      
 (5)世界一の財政不健全国

1 最も基本的な定石
【定石 1】 社長は自らの事業に自信をもて
【定石 2】 世の中に対する役割を自覚せよ
【定石 3】 社長の最大の役割は事業の方向づけである
【定石 4】 社長は会社の数字を意図的に創り出す人でなければならない
2 会社の方向づけのための定石
【定石 5】 企業経営の基本は常に成長産業のなかにあるべきで、
       斜陽産業にいる限りいかなる経営努力も成果を得られない
【定石 6】 付加価値の伸びがGDPの伸びを下回っていれば、
       その事業は既に斜陽化しているものと考えよ
【定石 7】 企業の将来は過去の延長線上にある
【定石 8】 自社の「本当の姿」をつかむために、社長は通常の決算書の他に
       「社長のための決算書」をつくれ
【定石 9】 部門別、支店別、商品別、得意先別などについて売上高、
       売上総利益など過去の実績を正確に把握せよ
【定石10】 経営には 「攻める経営」 「守る経営」 「捨てる経営」 の3つがある
       儲かるものを伸ばし、儲からないものは縮小または中止せよ
【定石11】 初年度から利益が出るような新製品や新規事業は将来の柱とならない
       安易な多角経営は企業を滅ぼす
3 収益向上への定石
【定石12】 企業の収益目標は付加価値に対して内部留保5%を
       最低目標として、できれば10%を目標とせよ
【定石13】 営業経費は付加価値の87%未満とし、           
       できれば80%未満に抑えるべきである
【定石14】 固定費を変動費化する努力をせよ
       これからの企業経営にとって大事なことは安定である
【定石15】 今まで以上に資金繰りには注意せよ     
       無駄な支払い利息は誰も喜ばない
【定石16】 計画の作成については、常に厳しい見方をせよ     
       そして、そこまで悪くならなければ儲けものと思え   
       一度増やした経費を減らすことは至難の業である
【定石17】 年度計画を作ったら毎月予実対比の打合わせを実行し、     
       変動費に対して対策を検討せよ       
       これを繰り返すことで目標達成が可能になる
4 人件費の定石
【定石18】 社員個々の給料は上げるが、人件費の総額は下げよ   
       そのために自社の労働生産性を正確につかめ
【定石19】 社員のライフプラン(生活保障)は社長自らが描け     
       これこそ労使の信頼関係の基礎となる
【定石20】 人件費が社長の思いつきにならないために人件費係数を明確にせよ
【定石21】 これからは年功序列型賃金から能力型賃金へ移行する    
       ただし、人件費の改革は時間をかけて着実におこなえ
【定石22】 人件費は固定費ではない      
       パート及び中高齢者の雇用により、変動費化を考えよ
5 設備投資の定石
【定石23】 設備投資は原則として、減価償却費の範囲内とせよ
【定石24】 設備投資については、設備生産性と労働装備高を常にチェックせよ
【定石25】 設備投資は耐用年数の短いものから優先せよ    
       短い方が投資効率が高く、回収が早いからだ
【定石26】 設備投資は単年度計画ではダメ       
       5年先までの償却費の変化をつかめ
【定石27】 製造業において減価償却費が減って出た利益は    
       自分の体を食べているのと同じである      
       償却前の利益を重視せよ
6 先行投資の定石
【定石28】 将来の新事業・新商品開発の準備を怠ってはならない     
       現在の事業を維持するだけで、発展し続ける企業はない
【定石29】 先行投資という考え方と言葉を社内に定着させるために、
       先行投資の予算枠を毎期必ず設けて、経費を使用せよ
7 運転資金の定石
【定石30】 売掛債権の回収の良否は資金繰りの原点である
        社長はその回収率に最大の関心をもて
【定石31】 在庫適正は、業種業態にかかわりなく
       付加価値の4ヵ月分以内に抑えよ
【定石32】 買掛債務の支払率が売掛債権の回収率を   
       常に5%上回る支払いサイクルを築け
【定石33】 運転資金の効率化により、自力で資金を捻り出す     
       「現金創出力」を高めよ
8 銀行取引の定石
【定石34】 特別の場合をのぞき、運転資金の不足は短期借入金、     
       それ以外の資金不足は長期借入金で調達せよ
【定石35】 銀行借入金に対しては、常に適正な見返り預金を考えよ
【定石36】 返済期限は銀行の約定ではなく自ら決めよ     
       返済計画のない借入は厳禁する
【定石37】 会社のお札に二色の色を塗れ
【定石38】 必ずメインバンクをつくれ     
       そして最善のコミュニケーションを常に心掛けよ
9 税務署に対する定石
【定石39】 自分だけがわかって、税務署をごまかす方法は絶対にない  
       結局は自分もわからなくなる
【定石40】 適正な記帳をすれば、相当額の引当、評価減、 
       あるいは経費算入が認められ、節税となる
【定石41】 税務署は税金をとるだけのところではない   
       経費の半分を負担してくれるところである
【定石42】 無駄な予定納税を避けるため、中間決算を行う習慣をつけろ
10 絶対に会社を潰さない定石
【定石43】 創業以来の会社の体質、体力、すなわち自社の実態は     
       B/Sにすべて集約されている     
       B/Sを大事に経営すれば絶対に会社を潰さない
【定石44】 総資本収益率は国債利回り以上、総資本回転率は一回転以上、   
       この2つの基準を満たす経営がこれからの中小企業にとって       
       最善の方法である
【定石45】 経営の最重要は健全性である。
       とくに短期の健全性は当座比率70%〜100%、
       長期の健全性は固定比率100%以下を厳守せよ
【定石46】 P/Lは見るものだが、B/Sは読みこなすものである
       B/Sを社長の目で読むために、 「社長専用のB/S」 をつくれ
【定石47】 会社を絶対に潰さないための10の指標を守れ
       この経営指標すべてをクリアすれば、
       どんな経営環境にもビクともしない会社を築ける
11 日常運営の定石
【定石48】 中小企業の真の強みは、社長を頂点とした      
       意欲ある 「同志的集団」 の形成にある
       よって、社長は 「経営の和」 を創る名人となれ
【定石49】 達成感こそが人材を育てる
        そのために社長は、能力向上とより高い目標設定が
        らせん状に上がっていく「好循環サイクル」をつくれ  
【定石50】 会社は、社長の器以上に大きくはならない
       社長の一挙手一投足を社員は真似し、
       ひいてはそれが社風となるのだ

著者紹介

 

まえがき

 本書のタイトルに「定石」という単語を使うにあたり、いささか思案した。

 というのも、「経営の定石」という言葉から「古くさい」「時代遅れ」、あるいは「理論としては正しいが、およそ実践的ではない」という誤解を受けるやもと危惧したからだ。

 しかし、リーマンショック後の世界不況で2010年に売上が3分の1に急減、純利益に至っては85億円の大赤字を出した我が社が、国内従業員700名の人員削減・給与カット一切なし、無借金、自己資本比率81%と、好調期と変わらない強い経営体勢を推進しながら、翌年には業績V字回復を果たしたのは、創業者である父から直伝され、自らが30余年にわたって実践し続けた、いわば「経営の定石」を貫いたからにほかならない。

 たった2年で売上が3分の1に、純利益が166億円も激減すれば、普通の会社なら潰れてもおかしくない。

 しかし、実際の現預金の減少を6億円にとどめることで、強固なバランスシートを全く毀損することなくこの危機を乗り越えられたのも、経営の本質と、局面局面での手の打ち方を知らなければ、絶対に成し得なかったことだろう。

 そういう意味で、本書で紹介する「経営の定石」が不変であると、改めて自信を深める良い機会となった。

 そもそも、囲碁や将棋をたしなむ方ならよくおわかりだろうが、定石とは先人が過去の長い歴史の中で、成功するパターンから共通項を見出し、最善の型を体系化したものだ。
 
  囲碁や将棋など一つの分野に一生を捧げてきた人々が、 「こうすればうまくいく」ということを見出し、それらをまとめて現代まで伝承されてきた叡智だから、定石を知らずして一所懸命に戦っても、定石をしっかりと身につけて実践している人には赤子の手をひねるように簡単に打ち取られる。あるいは、緒戦は運良く勝てたとしても、長期的には負けてしまう。

 そして、経営にもやはり定石があるのだ。定石を無視した奇策で企業が伸びたためしはまずない。たとえあったとしても、それは一時の繁栄に過ぎない。会社を永く繁栄させたければ定石を覚え、それらを道具に勝てる戦略を構築し、執念をもってやり抜く外ないのである。

 たとえば、事業の利益は売上さえ増えればどうにかなるものではない。キャッシュの実態を無視して売上規模拡大に執着すると、売上が伸びれば伸びるほど資金調達が苦しくなる。

 その資金不足を安易な借入に頼ると金利支払いで余計に利益が減り、さらに新規出店で土地や建物、設備も増えて、結果として売上高が伸びてもバランスシートも大きくなってしまう。

 そうすると総資本回転率がどんどん悪くなって儲からなくなる。経営とは「利益率×回転率」が重要であり、利益率の高い商品やサービスを扱うことが儲かるポイントではあるが、右肩上がりの経済成長が終焉を迎えた今、高い利益率が期待できないなら、せめて回転率の良い商売をしないと経営は成り立たない。

 そうなってくると、いかに儲かる事業に注力し、無駄な資産をもたないかということが経営戦略の軸となるのだが、そもそも経営定石を知らない社長は、局面局面で逆に儲けを減らすような悪手を打ってしまう。

 毎年2桁の増収増益成長を続けていた新興企業が、景気の潮目にあっけなく黒字倒産したり、かつての電機メーカーのように日本を代表する大企業が、すべての商品を自社の中にもつ総花的経営で、製品が売れていても財務の面で世界レベルの競争に負けてしまったりするのは、経営の定石を知っていれば起こり得ない話である。 

 ところで、本書で公開する経営法は、スター精密の創業者である父(故)佐藤誠一が裸一貫から事業を興し、掘っ立て小屋の町工場を東証一部企業に育て上げる中で体得した、極めて実践的かつ事業規模の大小を問わない、いわば「どんな経営環境になっても会社と社員を守り抜き、 長期繁栄を実現するための原理原則」である。 

 親父がスター精密を創業したのは今から61年前、23歳の頃である。経営はおろか、人生そのものもロクにわからない若者にとって、経営とは只がむしゃらに働くだけであった。本当に眠る時間を惜しんで働き、その甲斐あって5年くらいは売上も伸び、利益も順調に増えていったと聞いている。

 ところが、或る月末に予想もしなかった資金不足となり、かろうじて社員の給料は払えたものの、翌月末には設備代金の支払手形決済の資金不足という最意の事態となった。

 その場は銀行の特別の計らいで切り抜けることができたが、利益と資金繰りとは別であるという経営の原点すらも知らない、未熟な経営のスタートであった。 
 
  支店長に利益と資金繰りの関係、 資金繰りの月次管理の方法などを教わり、 それを大学ノートに記録したのが親父の経営心得帳の始まりである。

 そのノートには、親父がスター精密を創業してからのあらゆる失敗例、成功例がぎっしりと記録されている。

 銀行借入を金利の安さから短期借入で調達し、金融引締め期に大変苦労した教訓、節税のつもりの安易な臨時ボーナスや在庫の評価減が結果として否認を受け、加算税を追徴された失敗、新製品の発売にあたって商品にほれ込み過ぎて大きな欠点を見落として大赤字をつくった経験、同じく新規業界に進出したとき業界の習慣を熟知していなかったために膨大な売掛債権に苦労した経験、海外への工場・販売拠点の進出と撤退の苦労…。 

 中学しか出ていない、経営経験もない親父が、何とか安定的に会社を大きくしたい、自分の夢に協力してくれる社員とその家族をもっと幸せにしたい、そのために自分は何をすればいいか、何を基準に会社の進むべき方向性を定めればいいのか、その答えを必死で見出し、体得した全てを記した「経営虎の巻」とでも言うべき2冊のノートが、スター精密を零細企業から東証一部企業に育て上げたといっても過言ではない。

 今回、本書執筆のためにこのノートを改めて見返し、より社長にわかりやすく、しかも実務にすぐ役に立つようにと、冒頭申し上げたとおり、リーマンショック後の業績乱高下から会社をV字回復させるまでに私自身がどのように経営の定石を活用したのか、いわば定石経営の最新実例を交えて、簡潔に50項目にまとめ直した。

 ただし、経営の定石というのはどれも非常に地道で、ある意味平凡なことばかりだ。しかしながら、この地味で平凡なことを徹底的に実行できるかどうか、愚直に守り抜くことができるかどうかが、これからの厳しい経営環境を勝ち抜く要諦と私は捉えている。

 だからこそ、たとえ成長のスピードは遅くとも、これが長期繁栄を築く確かな布石と信じる限り、定石を大事に経営していく。
  この決意を込めて、本書を上梓する次第だ。

  
  2011年9月吉日

          
  スター精密代表取締役社長 佐藤 肇

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